2000年前後、「ITバブル」と呼ばれた好景気を背景に渋谷ではIT企業の社屋が集まり、“ビットバレー”などと呼ばれるようになったのを覚えているだろうか。そこから生まれた企業の中には、今となっては大企業といわれるような新興企業も含まれている。このように起業してから急速に成長を遂げていく新興企業を近年では「スタートアップ」と呼んでいる。

そして現在、競争が激しいウェブではなく、新たな領域でスタートアップを目指す人々が登場してきている。彼らが選んだ領域は「ハードウェア」である。IoT製品が関心を寄せる中、彼らの生み出す製品にも注目が集まっている。

従来、ハードウェアといえば家電メーカーのように大規模な工場や多くのスタッフがいなければ製造できないものであった。しかし、様々なプラットフォームが発展してきたことにより、少人数でもハードウェア製品の製作を行えるようになってきている。

ハードウェアスタートアップを支える3つの要素

1つには、スタートアップを考えた際の大きな難関である資金調達を行いやすくする「クラウドファンディング」である。インターネット上でアイデアを公開し、それに魅力を感じた支援者が資金を投じる仕組みだ。日本でも多くのクラウドファンディングサービスが誕生しているので、ご存知の方も多いと思う。

2つ目は、スマートフォンの存在があげられる。スマートフォンの登場はユーザーのライフスタイルを変え、日頃から持ち歩くデバイスとして、携帯電話から様々なニーズを解消するパーソナルコンピュータへと進化した。このスマートフォンを補完あるいは協働することで、新しい利用者体験を生み出しやすくなったといえるだろう。

そして3つ目として、Arduino(アルドゥイーノ)などのオープンハードウェアという、誰もが等しく使えるハードウェア基盤の登場もハードウェアスタートアップの誕生を後押ししているといえるだろう。これにより、ハードウェアの製作経験が少ない人でも、オープンに共有されているノウハウを参照することで比較的容易にプロトタイプなどを製作できるのだ。

こうした環境の変化によって、個人でもハードウェア製作が可能となっている。毎年夏に東京の有明で開催される「Makers Faire Tokyo」では、個人で開発したデバイスなども多く展示されるようになってきた。いまや、個人でもメーカーになれる時代となったのである。

筆者:Fumiaki Ogawa