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●ついに「GeForce」でも登場したGP102
NVIDIA GeForce GTX 10シリーズに久しぶりの新製品が登場した。GeForce GTX 1080 Tiは、10シリーズの最上位となるGPUだ。TITAN Xを一部上回り、GeForce GTX 1080より35%増しをうたうモンスターGPUは、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

GeForce GTX 1080 Tiのスペックを確認しておこう。まず、GPUコアはTAITAN Xでも用いられているGP102であり、そこから一部を無効化した構成だ。価格度外視のTITAN Xと異なり、量産性も求められるための割り切りと言えるが、違いはそれほど大きくない。一方、これまでの最上位GPU「GeForce GTX 1080」とはコア(GP104コア)も異なり、スペックが大幅に引き上げられている。

GeForce GTX 1080と1080 Tiの比較でポイントとなるのは基本的なスペックだ。GPUクロックは若干低いものの、GeForce GTX 1080 Ti(つまりGP102)では、GPCやSM、それに伴うCUDAコア数の増加、テクスチャユニット、ROPユニットの増加、さらにはメモリバス幅の拡大など、大きく強化されている。また、OC性能もアピールされているので、カードメーカーのオリジナルクーラー搭載モデルではさらに高クロックのものと考えられる。

スペック強化のため、TDPはエンスージアストセグメントの250Wになる。GeForce GTX 1080はTDPが180Wで、補助電源コネクタも8ピン1つで済んだが、GeForce GTX 1080 Tiは8+6ピン構成となる。搭載する電源は、1クラス大出力のものを選んだほうがよい。

なお、メモリ容量も拡大しており、11GBになった。TITAN Xの12GBからは1GB少ないが、これだけの量を搭載していれば、いくら4K解像度狙いのハイエンドGPUでもしばらく大丈夫だろう。

メモリ使用量の目安が表示されるタイトルで調べたところ、いくつかのものでは8GBを超える数値を示すものもあった。4K解像度で画質を最大とするような設定、さらにNVIDIA PCSSやTXAAのようにメモリの節約につながる技術をオフにした設定なので、あまり現実的ではないが、こうした環境が選べるようになった現状、最上位GPUであればそれをカバーできることが望ましい。

11GBというのは切りの悪い数だが、そもそもメモリバス幅が352bitと変則的なのでこれに合わせた格好となる。384bitのTITAN Xから32bit削減された格好だ。メモリチップの数もこれに合わせて1チップ少ないことになる。そのほか、電源回路が7フェーズ、FOUNDERS EDITIONではヴェイパーチャンバーを採用したGPUクーラーが組み合わされ、設計上のOCの目安として2GHzという値が示されている。

○GeForce GTX 1080 Ti FOUNDERS EDITIONをチェック

評価機として届いたのは従来リファレンスと呼ばれていた「FOUNDERS EDITION」(FE)である。まずはこれが各社から登場し、後々、オリジナルクーラー搭載モデルが登場するものと見られる。ざっと見た印象としては、GeForce GTX 1080のFEモデルから、補助電源レイアウトが変わったほか、GPU型番ロゴが変わったというが違うが、それ以外は変わらない。ちなみに、ロゴ部分の「Ti」はちょっと小さい。FEのデザイン上、同サイズのフォントでは収まりきらなかったようだ。

ディスプレイ出力端子は、DisplayPort×3、HDMI×1。DVIが省略されているのはTITAN Xに準じた仕様であり、もはやエンスージアストにDVIは不要という考えのもとだろう。どうしてもDVIを利用する場合はDisplayPort→DVI変換アダプタを用いることになる。DVI端子がない分、後方排気用のスリットスペースも拡大している。

カード長は、リファレンス仕様なので266mm。それなりに大型だが、おそらくオリジナルクーラー搭載カードでは、これよりも長い基板のものも多く登場するだろう。オリジナル基板モデルに比べれば、搭載難易度は低い。

ではベンチマークで性能を見る前に機材の紹介を。今回はGeForce GTX 1080と比較を行なう。NVIDIAの発表ではTITAN Xを上回るとうたわれているが、これが確かめられないのは残念だが、TITAN Xはかなり高価な製品であり、GeForce GTX 1080の方がユーザーも多いのでちょうどよいだろう。検証に用いた主な機材は下の表を参照して欲しい。

●1080比で30%前後の向上は確実。高画質設定でも4Kゲームが楽しめる
○ベンチマーク「3DMark」

ベンチマークでは、おおむね「GeForce GTX 1080の35%増し」に近い値が得られている。

まずは3DMark。負荷の低いFire Strike - Performance以下は伸び率が低いが、それ以上は20%以上の向上で、Graphics Scoreで見れば軒並み20%を超え、平均すれば25%前後。なにより、Fire Strike - Performanceで20,000ポイントを超えているのはインパクトがある。

○ベンチマーク「Unigine Hevan / Valley」

続いてUnigine HevanとValley。DirectX 11ベースで、設定はTessellationを含め最大まで引き上げている。Heaven側は平均で35%近い向上、またValley側も30%程度の向上が見られた。フレームレートで見ても、1,920×1,080ドットなら30fps前後、3,840×2,160ドットでも10fps程度向上するため、GeForce GTX 1080ではややカクカクしていた映像も滑らかに感じられる。また、どうやらより高解像度であるほど向上率も大きいようだ。Heavenの4Kでは42%という大きな向上率だった。

○ベンチマーク「Fallout 4」

ゲームベンチマークはDirectX 11タイトルから見ていこう。はじめはFallout 4。画質オプションを最大に引き上げて計測したがやや負荷の低いシーンを採用したためフレームレートは高めに出ている。向上率は3,840×2,160ドット時がもっとも大きく30%。今回のベンチマークにおける数値では3,840×2,160ドット解像度でも十分なのだが、ほかのシーンにおける負荷を考慮すると、快適なのは2,560×1,440ドットあたりだろうか。

○ベンチマーク「Grand Theft Auto V」

Grand Theft Auto V。ビルトインベンチマークで、画質オプションはNVIDIA PCSSやTXAAをオンとし、そのほかは最大まで引き上げた状態。グラフィックスメモリは3,840×2,160ドットでもギリギリ8GB以内に収まっている。

平均フレームレートでは3,840×2,160ドット時で10fpsほど向上し、30fpsスレスレだったGeForce GTX 1080時の映像よりも滑らかさが向上していた。2,560×1,440ドットなら、一般的なディスプレイではベンチマークのほとんどのシーンで滑らかな映像が得られた。

○ベンチマーク「Watch Dogs 2」

Watch Dogs 2。グラフィックスメモリ8GB超を目指し、画質オプションを最大に引き上げ、NVIDIAのオプションも用いてない状態で3,840×2,160ドット時に9GBほどに達した。ただしグラフィックスメモリ使用量はあくまで目安ということか、8GBしか搭載していないGeForce GTX 1080も、ほかの解像度と比べて目に見えてフレームレートが落ちるというわけではなく、結果、GeForce GTX 1080 Tiの向上率は30%程度でとくに変わりなかった。このような非現実的な画質オプションでも、GeForce GTX 1080 Tiは、1,920×1,080ドットならまずまず快適に遊べる。

○ベンチマーク「Overwatch」

次は軽めのOverwatch。2,560×1,440ドットと3,840×2,160ドットのフレームレートがほとんど変わらないのは、ほかで検証した際と同様で、原因の特定には至っていない。とりあえずそのまま記載する。画質オプションをすべて最大まで引き上げても、フレームレートは2,560×1,440ドット以上でも100fpsを超えてくる。ハイリフレッシュレートのゲーミング液晶ディスプレイでも快適に楽しめるだろう。もっとも、GeForce GTX 1080でも80fpsを超えているので、GeForce GTX 1080 Tiでなければいけないというわけではない。

○ベンチマーク「Rise Of The Tomb Raider」

ここからはDiretcX 12タイトルを2つ。最初はRise Of The Tomb Raider。これも画質オプションを最大として計測した。向上率は30%弱。負荷の高い2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットという順で向上率も大きくなるようだ。このオプションのままではややフレームレートが足りないが、GeForce GTX 1080 Tiが4Kに強い傾向は分かる。

○ベンチマーク「Hitman 2016」

Hitman 2016。これも画質オプションを最大としたが、負荷としてはRise Of The Tomb Raiderとさほど変わらない。ただしHitmanの向上率はほかよりも高く、四捨五入すれば1,920×1,080ドットで35%、3,840×2,160ドットで38%程度と、平均35%を超える。1,920×1,080ドットあたりなら最高画質で超快適なプレイが楽しめる。

○ベンチマーク「消費電力」

消費電力。GeForce GTX 1080側がLED非搭載とはいえオリジナルクーラーモデル&OCモデルなので若干、ベースとなる電力消費が大きいかもしれない。その点を考慮すればアイドル時はほぼ同等だろう。ピーク時は、計測した3つの条件で50〜70Wほど高かった。これはTDP値にほぼ等しい。最大で373.1Wだったので、高効率電源ならばギリギリ550W級でも足りると思われるが、できれば650W超を組み合わせたい。

●至上を求めるならアリ。ただし従来GPUの値下げやライバルの動向にも注意
○至上を求めるならアリ。ただし従来GPUの値下げやライバルの動向も気になるところ

GeForce GTX 1080 Tiは、NVIDIAの主張どおり、GeForce GTX 1080に対して30%前後の向上を実現したことを確認できた。つまり、GeForceにおける最上位GPUが書き換わったわけだが、GeForce GTX 1080ユーザーが乗り換えるにはややスパンが短い。

もちろん資金をGPUにつぎ込むハイエンドユーザーなら乗り換え必至だが、もう少し堅実なユーザーとすれば、電源要求まで大きく変わる乗り換えは躊躇しそうだ。やはり同じ250W級のTDPだったGeForce GTX 980 Tiや780 Tiユーザーのマイグレーション向けといえるのではないだろうか。

想定価格は699ドル。つまり日本市場の初値では10万円超、その後も10万円前後になることが予想される。とはいえ、GeForce GTX 1080当時も同じくらいだったと思えば、GeForce GTX 1080 Tiが特別に高いというわけではないだろう。

一方、NVIDIAからはGeForce GTX 1080において値下げや、メモリを強化したOCモデル「GeForce GTX 1080 11Gbps OC」を投入することが発表されている。GeForce GTX 1080搭載カードも製品によってはかなり値ごろ感がある。また、「GeForce GTX 1080 11Gbps OC」のパフォーマンスに対する期待も高い。

おそらく、2017年前半の市場投入が予告されているAMDの"VEGA"を見据え、先手を打ったものと思われるが、それにしてもなかなかワクワクする内容とラインナップだ。世代としてはPascalのままなのだが、GeForce GTX 1080 Tiは、グラフィックスカードへの注目度をさらに上げるきっかけになるだろう。

ただ、グラフィックスカードの価格も最近値上がり傾向にある。全体的にもう少し落ち着いてくれることを望みたい。

(石川ひさよし)