AKB48公式サイト「秋元康プロフィール」より

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 昨年10月、欅坂46の衣装がナチスの軍服に酷似しているとして、ユダヤ系人権団体であるサイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)などが強く抗議。欅坂の所属レコード会社であるソニーミュージックと総合プロデューサーの秋元康氏がそれぞれ謝罪コメントを出す事態になった騒動は記憶に新しい。

 あれからまだ半年も経っていないが、早くも再び秋元氏の関わるコンテンツで大騒動が巻き起こった。来月から放送される予定の連続ドラマ『サヨナラ、きりたんぽ』(テレビ朝日)のタイトルに関して秋田県から抗議があり、放送を前にして改題することになったのだ。

 この『サヨナラ、きりたんぽ』は、AKB48の渡辺麻友が主演を務めることで話題を集めていたが、ドラマの企画と原作が秋元康氏なのだ。内容は1話完結形式で、自分に言い寄ってくるダメな男(妻帯者だったり、酒乱だったり、DVの気があったりと、その"ダメ"のバリエーションは回ごとに変わる)に、渡辺演じる主人公が復讐していくというもの。

 このドラマの宣伝に際しては、交際していた男性を殺害したうえ男性器を切り取って逃走した「阿部定事件」をモチーフにしたものだとアピールしており、渡辺自身も「お話をいただいた時は驚きました。あの衝撃的な事件、阿部定事件がドラマ化? 私が平成の阿部定!? 今まで演じた事のない役柄です! 私自身も大きな挑戦となります」と、コメントを寄せていた。

 こういったセンセーショナルな宣伝を展開しているドラマのタイトルに「きりたんぽ」という地元の名産品が据えられていることに対し、秋田県はタイトルの変更と、きりたんぽを男性器に見立てるかたちで劇中に入れないよう申し入れ、テレビ朝日側はそれを受け入れた。テレビ朝日広報部は「秋田県から指摘をいただくなどしたため、総合的に判断して番組タイトルを変更することと致しました。放送前とはいえ、秋田県の皆様にご不快な思いを与えてしまい、申し訳ありませんでした」と声明を出している。

 その結果、現在ドラマの公式ホームページからは『サヨナラ、きりたんぽ』の文字は消えて「タイトル未定」に、また、ドラマの内容を記す部分から「阿部定」の文字も消えている。

 何とも脱力させられてしまう騒動だが、これはある意味、企画・原作の秋元康氏の体質がモロに出たともいえるだろう。

 周知のように、約1年前にも、秋元氏がプロデュースするアイドルグループのコンテンツに関して炎上騒動が起きている。昨年4月にリリースされた、HKT48のシングル「74億分の1の君へ」に収録されているカップリング曲「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞が「女性蔑視である」として批判が殺到したのだ。その歌詞とはこのようなものであった。

〈難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ〉
〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉
〈テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように〉
〈世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい〉
〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう?〉
〈人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ〉

 曲タイトルにある「ディアナ・アグロン」とは、アメリカの大ヒットドラマシリーズ「glee」で美人チアリーダーのクイン・ファブレー役を演じた女優の名前。この件で炎上の発端となったのは、ディアナ・アグロンや「glee」の名を出しながら、女性差別・同性愛差別・人種差別・障がい者差別などの問題を丁寧に描いた「glee」とは完全に真逆の「女の子はバカで可愛い方がいい」という時代錯誤も甚だしいメッセージを出したことにgleek(「glee」ファンの通称)が怒りをあらわにしたことにあるのだが、この件と「阿部定=男性器=きりたんぽ」という極めて短絡的なオヤジ的発想に基づくタイトルづけは、間違いなく地続きのものだろう。

 実は秋元氏はテレビ朝日の放送番組審議会委員。見城徹氏とともに、安倍首相に近いというだけでこんな低劣な感覚の人間に番組を審議させているテレビ朝日の感覚はいったいどうなっているのか。

 しかも、秋元氏の最大の問題は安易なセンセーショナリズムでこうした不祥事を起こしても、責任転嫁と言い逃れを繰り返すだけで、何の反省も示さないことだ。

「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の騒動に関しては、複数のメディアが取り上げ、本サイトもそのひとつだったのだが、当該記事に対して、AKB運営会社であるAKS 法務部から、「名誉毀損及び侮辱罪が成立する」「即刻、記事を削除せよ」というメールが送りつけられてきた。

 本稿冒頭で挙げた欅坂ナチス服騒動の際は、サイモン・ウィーゼンタール・センターが出てきたということもあってさすがに謝罪のコメントを出していた。たが、その言葉のなかには、真摯な反省などなく、ひたすら責任を現場スタッフに押しつけるだけの残念なものだった。

「ニュースで知りました。ありえない衣装でした。事前報告がなかったので、チェックもできませんでした。スタッフもナチスを想起させるものを作った訳ではないと思いますが、プロデューサーとして、監督不行き届きだったと思っております」

 こういった責任の押し付けは他にもある。2012年、乃木坂46の2ndシングル「おいでシャンプー」の間奏部分でメンバーが自らスカートをめくり上げるシーンに対して、ファンの間から「下品だ」「中学生のメンバーもいるのに」といった批判の声があがったことがあるのだが、その際、秋元氏はGoogle+上にこのような文章を投稿。乃木坂46運営委員会委員長であるソニー・ミュージックエンタテインメントの今野義雄氏を名指ししながら、責任を押しつけていた。

〈ソニーミュージックの今野! なっ? やっぱり、乃木坂46の新曲「おいでシャンプー」の振り付けのあの部分、不評だろ? だから、会議の時に言ったじゃないか! あれは、やりすぎだよ。ミュージックビデオの撮り方もよくなかった。〉(改行のみ筆者で改めた)

『サヨナラ、きりたんぽ』の改題に関してのコメントはテレビ朝日広報部からのもののみで、原作と企画を担当している秋元氏による声明はいまだないが、おそらく番組審議委員という地位を利用して、テレビ朝日に責任を全て押し付け、逃げ切るつもりなのだろう。つくづく、下劣な男である。
(編集部)