Doctors Me(ドクターズミー)- 40代で妊娠する女性が増加 高齢出産の5つの注意事項を解説

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声優で近年はタレント活動もなさっている金田朋子さん(43)が、先月妊娠を公表しており、いわゆる高齢出産を予定しております。

日本では年々40代での出産を迎える女性も増えておりますが(参考)、高齢出産ではどのような注意をすればよいのでしょうか。

今回は、高齢出産に関する注意事項、理想的な過ごし方などを医師の松本先生に詳しく解説してもらいました。

高齢出産の定義


高齢出産とは「35歳以上の初産、2人目以降であれば40歳以上」です。 ただし、93年までは30歳以上が高齢出産とされていました。

30歳以上を高齢出産とすると、あまりに多くの人が「高齢出産」になってしまうので便宜的に引き上げただけで、生物学的には30歳以上が高齢出産と考えてよいでしょう。

高齢出産に伴う妊娠初期症状はある?


高齢出産といってもそうでない出産と基本的に変わりはありません。

ただし、卵子が老化していること、配偶者などの年齢が高い可能性もあり、妊娠、出産に伴う異常が多くなります。

出血


妊娠10週〜12週程度の初期の場合には、付着程度の出血やおりものに混じる程度の出血はしばしばあります。

あまり問題になりませんが、強い腹痛を伴う場合や、血の塊が混じるような出血の場合には、できるだけ早く受診する方がよいでしょう。

おりもの


茶色のおりものがあることがあります。少量の出血が混じって茶色になるのですが、多くは着床出血です。

ただし、激しい痛みがあったり、何日間もあるいは大量に出続ける場合は異常の可能性があります。

肌の乾燥


妊娠初期はプロゲステロンというホルモンが増えることで肌が荒れやすくなりますし、水分を赤ちゃんのために子宮にこれまでより多く配ることになり、肌へ届く水分が減ってしまうためにも肌は乾燥しやすくなります。

通常は自然に改善していきますので、ゴシゴシ石鹸で洗うのはできるだけ止めましょう。

便秘


プロゲステロンのために、大腸からこれまでより多くの水分を吸収するようになり、また腸の動きが悪くなるので、便が硬く、便秘気味になります。

水分補充、食事の適正化である程度防げますので、口にするものに意識を高めましょう。

高齢出産の注意事項1:食事面

食べ物



「高齢だから」というわけではありませんが、若い人に比べて妊娠高血圧症候群などの合併症の危険が高いですので、塩分、過剰な糖質、悪い油の多いジャンクフードはできるだけ避けましょう。

また、お弁当屋さんのお弁当を毎日食べたり、コンビニのお弁当にお世話になるのは、特に危険のつきものの高齢出産では禁物ですし、大型の魚の食べ過ぎも危険です。

飲み物



ジュース類はもちろんですが、カフェインを含むコーヒー、紅茶、緑茶類のがぶ飲みは脱水につながりますので止めた方がよいでしょう。

特に、緑茶は鉄の吸収を抑える作用がありますから、鉄不足になりやすい妊婦にはおすすめの飲み物ではありません。

また、ハーブティーにはある程度薬効があり、妊娠中に適したものとそうでない物があるので、「よさそう」というイメージでなく、薬効を知って自分に適しているかをきちんと知ってから選びましょう。

高齢出産の注意事項2:体重管理


赤ちゃんの体重は3kg前後、胎盤や羊水を合わせて6〜7kg前後が出産で無くなる体重で、その他は皮下脂肪等の余剰分です。

高齢であれば筋肉が少なく代謝が低下するだけ、妊娠中も太りやすい傾向にはあり、太ることによって妊娠糖尿病、妊娠高血圧症や子癇などの合併症の危険も増えますので、若い人以上に体重の管理はしっかりしたいところです。

また、妊娠中だからといって、運動をしなくなるのは考え物ですので、合併症によって運動が禁じられる場合は別として、適度な運動はより健全な出産につながります。

高齢出産の注意事項3:染色体異常

高齢出産でもっとも懸念すべき問題



年齢と共に卵子が劣化するので、高齢出産では染色体異常の率が増えていきます。染色体異常によってダウン症、18トリソミー、クラインフェルター症候群を引き起こし、多くは妊娠が継続できず自然流産してしまいます。

ある程度障害が軽い場合、母体内で成長し出産できるわけですが、それでも知能の遅れなどだけでなく、甲状腺機能異常、白血病など色々な合併症があることがあります。ダウン症は比較的障害が軽いので、出産に至ることが多く、染色体異常の中でもよく知られています。

現に出産の高齢化のためか、ダウン症で生まれた赤ちゃんの報告数は1995年が1万人あたり6.3人で、2011年は13.6人と倍増し、さらに、ダウン症等を理由に中絶をしたとみられる数は95〜00年に比べ、05〜09年は1.9倍に倍増しています。

年齢別 染色体異常の割合



年齢と共に染色体異常を持つ子が生まれる頻度は以下の様に増えてきます。

■ 25歳:1/476
■ 35歳:1/192
■ 40歳:1/66
■ 45歳:1/21

また、染色体異常だけでなく、あらゆる先天異常の発生率が母体の年齢と共に高くなります。

昨今、心臓の奇形をはじめ、他種類の先天異常の率が高くなっていますが、妊娠、出産の高齢化を反映したものと言えるでしょう。

《参照》
・本邦における先天異常モニタリングによる先天異常発生要因の分析とその対応に関する研究総括報告書
・不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会参考資料
・日本経済新聞

高齢出産の注意事項4:高血圧


妊娠前まではなかったのに、妊娠中期以降に高血圧、タンパク尿、むくみなどが出る場合があります。

特に「妊娠高血圧症候群」は35歳以上で発症率が高くなり、40歳以上ではさらに高くなり、家族歴、初産婦、多胎妊娠、歯周病などのある場合も危険性が高くなります。

妊娠高血圧症候群はひどい場合には少ないながらも母子の死亡にもつながる恐ろしい状態ですから、早期発見と予防が大切です。

高齢出産の注意事項5:糖尿病


妊娠中に初めて発見、発症した糖尿病で、産後は正常に戻るもの(しかし後に糖尿病を発症しやすい)を妊娠糖尿病といいますが、高血圧と同じく、35歳以上になると妊娠糖尿病になる可能性が高くなります。

糖尿病の家族歴、肥満、妊娠高血圧症候群などの人はなりやすい傾向にあります。

高齢出産の理想的な過ごし方


高齢出産でもっとも有利な点は、母親、父親になる人の精神的、経済的状況が、比較的落ち着いているであろうと思われることです。

しかし、生理的にも体力的にも出産はそもそも30歳までに済ませるように体はできていますから、それを超えて出産に望むならば、きっちりとした休養や、不安なことは積極的に解決する姿勢、正しい知識を得て、合併症を起こさないためにできることはきちんとしておくことが大切です。

最後に松本先生から一言


最近は有名人の高齢妊娠などで、高齢出産があたかも当然のように思われる方もおられるでしょう。

私も出産は40歳を過ぎてからでしたし、授乳中は月経が無く、43歳になって、再度妊娠出産を試みましたが、43歳と44歳で2度の稽留流産を経験しました。

現実には卵子の老化は30歳から始まり、年齢と共に加速しますし、高齢になって慌てて不妊治療を始め、あげくに先天性異常が見つかって中絶、などという悲しいことが実際に起きています。

高齢でも出産している人はいらっしゃいますが、状況が許されるのならば若いうちに妊娠、出産に挑む方が良いかもしれません。

(監修:医師 松本明子)