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音楽ブロガー・レジーが、「ミュージックステーション」の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。2月のMステは通常放送が2回(3日、24日)と2時間スペシャルが1回(10日)放送されました。前後編でお届けする今回、まずはまさかの大復活となったこちらの方の話題から。


 


小沢健二:王子様の帰還


2月のMステに関してはやはりこの話をしないわけにはいきません。24日の放送に登場したのは、なんと20年ぶりの出演となる小沢健二。ここに至る直前の流れを少し振り返ってみると、ことの発端は2月20日に行われた音楽サイトナタリー主催のチャット企画「小沢健二AMA 私の並行世界」。ここでシングル「流動体について」のリリースおよび24日のMステ出演を発表するというサプライズ演出で多くの音楽ファンを沸かせました。


そして翌日から「流動体について」が店頭に並び、SNS上では購入したファン(往年のファンだけでなく、「小沢健二の新譜」というものを初めて体験する若年層もたくさん含まれていたようです)の声が溢れました。また、同日には朝日新聞の全面広告としてエッセイを発表。長い海外生活の中で獲得したユニークな視点を通じて日本の価値を改めて考えさせるような文章が話題を呼びました。


そんなふうにしてたくさんの人たちが興奮状態にあった1週間の締めくくりとして、ついにテレビに登場した小沢健二。オープニングではとても緊張した様子で、少し硬めの表情のまま旧知の仲でもあるタモリと「前世に帰ってきたみたいです」なんて言葉を交わしていました。


実際に出番が来たのは番組のラスト。パフォーマンス前には彼のキャリアを解説する映像が流れ(タモリが好きと公言している「さよならなんていえないよ」の“左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも”というフレーズを歌うシーンが挿入されている演出もありました)、トークでは「六本木にあるテレビ朝日には初めて来た」という日本を長期に渡って離れていたことを実感させるエピソードを挟みつつ、「夏のフジロックに出ます。この前のツアーのアンコールみたいなものをやります、ブギーバックとかやるんでぜひ観に来てください」とオフィシャルにアナウンスされていない情報を唐突に発表(この「Mステで突然フジロック出演発表」は2012年5月のノエル・ギャラガー以来です)。


弘中アナも「今言っていいことなんですか?」と慌てていました。その後のパフォーマンスで披露されたのは多くのアーティストにカバーされている「ぼくらが旅に出る理由」と新曲「流動体について」の2曲。


「イントロの長い曲とアウトロの長い曲、対になっている2曲」とトークの際に本人が解説していましたが、それ以外にも流麗なストリングスを快活に響かせるアレンジや宇宙のあり方と日常の生活がシームレスに繋がっていくような歌詞の構成などいろいろなリンクが感じられます。


演奏後には非常にすっきりした表情を見せていたオザケンですが、番組のエンディングでは少し感極まった雰囲気も見せながら「20年間この番組がずっと音楽の火をずっと灯し続けていたことに感動しています」とコメント。ファンだけでなく、本人も時間の流れというものを感じていたのだと思います。


ちなみにこのMステの出演後、ネット上には絶賛する声と併せて「歌が下手」「おじさんになった」というような批判的なコメントやまとめ記事が乱立していました。


個人的には、この状況こそ小沢健二が本来いるべき環境なのだと思います。「一部の信者に神格化される」ではなく「アンチも含めてみんなが話題にする」、これこそがこの方の波及力。個人的にはこういった反応を見たときに「いよいよ小沢健二がお茶の間に帰ってきた!」と猛烈に興奮しました。


そのあと出演した「スッキリ!!」では「今はインプットがあるのでまた何かアウトプットできるはず」とこの先の活動への期待を抱かせるコメントを残していましたが、次に何をやってくれるのかは本当に楽しみでなりません。



 


X JAPAN、YUKI:レジェンドたちのMステ


小沢健二と同じく24日に出演していたのが、こちらも通常放送では21年ぶりの出演となったX JAPAN。3月3日に公開されるドキュメンタリー映画「WE ARE X」の告知と併せて、映画のテーマ曲にもなっている「La Venus」をパフォーマンスしました。


YOSHIKIがドラムとピアノを弾き分ける彼ららしいバラードのバックでは件のドキュメンタリー映画のシーンが流れていましたが、往年のビジュアル系メイクで街を歩いている様子やhideの葬儀の映像など彼らのキャリアを生々しく辿っていることを期待できる場面が多数ありました。この日のYOSHIKIは登場時から腕を交差するXポーズを披露するなど終始ご機嫌でしたね。



 


3日に出演して新曲「さよならバイスタンダー」を披露したYUKI。アップテンポのバンドをバックに恍惚とした表情で歌うさまはまさに「体から歌が溢れてくる」といった感じの神々しいもので、ソロ活動を始めて15周年が経って完全に独自のポジションを確立したことを実感させてくれました。「YUKI史上最強超ド級無敵ポップアルバム」というコピーのついたアルバム『まばたき』も非常に楽しみです。


X JAPANとYUKI、さらには小沢健二と、Jポップシーンの創成期を支えたと言っても過言ではない人たちが多数出演した2月のMステは、普段以上に見応えのあるものでした。自分のようなオールドファンだけでなく、若い人たちにもこういったベテランのすごさが少しでも伝わっていればいいなと思います。



 


[前編]はここまで。[後編]では今回もMステで存分に面白いことをやってくれたあの方の話題などをお届けします。3月10日(金)の配信をお待ちください!


TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)


 


【2017年2月3日放送分 出演アーティスト】

Little Glee Monster「Joyful SPメドレー」(「Joyful, Joyful」「Jupiter」「荒野の果てに」「愛唄」「Hop Step Jump!」)

A.B.C-Z「Reboot!!!」

水曜日のカンパネラ「一休さん」

三浦大知「EXCITE」

スキマスイッチ「奏(かなで)」

YUKI「さよならバイスタンダー」


【2017年2月10日放送分 出演アーティスト】

MUSIC STATION 2時間SP

家入レオ「君がくれた夏」「サブリナ」

AAA「MAGIC」

[Alexandros]「SNOW SOUND」

Perfume「TOKYO GIRL」

NEWS「EMMA」

AKB48「365日の紙飛行機」「シュートサイン」

星野 源「くだらないの中に」「恋」


【2017年2月24日放送分 出演アーティスト】

SHISHAMO「明日も」

LiSA「Catch the Moment」

Hey! Say! JUMP「OVER THE TOP」

平井 堅「僕の心をつくってよ」

EXILE THE SECOND「SUPER FLY」

HKT48「バグっていいじゃん」

X JAPAN「La Venus」

小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」「流動体について」