大阪市立大学医学研究科呼吸器内科学の研究グループは2017年3月6日、主にタバコの煙を吸い込むことで発症する「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」が、運動をすることで予防、改善する可能性があるとする研究結果を発表した。

今回の論文は、COPD分野の学術誌「International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease」電子版に掲載されている。

筋肉が分泌する「アイリシン」に注目

大阪市大の発表によると、COPDを発症した人は肺を構成する「肺胞」の壁が破壊され、気道などが異常に拡大、炎症を起こす「気腫化」と呼ばれる症状が多い。しかし、現在のCOPD治療法やリハビリテーションでは、肺機能の部分的な回復はできるものの、気腫化の根本的な治療や予防はできず、発症メカニズムの解明と新規治療法の開発が望まれていた。

研究グループは、近年糖尿病などの病気の症状が運動によって改善する要因として、筋肉から分泌される「アイリシン」という物質が関係しているとの指摘から、COPD患者の血中アイリシン濃度が健常人より低下しているとする研究に注目した。

同大付属病院に通院中のCOPD患者(平均年齢73歳)40人を対象に、血中アイリシン濃度と肺機能検査、胸部CTにて気腫化の程度を測定した。すると、血中アイリシン濃度は運動量が多い人ほど高く、気腫化が進んでいる人ほど低いことが確認された。

細胞のサンプルを使った実験でも、タバコ煙に含まれる「オキシダント」という物質を投与された肺の上皮細胞にアイリシンを与えたところ、オキシダントによる細胞破壊が顕著に抑制されたことを確認している。

研究グループは、新たな治療法としての確立を目指し、さらなる臨床研究・基礎研究を進めていくという。