米領グアムのミナミオオガシラ(学名:Boiga irregularis)。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ提供(2010年撮影。2017年3月8日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米領グアム(Guam)で樹上性の鳥類の大半を絶滅させた外来種のヘビ「ミナミオオガシラ(学名:Boiga irregularis)」について、8日に発表された研究論文は、このヘビが太平洋(Pacific Ocean)に浮かぶ島の森林も破壊していると指摘している。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された研究論文によると、このヘビの存在により、グアム島では新たに成長する木が92%減少した可能性があるという。

 ブラウンツリースネークとも呼ばれるミナミオオガシラは、第2次世界大戦(World War II)直後に貨物船に紛れてグアム島に入ってきたと考えられている。毒を持ち、夜に狩りをするこのヘビは、最大で体長3メートルにまで成長する。

 鳥類には、木の実を食べてその種を運ぶという重要な役割があるが、このヘビは1980年代半ばまでに、マリアナヒラハシ(別名:グアムヒラハシ)を含む、グアム原産の鳥12種中10種を絶滅させた。グアムヒラハシは世界的にも絶滅している。

 研究論文の主執筆者を務めたアイオワ州立大学(Iowa State University)のハルドレ・ロジャーズ(Haldre Rogers)助教(環境学)によると、ミナミオオガシラの侵入を水際で防いできた近隣のサイパン(Saipan)島では鳥のさえずりが絶えることはないが、グアム島では鳥のさえずりがまったく聞こえず、不気味に静まり返っているという。

 ロジャーズ助教率いる研究チームはこのほど、鳥類の絶滅が熱帯の木の広がりと成長に与える影響を数値化するための実験を行った。

 実験では、グアム島とミナミオオガシラが侵入していない近隣の3島で、それぞれ2種の木の下にフラフープ状の底の浅いかごを置き、地面に落ちる実を観察。それぞれのかごに落ちる種子の数を数えた。グアムの木の約70%には何か知らの実がなる。

 その結果、グアム島では木から離れた場所に運ばれた種子は10%未満だった。一方、ミナミオオガシラが侵入していない島では、少なくとも60%の種子が鳥類に食べられ、別の場所でふんとして排出されていた。鳥に運ばれ、元の木から遠く離れた場所に広くばらまかれたかたちだ。

 研究チームはまた、鳥の消化管を通ることで種子の発芽率が2〜4倍上がることを発見した。鳥の消化管の酵素が、実の硬い外側を壊すのに役立っていると考えられる。

 実験の対象となった2種の木について研究チームは、グアムにおける鳥類の減少により、その種子の散布および発芽の可能性が61〜92%損われていると結論付けた。
【翻訳編集】AFPBB News