自由民主党HPより

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 先週、本サイトで取り上げた"第二の森友学園"疑惑は大きな反響を呼んだ。この疑惑は安倍首相の親友が経営する大学を、政府が国家戦略特区に定めて規制緩和。本来、認可されるはずのない新学部の設置を認め、約37億円の価格がついている市有地がこの大学に無償譲渡されることになったというもの。

 もっとも、森友学園問題については「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とばかりに大報道を展開し始めたマスコミも、この加計学園疑惑についてはまだ怖いのか、本格的に触れようとするメディアはほとんどなかった。

 しかし、そんななか、今週発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版) 3月17日号が本サイトの指摘を裏付けるような記事を掲載。昨日の国会でもこの"第二の森友学園"疑惑が取り上げられた。

 まずは疑惑を簡単に振り返っておこう。"第二の森友学園"といわれるのは、岡山県に本拠を置く加計学園グループ。複数の大学、幼稚園、保育園、小中高、専門学校など様々な教育事業を配下に収める一大教育グループで、現理事長の加計孝太郎氏は、安倍首相の30年来の親友だ。実際、安倍首相は昨年だけでも5回以上、加計氏と食事をしたり、ゴルフを楽しんでいるし、加計学園が運営する大学の記念式典に出席した際は、祝辞で加計氏のことを「どんな時も心の奥でつながっている友人、腹心の友だ」と評していた。

 また、この加計学園には、森友学園同様、昭恵夫人も関わっていた。神戸市東灘区に加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」という認可外保育施設があるのだが、昭恵夫人はそこの「名誉園長」を務めていた。同じくグループである「英数学館小学校」(広島県福山市)の説明会パンフレットには、安倍首相の腹心である下村博文元文科相夫人とともに、昭恵夫人が「英数学館イマジネーション教育への功労者」として挨拶文を寄せていた。

 しかも、加計氏は育鵬社教科書の採択運動を展開する「教科書改善の会」の賛同者であり、安倍首相と思想的に共鳴しているところも、森友学園を彷彿とさせる。

 しかし、何よりそっくりなのは、疑惑の中身だ。加計学園グループは、来年4月、傘下の岡山理科大が獣医学部を新設、愛媛県今治市に新キャンパスを開校するのだが、その認可と土地取得の経緯が非常に不可解なのだ。

 加計学園はもともと、10年前から今治市に岡山理科大獣医学部キャンパスの新設を申請していたのだが、文科省は獣医師の質の確保を理由に獣医師養成学部・学科の入学定員を制限しており、今治市による獣医学部誘致のための構造改革特区申請を15回もはねつけてきた。ところが、第二次安倍政権が発足すると一転、安倍首相は2015年12月、今治市を全国10番目の国家戦略特区にすると決め、16年11月には獣医学部の新設に向けた制度見直しを表明するなど、開校に向けた制度設計を急激に進めていった。

 そして、今年1月4日、国が今治市と広島県の国家戦略特区で獣医師養成学部の新設を認める特例措置を告示、公募を開始した。募集期間はたったの1週間。案の定、応募したのは加計学園だけ。

 安倍首相を議長とする国家戦略特区諮問会議は、1月20日、同学園を事業者として認可し、今治市はこれを受けて、今治新都市第2地区(同市いこいの丘)の市が所有する約17万平方メートルを加計学園に無償譲渡することを決定した。

 1月20日の認可決定の後、安倍首相は報道陣に対して「1年前に国家戦略特区に指定した今治市で、画期的な事業が実現します」と誇らし気に宣伝までしている。

 このいきさつだけでも、今治市への国家戦略特区指定による獣医学部新設認可は"加計学園ありき"で、安倍首相の関与があるようにしか見えないが、前述した「週刊朝日」では、さらにそれを裏付けるような証言が報じられている。たとえば、獣医学部新設に反対してきた日本獣医師会の境政人専務理事は、同誌の取材に対し、安倍首相による国家戦略特区会議や及び分科会に一切呼ばれず、直接意見を述べる機会すらなかったと証言したうえで、「初めから結論ありきのようで、大変残念でした」とコメントした。

 また、身内のはずの自民党議員からも強い疑義が噴出している。地元・愛媛県選出の村上誠一郎衆院議員は同誌にこんなコメントをよせていた。

「過疎地の今治に大学をつくって採算が合うのか。党獣医師問題議員連盟会長の麻生(太郎)財務省や文教族の大物なんかも当初は認可に反対していたのに、同地が国家戦略特区に選ばれて認可が決まった途端に何も言わなくなった。財務省が反対していた案件がひっくりかえるのだから、よほどの『天の声』があったとしか思えない」

 事実、加計学園の周りには、明らかな安倍人脈の存在が見え隠れしている。たとえば、今回の特区指定を決めた国家戦略特区会議の今治市分科会には加戸守行・前愛媛県知事が参加しているのだが、実は加戸前知事は安倍首相肝いりの諮問機関・教育再生実行会議のメンバー。つまり安倍首相の息のかかった人物だった。

 さらに昨日の国会で、加計学園の理事に少なくとも2名の文科省OBが天下りしていたことが明らかになったが、そのうちのひとりで、現在、加計学園の理事と同学園の運営する千葉科学大学学長に就いている木曽功氏は、一時、第二次安倍内閣の内閣官房参与を務めていた元文部科学官僚。安倍首相がゴリ押しした「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界遺産登録にも携わった人物だ。ようするに、安倍首相の側近的役割まで務めた官僚が、加計学園へ天下っていたのである。

 そして、この森友学園問題を彷彿とさせる、"行政による隠蔽疑惑"まで浮上した。

 国家戦略特区は本来、首相官邸ホームページで、その提案についての各省庁からの回答などが公開されている。今治市と加計学園の獣医学部新設の案件は文科省案件であるため、「(文部科学省)国家戦略特区等提案検討要請回答」というファイルにある。

 3月はじめ、このファイルを見てみると、約20件ほどの提案について、「提案主体」のほか「規制等の根拠法令」「制度改革のために提案する新たな措置」、そして「各府省庁からの検討要請に対する回答」などが一覧にまとめられていた。

 だが、加計学園の岡山理科大獣医学部新設案件を指すと思われる提案は、提案主体が「愛媛県 今治市(合同提案)」と記されている以外は、その内容及び省庁の回答などが、奇妙にもすべて「(非公表)」とされていたのである。

 これまた、国有地の売却価格を非公表としていた森友学園とそっくりだが、笑ってしまうのはその後だ。3月になって、森友学園問題がさらに大きくなり、本サイトなど複数のメディアが加計学園問題を「第二の森友学園」として追及。3月3日には民進党の有田芳生議員がこの行政文書における加計学園案件の「非公表」の事実をツイッターで指摘した。

 すると、その数日後、首相官邸は一転、「(非公表)」としていた部分に、情報を書き込み、こっそり公表に切り替えたのだ。明らかに、後ろ暗いところがあるとしか思えないではないか。

 しかも、安倍政権の国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設は、他の地域でもこれから展開されるのではないか、との話もある。前述したように、加計学園グループは元内閣官房参与の文科省OBが学長を務める千葉科学大学を運営しているが、大学が置かれている千葉県銚子市で次の市長選に立候補を表明した前市長が、この大学に獣医学部を新設するための国家戦略特区取得をぶち上げているのだ。しかも、この候補者は、やはり加計学園が経営する岡山理科大学の客員教授だった人物で、市長時代には、千葉科学大学への92億円助成を主導した人物でもある(のちに減額)。

 森友学園もそうだが、安倍首相は直接的な金銭のやりとりがなければ、何をやっても許されると勘違いしているらしい。しかし、長年の親友や、妻が役職を務めている団体や企業に特別便宜をはかっていたとしたら、それは本質的には収賄やあっせん収賄と同じであり、絶対に許されることではない。

 マスコミは反応が鈍いが、この"第二の森友学園疑惑"について徹底的な追及が必要だ。
(編集部)