2月にメジャー1stフルアルバム『SUPERMAN』をリリースした水曜日のカンパネラが3月8日(水)に初の日本武道館公演「八角宇宙」を開催した。

1964年に開催された東京オリンピックの柔道競技場として建築された日本武道館。コムアイはその八角形の構造や陰陽五行説に則って東西南北で色分けされている客席に着目し、会場をひとつの宇宙空間に見立てると予告していた。スーパーマン不在の現代にあって、革新的なポップミュージックを提示することで変化を起こす旗振り役となる決意を示した『SUPERMAN』リリース直後に開催するスペシャルライブの会場として武道館ほどふさわしい場所はないだろう。

会場には大型のビジョンなどはなく、武道館を360度見渡せる黒で縁取られた白い八角形のセンターステージのみがアリーナに設置された。その圧巻の佇まいに開演とともに客席を埋めつくしたオーディエンスは興奮を隠せない様子だった。

定刻を10分ほど過ぎたところで開演。神秘的なSEが会場に流れるなか、ステージから青いレーザー光線が八方を照らす。ほどなくしてアリーナの南側から金団雲を模した神輿に乗ってコムアイが登場。衣装はさながら三蔵法師とクレオパトラが融合したかのようなルックだ。そのままフロアを周遊し、歓喜するオーディエンスを煽りながら1曲目の『猪八戒』を歌う。2曲目『シャクシャイン』では、ステージ中央に立つコムアイを囲むようにVJによる幻想的なグラフィックが投写される。変幻自在のダンスとともにラップし歌うコムアイの一挙手一投足にオーディエンスの視線が集中する。最初のMCからコムアイは武道館でライブをする喜びをあわらにした。
「日本武道館にようこそ!カンパネラのライブにこんなに人が来るんですね!最後まで楽しんでいって!いろんな方向から見てもらうのが好きなので、武道館は私にピッタリだと思ったし、ど真ん中にステージを作ってもらいました」

「いい湯だね、いい湯だね!」とオーディエンスとコール&レスポンスを楽しんだ『ディアプロ』、「影コムアイ」とダンスバトルを繰り広げた『アラジン』、コムアイと1万人がお馴染みの振り付けとともに「きびだーん!きびきびだーん!」と武道館に響かせた『桃太郎』と、序盤から武道館を水曜日のカンパネラワールドに染め上げた。

誰も見たことのない神事を執り行うかのごとき趣向を凝らした演出の数々もオーディエンスの度肝を抜いた。『バク』では頭上から落ちた円柱のジョーゼットがステージを包み込み、その中でコムアイが独創的なコンテンポラリーダンスを披露する場面は、まるで新時代のパフォーマンスアートを観るようだった。続く『ユタ』では黒と白の装束姿のダンサーがそれぞれ33人ずつ登場し、陰陽マークを形作ってコムアイの存在感を際立たせた。

『マッチ売りの少女』では松明のようにしてポイを持った40人の集団がステージに登場。『ナポレオン』では天吊りの三角形のキネティックライトがコムアイの頭上で変形し、『世阿弥』ではハーネスを装着したコムアイが2階の高さまり登り、空中で舞い踊った。

もはや水曜日のカンパネラのライブに欠かせない存在となっているカレーメシくんが登場した『ラー』を経て、本編ラストの『一休さん』ではこの日参加した全キャストがステージに再集結し、コムアイとともに自由なモーションで踊った。

アンコールを求めるオーディエンスの拍手が鳴り止まないなか、コムアイは『ドラキュラ』のサビをオーディエンスと合唱し、さらに普段は表舞台に姿を見せない水曜日のカンパネラのメンバーであるケンモチヒデフミとDir.F(ディレクター・エフ)をステージに呼び込む。「この3人で水曜日のカンパネラです!」とあらためてオーディエンスに紹介し、ケンモチとDir.Fにマイクを渡し歌わせるという、なんともシュールで感動的なエンディングだった。

水曜日のカンパネラにとって初となる武道館公演。それは、歴史ある武道館に「八角宇宙」というビッグバンを起こすような、どこまでも革新的で記念碑的なライブだった。ここから、さらに水曜日のカンパネラは比類なきポップミュージックでありエンターテイメントでありアートを更新するだろう。

6月からは全国ツアー「水曜日のカンパネラ・ワンマンライブツアー 2017 〜IN THE BOX〜」がスタートする。

(写真) 横山マサト