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●「絶対にYahoo! トップになるやつじゃん!」と思った
「おじさんだらけのテラスハウス」……そんな触れ込みではじまった、テレビ東京系ドラマ24『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(毎週金曜24:12〜)。日本映画界を支える名バイプレイヤーである遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研(あいうえお順)の6人が、本人設定で一つ屋根の下で暮らすという展開は、様々な注目を受けた。

渋い組み合わせのはずが、女性たちから「最高の癒やし」と支持を受けたり、俳優たちがこぞって「自分も出たい」と立候補したりと熱気を集める同作だが、作中では「10年前に撮っていた映画」を巡って局面を迎えつつある。反響の裏でどのようなことを考えているのか、そして今一度、同作を振り返るべくテレビ東京 濱谷晃一プロデューサーに話を聞いた。

○テレ東が"駆け込み寺"に

――まず、このドラマが生まれたいきさつについて教えてください。

この企画は、ドリマックス・テレビジョンの浅野敦也さんから提案されたものなんです。2001年に『週刊朝日』で、松重さんはいなかったんですが「日本映画を担う個性派男優五人衆」という企画があって、2002年に下北沢で松重さんを加えたこの6人の俳優さんたちの「6人の男たちフィルムズ」という特集上映があって。

さらに2013年にシネマトゥデイで5人の再会企画があり、その記事を読んだ浅野さんが、「松重さんを含めた6人でドラマを作りませんか」という話を持ち掛け、「やるならテレビ東京ではないか!」と、お話があったというのが成り立ちです。とにかく、この企画を浅野さんからいただいたときは「面白い! 自分も考え付きたかったな。発表したら、絶対にYahoo! トップになるやつじゃん!」と思いました(笑)。

――そういうテレビ東京の色がもう浸透している感じがしますね。

そうですね。ありがたいことにドラマ24、土曜ドラマ24など、テレ東も深夜ドラマで面白いことをやっているという評判が広がったおかげで、外部のクリエイターの方が「面白いこと思いついたけど、どうやって実現しようか?」という時の駆け込み寺になっている気がします。

実際、他の局では一次選考ではねられそうなものを、嬉々として放送しているところはあるかもしれません(笑)。今回こうして、映画業界や他局のゴールデン帯で活躍している6人が、揃ってテレ東深夜に出演しようと思って頂けた事が本当に嬉しいですね。

○リスペクトし合う6人

――6人の俳優が集まったとき、本人役でやろうというのは、どうやって決まったんですか?

すでに企画をご提案頂いた時には決まっていたんですけど、日本映画を支える6人の役者としての生き様というか、本人の魅力をフィーチャーしたいという狙いがありました。

――番組の最後の「バイプレトーク」も楽しみにしています。

実はあのトークは6人の俳優の皆さんからの提案がきっかけなんです。そもそも皆さんは撮影が終わると、必ず6人で飲みに行ってからホテルに戻っていたんですね。その飲み会の話が面白いから、そのまま視聴者に見てもらいたいというご提案がありました。それはドラマとしても新しい試みになってテレ東っぽい!ということで、翌日にはドラマ本編撮影終了後に、飲みながら「バイプレトーク」を収録していましたね。

――この収録があることで、撮影後の飲み会というのは減ったんでしょうか?

いえ、トークが一次会になっただけで、やっぱり二次会には行っていました(笑)。

――それにしても、10数年前に下北沢でイベントがあって、それからもずっと仲がいいんですね。

お互いにリスペクトしあっていますね。普段は無駄話ばかりしていますが(笑)。

●6人のキャラクター像についての反応
○よくしゃべる6人

――撮影現場で何かエピソードはありますか?

本当にみなさんよくしゃべられるんですよね。年長の大杉さんがムードメーカーでもあるので、みんな話しやすくなっていると思います。田口トモロヲさんは、普段は現場であまりしゃべらないのに、この現場ではすごくしゃべっちゃうとおっしゃってました。

――ドラマでは、本人のキャラクターが生かされているところもあるし、ちょっと違う部分もあるんじゃないかと思いますが。

パブリックイメージの本人像をデフォルメしています。大杉さんはお調子者なところもあって、ご本人もそんなに遠くないと思ってるんじゃないかと。遠藤さん本人も心配性だと言ってますし、松重さんもあの6人の中では、自分が家事を仕切らないといけないキャラになるだろうと言っていました。

田口トモロヲさん本人は「自分だけは切り離された宇宙人キャラをふっきってやります」とおっしゃっていましたが、トモロヲさんって内に秘めた狂気をはらんでいるパブリックイメージありますよね?(笑) 光石さんはいつも優しくニコニコしているイメージ通りなんですけど、ご本人は「作中のようにすぐに色恋沙汰に走る人間ではない」と口を酸っぱくして主張しています(笑)。

○一生懸命作っても「ゆるい」

――作品に流れる空気みたいなものも、一貫していると思うのですが、そういうものは、どう作られているんでしょうか。

この企画に関して6人の俳優のみなさんは、出演者でもあり作り手でもあると思います。6人で作る限りは、面白いものを作って他の役者仲間を嫉妬させたいという意気込みもあります。だから、「ここはこういう動きをした方がいいんじゃないか」とか「このセリフは説明しすぎじゃないか」とか、色々とご提案いただきましたね。

――見ていると、そういう全員の楽しそうな空気もあり、一人一人に焦点もあて、そしてミステリーの要素もあったりと、けっこう詰め込まれてますよね。

本人役にしては芝居場もあるし、衝突もするし、撮影のカット割りもけっこうあって、フェイクドキュメンタリーの要素よりも、ドラマとしての作りを強くしました。一方でトークもあり、アドリブもありで、欲張っているかもしれませんね(笑)。

――ただ、最近は、詰め込んだものが楽しみたいという声もありますしね。『シン・ゴジラ』のような。

まあ、企画意図においてはシンプルな方が良いと思っていますが、その方針の中で、視聴者に楽しんでもらうために色々な要素を詰め込んでいますね。でも、テレ東って一生懸命作っても「ゆるい」と言われるんですよね。相当、情報量の基準が低いんですかね(笑)。このドラマのキャッチコピーは「ゆるシブコメディ」でしたが、その割にゆるくない、けっこう詰め込んでいるなとは思っていました。

※後編は3月10日(金)に掲載。「テレビを取り巻くムードが変わってきていると思いますか?」「正直、女子にうけたのは驚きましたか?」といったことお話を伺っていきます。

(C)バイプレイヤーズ製作委員会

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。

(西森路代)