侍ジャパン・小久保裕紀監督(左)と中田翔(右)【写真:Getty Images】

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値千金の一発に興奮の表情も…「実は打ったところを見ていなくて…」

 野球日本代表「侍ジャパン」は8日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド第2戦でオーストラリア(東京ドーム)と対戦し、4-1で勝利した。7回に中田翔内野手(日本ハム)が決勝ソロを放ち、小久保裕紀監督もベンチで興奮の表情を浮かべていたが、試合後に「実は見ていなかった」と明かした。

 まさに値千金の一発だった。1-1で迎えた7回、中田は変わったばかりの右腕ウィリアムズの初球のスライダーを左翼スタンド中段へ運んだ。豪快な一発に東京ドームは大歓声に包まれ、ダイヤモンドを一周した中田は笑顔でナインとハイタッチ。小久保監督も最前列で迎えた。

 本塁打の直後、小久保監督が興奮した表情で打球を見送り、絶叫する姿はテレビ中継のリプレーでも映し出された。試合後には「翔は練習から状態が良くなっていたので、そろそろ1本出ると思っていましたが、最高の場面で出てくれた。筒香の後の彼が打たないと勝てないので、今日のような活躍を今後も期待してます」と嬉しそうに振り返った。だが、中田が打った瞬間はグラウンドを見ていなかったという。

「(コーチ陣と)継投の話をしている最中に打ったので、実は打ったところを見ていなくて……」。指揮官は試合後の公式会見でこう話すと、隣に座る中田に「ごめんなさい」と笑みを浮かべて小さな声で“謝罪”。「打球を追って(本塁打と)分かりました」。このやり取りで会見場は爆笑に包まれた。

 大会前には「そんな長打がボンボン出るとは思っていない」と話していた指揮官。しかし、2試合で4本塁打が飛び出し、いずれも勝利の中で貴重な得点となっている。「あまり期待していなかったので、嬉しいことです」。中田、そして2試合連続2ランを放った筒香を中心に、日本の“パワー”も光り始めている。