6弾となる等身大インプレですが、今回はロータリーエンジン搭載のマツダRX-8を選びました。

ロータリーエンジンの量販に成功したのは、世界でもマツダだけ。残念ながら現在ロータリーは絶版状態ですが、かねてからマツダが不屈の精神で生み出したロータリー車をじっくりドライブしてみたい思っていました。

東京近郊にあるスポーツカー中心のレンタカー店では、ありがたいことに2台のRX-8を貸し出しています。今回選んだのは、RX-8の標準仕様の最終型。215PS5MT仕様ではありますが、熟成を重ねた最後のモデルを味わいたいと考えたのです。

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店舗で対面したブルーメタリックのRX-8は、張り出したフロントフェンダーと小さいキャビン、そして観音開きのリアドアを備えた独特のスタイルで、スポーティなオーラを発散していました。

一番の特徴は、軽量小型なNAのロータリーエンジンをフロントミッドに搭載し、前後重量を50:50にバランスさせた4ドアのFR車であること。しかもMTが選べる上に、大人4人がきちんと乗れるのですから、まさしくスポーティとファミリーを両立した世界唯一無二のパッケージングを実現しているのです。

 思い起こせばRX-8開発当時、マツダは極度の経営不振に陥ってしまい、フォードの傘下に入っていました。もはやロータリーを生かすも殺すも、フォード次第という経営状況だったのです。そして遂にフォードは、マツダが進めていた2ドアスポーツカーRX-7の開発の凍結を決断しました……。

 当時フォードからマツダに赴任した経営陣は「ロータリーこそマツダのアイデンティティである」として、ロータリーの存続を継続を重要課題に位置付けていました。ただアメリカの2ドアスポーツカー市場は、高額な保険料のために販売が激減しており、単独車種では商売が成り立たない状況にあったのです。

そこで第1段階として、ファミリー層向けに居住性と使い勝手を備えた4ドア仕様のRX-8を送り出して販売実績を確保した上で、第2段階のRX-7に繋げていく戦略だったと聞き及んでいます。 RX-8の特徴的な観音開きのリアドアに、そんなフォード流の企業戦略があったと思うと、非常に感慨深いものがあります。

ロータリーエンジンとご対面とばかりにボンネットを開けると、一面立派なカバーで覆われていてエンジン本体を見ることができません(泣)。そこで、カバー下部に2ローター式のロータリーエンジンが、フロントミッドに搭載されている様子を思い浮かべます。

エンジンは、ターボではなくNAを採用。サイド排気ポートを採用することでパワーと燃費性能が向上し、215ps/7450rpm、22kg・m/5500rpmを発揮するとともに、カタログ燃費も10.0km/lと大台に到達しました。またカバー両端から垣間見える3点式タワーバーが、とても頼もしく感じられました。

運転席に乗り込もうとフロントドアを開けると、ドアの長さは4ドアと2ドアクーペの中間ほど。ホールドの良いフロントシートに乗り込むと、着座位置もセダンとスポーツカーの中間の高さで、個人的には大好きなポジション。

また173cmの筆者に合わせた状態で、観音開きのリアドアを開けてリアシートに乗り込むと、程よい空間のリアシートに収まることができます。これも個人的には、長距離ドライブでも窮屈に感じないレベルで、ファミリー利用でも実用的なことがわかりました。

ちなみに観音開きのリアドアは、フロントドアを開けた状態でないと開くことができません。普通のセダンに慣れた方からすると特異な形状かもしれませんが、筆者は長らく2ドアクーペを5人家族で愛用してきたので、よくぞこんなにも凝ったリアドアを具現化したものだと感心しました。

いよいよクラッチを踏んでスタートボタンを押すと、ロータリーエンジンに火が入ります。アクセルを煽ると、「シュル〜ン」とレスポンス良く滑らかに回転を上げる感じ。それはV8エンジンの精密機械のような感触とも、電動モーターの鋭利な回転とも異なるもの。アクセルを煽って「おむすび型」のロータリーの回転運動を思い描きながら、静かで滑らかなロータリーエンジンの鼓動を感じておりました。

 次は、街中と高速走行編に続きます。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

第322弾マツダRX-8のすべて
http://3a.as-books.jp/books/info.php?no=NMS20030524

「最後のロータリー」最終型マツダRX-8のMTモデルに試乗!(その1)【等身大インプレ】(http://clicccar.com/2017/03/08/449316/)