【ライターコラムfrom神戸】イジられキャラ大槻周平 新生神戸の“潤滑油”に

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 開幕2連勝に成功したヴィッセル神戸の雰囲気はいい。もちろん、勝っているという理由もあるが、新加入選手が多い中、チーム一丸に一役買っているのが湘南ベルマーレからやってきたFW大槻周平である。

 田中順也や大森晃太郎、高橋秀人、そしてルーカス・ポドルスキと、ここまで大型すぎる補強がメディアを騒がせてきたせいもあって、今のところ大槻にメディアからのスポットライトは回ってきていない。だが、レアンドロの負傷による交代とはいえ、開幕戦ですでに神戸デビューも果たしている。さらに試合に絡むようになれば、注目される存在になるに違いない。

 大槻というFWはどんな選手なのか。昨季、対戦相手としてマッチアップしたCB岩波拓也は「ほんまにケンカ寸前になったというか、対戦相手としてすごくイヤな選手。身体も強いし、一番やりにくいタイプのFWでした」という。同じチームメイトになった今は「心強い(笑)。普段の練習でもバチバチやりあうし、その中で改めていい選手だと感じる」と岩波は続ける。

 大槻自身は自分の持ち味について「前線での身体を張ったプレーと空中戦の強さ。ゴールという結果にこだわっていきたい」と話す。湘南時代にサポーターから“特攻隊長”と親しまれた男は、いわゆるゴリゴリのストライカーだ。

 だが、ピッチを離れると先輩後輩に関係なく“イジられ”まくる。そのギャップがたまらない。

 練習後に記者たちの囲み取材に対応している際には、帰り際の大森にからかわれ、年下の選手たちに担がれて“周平会”と称して飯をおごらされたりもする。チームスタッフからは愛車をこねくり回されたりもする。それでも大槻は怒らない。「湘南の時もこんな感じでした」と笑顔で話すほど心の広さがある。沖縄キャンプから神戸に戻ってきた直後の新加入選手にはまだ少しチームに馴染んでいない感があったが、大槻がイジられ始めるといつのまにか既存選手と新加入選手の間の溝が消えていた。

 過去の神戸には、イジられキャラとして韓国代表のチョン・ウヨンがいた。質の高いプレーやキャプテンシーだけではなく、彼の温厚な性格がチームを救ったこともある。タイプは違うが、大槻周平にもチームの“潤滑油”的な素質があると思われる。

 まだメディアからそれほど注目を集めていないが、実は大槻の存在は神戸にとって大きい。開幕2連勝の影の立役者が今度はピッチでどんな大輪を咲かせるのか。神戸での初ゴールを楽しみに待ちたい。

文=白井邦彦