夢のあるプロジェクトが発動。左から日独FA・西松社長、オッツェ氏、湘南・水谷社長。(C)SHONAN BELLMARE

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 J2の湘南ベルマーレが、ブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメン、さらには日独フットボールアカデミー(FA)との三者共同育成プロジェクトの発足を発表した。
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 日独FAで育成した優秀な素材を湘南のアカデミーに送り込み、その先にはドイツ、そして欧州チャンピオンズ・リーグという大きな夢が広がるプロジェクトである。
 
 日独FA取締役で発案者の小谷泰介氏は、6年前から実現に向けて動いてきた。
 
「4年前の統計になりますが、欧州チャンピオンズ・リーグでもっとも多くの選手がプレーしていたのは南米のブラジル(60人)でした。他に欧州以外ではアルゼンチンが30人で全体の7番目。これはドイツと同じ数です。ところが日本からは香川真司と内田篤人だけ。ここでプレーする選手の数を、もっと増やさなければ日本は強くなれない。そのためには極力早い年代から、本場でトップレベルに触れさせていく必要があると考えました」
 
 ブレーメンは、1986年にキリンカップで来日しているが、小谷氏は当時選手だったトーマス・シャーフをはじめ、多くのクラブ関係者と、30年以上の歳月をかけて強固な絆を築いてきた。
 
「湘南に具体的な提案をしたのは昨年の夏です。水谷尚人代表取締役からは会って4日後に快諾していただきました。湘南は今年スペインキャンプを実施したのですが、さっそく日独FAの名誉校長に就任したシャーフが視察し、アドバイスを送っています。シャーフは、ブレーメン一筋で17年間プレーし、26年間も指導(監督は14年間)に携わった。ドイツ生活の経験もあるチョウ・キジェ監督にも参考になることが多く、ふたりはすっかり意気投合していました」(小谷氏)
 
 日独FAは、4月にU9〜U12の選手を対象にセレクションを実施。6月から始動の予定だ。
 
 このセレクションでは、同校校長で長くブレーメンのチーフスカウトを務め、ジェフ市原(当時)に在籍した1994年にはJリーグ得点王に輝いたフランク・オルデネヴィッツ(愛称オッツェ)が合否の責を担う。
 
「先日日本で小学生のプレーを見る機会があったが、ブレーメンのアカデミーの子どもたちにまったく見劣りしなかった。是非将来、ドイツで活躍できるような選手を発掘したいね」(オッツェ)
 
 日独FAは、千葉校と神奈川校での活動を予定しているが、神奈川校で実力を認められれば湘南のアカデミーへの道が開ける。また春・夏休みなどを利用してブレーメンを訪れ、トレーニングや試合を行なう予定だ。
 
「現地では、隣でトップチームの選手たちがプレーする環境でトレーニングを積み、本場の雰囲気を体感させる。若年代から、目ざすのはここなんだ、と刺激していくことが大切だと思うんです」(小谷氏)
 
 やがて日本の子どもたちの中から、ブレーメンから巣立ったメスト・エジルのような選手が誕生する日が来るのかもしれない。
 
文:加部究(スポーツライター)