SILENT SIREN『Silent Siren Selection』

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【参考:2017年2月27日〜2017年3月5日のCDアルバム週間ランキング(2017年3月13日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-03-13/)

 1位を獲得したのはEXILE THE SECONDの『BORN TO BE WILD』。前作『THE II AGE』が2014年2月のリリースなので実に3年ぶりのアルバムとなるが、この3年で彼らの位置づけもだいぶ変わったように思える。本家EXILEとしての活動がどちらかというと目立たなくなりつつある中で、EXILE THE SECONDは3代目 J Soul BrothersやGENERATIONSといった他のLDHのグループ以上に「保守本流」としての役割が期待されていくことになるだろう。ちなみに今作は「CD+ブルーレイ/DVD3枚(ライブ、ドキュメンタリー、MV)の計4枚組」というなかなか強烈な形で販売されているが、公式サイトではそれぞれのディスクのティザー映像が公開されている(ライブに関しては1曲ごとにショートバージョンが公開されている念の入れようである)。「音源を売る」というよりは「音源も映像も楽しめる総合パッケージを売る」という彼らのスタンスがよくわかるし、音源が配信で聴ける時代における商売のあり方の一つとしてはよく理解できる。

 さて、今回取り上げるのは9位のSILENT SIREN(以下、サイサイ)の2枚組ベストアルバム『Silent Siren Selection』。これまで発表された楽曲からメンバー自身が選曲した全31曲が収録されたベストアルバムで、レーベル移籍のタイミングでのリリースとなった。

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 31曲というボリューム感からもわかる通り、バンドとしてのキャリアを2012年の最初のCDリリース以来着々と積み重ねてきたサイサイ。彼女たちの楽曲の方向性は2012年11月リリースのメジャーデビューシングル曲「Sweet Pop!」と次のシングル曲「stella☆」(今作の1曲目と2曲目に収録)からほぼ一貫している。ギター、ベース、ドラムの基本的なバンドフォーマットに鍵盤のキラキラ感をまぶすことで生まれる楽しい雰囲気、それをさらに強化するコーラスアレンジ(ハーモニーというよりは掛け合いの要素が強い)、サビで一緒に歌えるようなキャッチーなメロディ。流行り廃りの激しい音楽シーンの中で、“ポップなロックサウンド”というど真ん中の音をぶれることなく志向してきた。この方向性は「読者モデルを中心に結成」といったプロフィールやメンバーのビジュアルレベルからくる華やかなムードとの親和性が圧倒的に高く、それゆえ「本格的なロックバンドではない」というような誤解を生む部分もあったように思える(本人たちも、そういった評判に対するフラストレーションのようなものをインタビューで吐露していたりもする)。

 そんな“ポップなロックサウンド”路線を愚直に続けてきた彼女たちのスタンスは、今作2枚目の後半に収録されている「八月の夜」(2015年8月リリースの10thシングル)と「チェリボム」(2016年3月リリースのアルバム『S』のリードトラック)で非常にハイクオリティに結実している。切なげなキーボードのフレーズを主体とした疾走感のあるバンドサウンドの「八月の夜」はここ数年大量生産されている「テンポの速いロックバンドの曲」の中では群を抜く出来であり、「チェリボム」ではスピーディーな展開の中に遊び心のあるフレーズを嫌味なく取り入れることで彼女たちならではの質感が実現されている。個人的にはこの2曲も収録されているアルバム『S』は2016年のバンドもののアルバムではよく聴いた作品で、もっと話題になってもいいのにと感じていた。もしもその背景に前述したリスナー側の偏見のようなものが横たわっているのだとしたら、とてももったいない話である。

 レーベル移籍を経てリリースされた新曲「フジヤマディスコ」は、これまでの楽曲と比べるとバンドとしての強さや重厚感を前面に押し出したような仕上がりになっている。グループの進化の方向性としては正しいように感じるが、願わくばここまでサイサイが体得してきたいい意味での軽さや可愛らしさも捨て去ることなく「可愛くて強い女性像」を描き出す存在になってほしいと思う。(レジー)