リーグ屈指の突破力で横浜の攻撃をリードする齋藤。そのドリブルはある意味、5バック攻略の手本になる。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1・2節]横浜 3-0 札幌/3月4日(土)/ニッパツ
 
 完敗した札幌だけど、前半の15分まではすごく良かった。“外”を上手く使いながら、“中”に展開していく。去年の良い時も外と中の使い分けがスムーズで、それがこの試合の序盤戦でも披露されていた。
 
 個で見れば、3バックの左、福森のパフォーマンスが目立っていたね。左利きで、効果的なフィードを何本も供給していたし、それがチャンスに繋がっていた。28分には、正確なFKで横山の決定機を演出。これが決まっていれば、また結果は違っていたものになっていただろう。
 
 あとは、兵藤。古巣相手にモチベーションは高かったはずで、豊富な運動量をベースに、攻守両面で存在感を発揮していた。精力的に守備をこなし、攻撃の起点にもなる。今後の札幌で鍵を握る選手になりそうだね。
 
 札幌はゴールを奪うための「形」は持っている。ただ、最後の部分、フィニッシュワークの精度が雑だったり、ミスが多い。勝負どころで決め切れるようになれば、勝点にも繋がっていくはずだ。
 
 一方の横浜は、試合の入りは今ひとつだったけど、劣勢の時間を耐え忍ぶと、徐々にペースを握るようになる。
 
 札幌とは異なり、横浜は確実にチャンスを決めて、試合を有利に進められるようになる。後半が始まってすぐ、バブンスキーの先制点で流れを引き寄せたけど、アシストしたのは齋藤だ。彼のプレーからは揺るぎない自信が伝わってくるし、今は余裕があるんだろうね。
 
 5バック気味に守る札幌に対して、齋藤は縦にもいくし、中にも入っていく。とりわけ、鋭くカットインするドリブルは、寄せてくるDFをひとり、ふたりとかわしてしまうから、札幌からすれば、たまったもんじゃない。誰もがあのドリブルができるわけじゃないけど、齋藤の突破はある意味、5バックの攻略のお手本のようなプレーだね。
 
 H・ヴィエイラのチーム3点目も、齋藤のスルーパスを受けた天野のクロスから生まれたもの。札幌DFの齋藤への寄せが甘かったように見えたけど、横浜の10番は懐に収めるトラップが上手いし、簡単には飛び込めなかったからだと思う。それもすべて、あのドリブルを警戒したからだろうね。

【横浜 3-0 札幌 PHOTO】横浜が札幌を一蹴し3年ぶりの開幕2連勝を飾る
 今季の横浜は大黒柱の中村俊輔がいなくなり、どんな戦いをするかに注目が集まっているかと思うけど、開幕2連勝で首位と良いスタートを切ることができているよね。
 
 齋藤、マルティノスの両サイドのスピードを生かして、奪ったボールを素早く前に運び、効率良くゴールを奪う。チーム全体で共有されているコンセプトがピッチ上で表現されていて、しかも結果に繋げることができている。
 
 でも、これから相手も研究してくるだろうし、問題はキーマンである齋藤が抑え込まれた時にどうするか。そこでリズムを変えたり、セットプレー一発でゴールを演出できる選手――つまり俊輔のような選手がいればいいんだろうけど、その点が今後の課題になりそうだね。
 
 そこで期待したいのが、ボランチの天野だ。正確なキックが蹴れるレフティで、セットプレーでは巻きながら落とすボールや速いボールも蹴れる。早い段階で直接FKを決めれば、本人も自信をつけて、チームとしてセットプレーがさらに武器になっていくはずだ。
 
 その天野と喜田の2ボランチは、齋藤と同じぐらい、今の横浜では欠かすことのできないコンビになっていると思う。
 
 押し込まれる時間帯でも、例えば、喜田が空けたスペースを天野がしっかりと埋めてピンチの芽を摘んだり、ふたりの距離感はほぼパーフェクト。攻撃面でもテンポ良くボールを動かしながら、中盤をしっかり作っていた。
 
 横浜は2ボランチが機能しなくなると、厳しくなるかもしれない。次のゲームはアウェーの鹿島戦。王者相手にどれだけ戦えるか。今の勢いが本物なのか。小笠原やレオ・シルバ、永木ら実力者が揃う中盤との攻防も見ものだね。