囲み取材に応じたイルカ

 フォークシンガーのイルカが、デビュー45周年を記念して東京国際フォーラム・ホールAでおこなったコンサートの模様が今月19日に、NHK BSプレミアムで『イルカ45周年 青春のなごり雪コンサート』として放送される。これに先立つ7日、イルカがNHK放送センターで報道陣の取材に応じ、出演した伊勢正三、松山千春や小田和正らが口を揃えて「これはお宝映像だよね」と語ったという奇跡的なライブについて思いを語った。

なごり雪コンサート

 1970年に、亡夫・神辺和夫さんと組んだバンド「シュリークス」でデビューしたイルカ。1974年には「あの頃のぼくは」でソロデビュー。1975年にリリースした「なごり雪」はいまもなお歌い継がれ、ほかにも「海岸通」「サラダの国から来た娘」「雨の物語」などのヒット曲を発表し続けてきた。

 レコードデビューは、シュリークスとして1971年に発表した「君の生れた朝」になり、これから数えて今年45周年となる。同番組では、1月15日に東京国際フォーラム・ホールAでおこなわれた『デビュー45周年 青春のなごり雪コンサート』の模様を、楽屋での様子を交えて放送。4Kで撮影したハイクオリティ映像とともに届けられる。

豪華出演者

 この放送を前にこの日、イルカが報道陣の取材に応じ、「気がついたらこんなに長く歌わせて頂いて嬉しいことだなと思っています」とコメント。自身がナレーションを入れるなど番組の編集に立ち会い、一足先にその映像を確認したという。「非常に臨場感を感じました。日頃、自分のステージを見ることが無いので、ああ、皆さんこういう風に見えているんだ、4Kってすごいなと思いました」とその映像美に感嘆の声を漏らした。

 このコンサートには、伊勢正三や太田裕美、小椋佳、小田和正、松山千春、南こうせつという錚々たる顔ぶれが出演。「お声掛けした皆さん全員がまさか来てくれるとは思わず、それぞれの持ち時間が短くなってしまうので申し訳ないなと」と感動と同時に恐縮もしたという。

 しかし、出演者たちは「イルカのコンサートなんだからイルカに合せるよ」と言ってくれたといい、「なるべくジョイントをやっていきたいと提案して、みんな『いいね!』と言って頂き、私にとって1曲1曲すべてが宝物になりました」と公演を振り返った。

 打ち上げの席では「これはお宝映像だよね〜」と、これからもう見られないかもしれない奇跡的な公演に彼ら自身も驚いたようだ。

頑張りすぎない

囲み取材に応じたイルカ

 この番組では公演前に楽屋のイルカにも密着。その中で「頑張りすぎない」ということをメッセージとして伝えたいとイルカは語っている。その真意について「私は還暦もとっくに過ぎたのですが、自分の好きな事はやっぱりコンサートだなと思いました。少しでも長くやるためにどうしたらいいかと考えて、2年ほど前からギターをスタンドに固定してライブをおこなうようにしました。ギターも重いので(笑)」と衰える体力も工夫しながら補えると話す。

 そして、「今はストレス社会とも言われます。年々人間も年老いていくので、それを隠すことはないんじゃないか、と思うようになりました。お客さんも色々問題抱えていると思いますけど、格好悪くてもできることをやっていけばいいんじゃないかという思いを赤裸々にステージで見せてます」とステージに込めたメッセージを明かした。

オーバーオール

 オーバーオールがトレードマークであるイルカ。意外にもスタイリストはつけておらず、ステージ上の衣装は全て自身でデザインして調達しているという。

 オーバーオールに惹かれたきっかけについて「レオン・ラッセルのライブ映像を観たんですよ。レオンの後ろで歌っていたコーラスの女の人達がダボダボのオーバーオールを着ていたんです。それが恰好よくて。レコーディングでロサンゼルスを訪れた時に古着屋などを巡って買い集めて。今でも大事にしています」と昨年亡くなったボブ・ディランやローリング・ストーンズら数多くのミュージシャンとも共演していた米シンガーソングライターのレオン・ラッセルさんのライブ映像だったことを明かした。

ムッシュかまやつさん

 また、ライブなどで共演したこともあり、1日に亡くなった、ムッシュかまやつ(かまやつひろし)さんについて「私たちみんな、仲間が悲しくおもっています。ムッシュさんはフォーク、ニューミュージックより前から活躍されてた大先輩なんです。でも共演する時や、打ち上げでは堅苦しいことも、上から物言うことも一切しない方でした」と故人の穏和な人柄を偲んだ。

 当時を振り返り「音楽的センス、生き方、全部大好きでした。(ムッシュさんの)従姉妹の森山良子お姉さまとおこなっていたコンサートにはよく混ぜて頂いていました。親戚同士でステージに立てるなんて羨ましいと言ってました…」と共演した思い出を語った。

 デビューを改めて振り返り、イルカはそのきっかけを作ってくれた、神辺和夫さんについて「夫が亡くなって10年になります。私の持ってる力を初めて認めてくれた方。彼がいなかったら、私は歌ってないと思います。私はもう一人のイルカは夫だと思っています」とその存在の大きさを今も感じているようだった。

 イルカはこれからの活動について「やりたいことが多すぎてどうしましょ(笑)」とまだまだ好奇心旺盛な様子を見せた。そして「今後は伝統的なものづくりと音楽、そして環境活動を繋げていきたい」と今後の夢を語った。(取材・撮影=松尾模糊)

番組情報

『イルカ45周年 青春のなごり雪コンサート』
1月15日 東京・国際フォーラム・ホールAで収録
NHK BSプレミアム
放送日:19日後10時50分〜20日 前0時20分
出演:イルカ、伊勢正三、太田裕美、小椋佳、小田和正、松山千春、南こうせつ