【ライターコラムfrom柏】柏のルーキー古賀太陽が秘める可能性…失意の日立台デビュー戦で得たもの

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 J1第2節のG大阪戦の75分、背番号26のルーキーがプロデビューを果たした。今年U-18から昇格したばかりの古賀太陽である。

 現在の柏の中軸を担う若きCBコンビ、中谷進之介と中山雄太、柏U−18出身の2人のデビュー戦もホーム日立台でのG大阪戦だった。中谷は2014年、中山は2015年、ともにルーキーイヤーにプロデビューを飾り、その後出場機会を増やして現在の活躍につなげたとあって、今回のG大阪戦の試合前々日、古賀は2人の先輩に自分の姿を重ね合わせ、「もしG大阪戦でチャンスをもらえたら頑張ります」と出場への意欲を高めていた。

 それを受けてのプロデビューとなったわけである。だが、結果は満足のいくものではなかった。

「自分を入れて最終ラインを4枚にして、シンくん(中谷)との自分の間にボランチを入れて高い位置を取るという指示だったんですが、それがなかなか伝わらず、指示されたようにできませんでした。守備でも簡単にクロスを上げさせてしまったのは反省しなければいけません…」

 自身の出来について、古賀の口から出る言葉は、すべて反省の弁でしかなかった。

 ただ、古賀が中谷と中山に続くブレイクの可能性を感じさせるのは、「日立台でのG大阪戦でプロデビューを飾った」というジンクスだけが理由ではない。

 柏U−18時代には高校1年生にして左SBのレギュラーポジションをつかみ取り、2014年高円宮杯U−18プレミアリーグEAST優勝メンバーとなった。右利きながらキックの精度は左右とも遜色なく、高い戦術眼とビルドアップ能力を兼備し、2種登録になった昨年からは本職の左SBだけでなく、最終ラインの全ポジションにチャレンジをして幅を広げつつある。「早い段階でピッチに立つ可能性のある選手」と、指揮官がかねてから起用の可能性を示唆していたように、下平隆宏監督からは非常に高い期待を受けている。

 本来ならルーキーが直面するプロのフィジカル面、スピード面も、182センチ71キロの恵まれた体格を持つためか「そこは課題とは捉えていません」と頼もしい言葉を残す。

 課題があるとすれば、優しく、おとなしい性格ゆえ、それがピッチ上では時にメンタル的な“弱さ”へと姿を変えてしまうことだろう。ただその点も、かつて「メンタル面が最大の課題」と言われていた酒井宏樹が、試合出場を重ねるごとに大きく自信をつかみ、一気に世界へと羽ばたいていったように、古賀がこの先の経験次第で十分克服できる課題だ。

 事実、古賀はG大阪戦のわずか15分ほどの出場時間の中で様々なものを得た。彼の意識には、すでに変化が現れている。

「プロの試合にデビューしたことで、いかに日頃の練習で周りの声に助けられているかがわかりました。この経験を生かして、練習から『言われなくても気づいているよ』という感じで状況を把握して、自分で見て、考えて、判断してやっていかないといけないと思います」

 今井智基、ユン・ソギョンと、柏のSBには早くも故障者が出ており、チームの台所事情としては厳しい状況ではあるが、古賀にとっては大きなチャンスが舞い込んでいる。

「G大阪戦の経験は、次につながると思います」

 そう言って、次節の出場への意気込みを語る古賀。10日の川崎戦で、この18歳の若者がプロ初スタメンに名を連ねる可能性は決して低くはない。

文=鈴木潤