WBC小久保裕紀監督(中西祐介/アフロスポーツ)

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 3月6日、第4回ワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕した。3月7日には日本代表(愛称:侍ジャパン)の初戦が行われ、第1回大会の決勝で戦ったキューバと対戦し、11対6で勝利した。地上波でテレビ中継され、その平均視聴率が22.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことから、注目度が高かったことがわかる。

 ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)、田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、岩隈久志(シアトル・マリナーズ)など、期待された米大リーグ選手が続々不参加を表明し、さらに参加を予定していた大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ)、嶋基宏(東北楽天ゴールデンイーグルス)などの国内選手もけがなどで相次いで離脱し、“小粒感”が否めないなか、上々のスタートを切ったとの見方が大勢を占めている。

 確かに、ムードメーカーの松田宣浩(福岡ソフトバンクホークス)や主砲の筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)がホームランを打つなど、大量11得点を挙げたチームのムードは良さそうだ。

 だが、いくつか懸念点も浮上している。

 特に、多くの専門家や評論家から疑問を呈されているのは、小久保裕紀監督の継投策だ。先発の石川歩(千葉ロッテマリーンズ)は4回1失点と及第点のできで、2番手の則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)につないだまではよかった。則本は5、6回を完璧に抑えたが、7回に突如崩れた。1アウトも取れずに3点を献上。その後、2死を取ったが、再びヒットを打たれたために降板。日本代表を取材しているスポーツ紙記者はこう語る。

「則本は、15年に開催されたWBSC世界野球プレミア12でも、韓国との準決勝で7回まで1安打に抑えていた大谷の後を受け、8回を3人で完璧に抑えましたが、9回に突如大崩れして韓国に逆転負けを喫しました。気合いを前面に押し出して投げるタイプですが、国際舞台では気合いが入りすぎて、フォームが崩れる傾向があります。そうなったときに、傷口を最小限に抑える継投が必要です。しかしベンチでは、楽天の“絶対的エース”である則本への配慮もあって、代えるタイミングを計りかねているようです。交代を告げられた則本は、自分へのふがいなさからか、代えられたことへの不満か、怒りをあらわにしていました。“ハレモノ”状態といった感じです」

 さらに、9対4と5点リードで迎えた8回にマウンドに上がった平野佳寿(オリックス・バファローズ)が、2死2、3塁のピンチを招くと、すかさず秋吉亮(東京ヤクルトスワローズ)にスイッチした。それが裏目に出て2点タイムリーを浴びた。この継投には、テレビ解説をしていた第2回WBC優勝監督の原辰徳氏が「この継投の意図がわからない」と疑問を呈したのをはじめ、多くの解説者から批判の声があがっている。

 9回のマウンドを託された牧田和久(埼玉西武ライオンズ)も、連打を浴びて満塁のピンチを招くなど、投手陣に不安を残す試合となった。

 小久保監督は、次戦についても「(先発予定の菅野智之<読売ジャイアンツ>に)球数制限いっぱいいっぱい投げてもらいたいと思いますし、その後をなんとかつないで」勝ちを狙いたいと話している。これについても、複数の専門家が「“なんとかつないで”ではなく、確固たる継投策をつくらなくてはならない。短期決戦では、少なくとも8、9回は安心して任せられるパターンを用意するべき」と指摘している。

 大乱戦の引き金をつくった則本は、取材陣に「収穫はあるので、どうこう言われる筋合いはない」と言い残し、足早に去った。

 今後、日本代表は1次ラウンドで、8日にオーストラリア代表、10日に中国代表と対戦する。いずれも格下ではあるが、不安を払拭する戦いぶりを見せてほしい。
(文=編集部)