連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第23週「あいを継ぐもの」第129回 3月7日(火)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田新三


129話はこんな話


紀夫(永山絢斗)が実父・五郎(堀内正美)を招いて自分を婿養子に出したときの話を聞く。そしてようやくさくら(井頭愛海)を嫁に出す決意を固めるのだった。

命をつないでくださったご先祖さまがいるからだ


「わしらのことを恨んでるのか?」とまず聞くお父さん。
何十年も経って、じつは恨んでいたという話になったらこわいが「べっぴんさん」はそういうドロドロドラマではない。
さくらを嫁に出すことで、坂東家が途絶えることを心配している紀夫に、五郎が含蓄ある言葉を。

「家を継ぐっていうのはなんだろうな。
名字が変わっても、紀夫という大事な息子はいまここにいる。生きている。
紀夫が生きているということは、これまで命をつないでくださったご先祖さまがいるからだ。
長い長い歴史のなか、なにごとも形を変えていく。それでも想いだけは。
想いというのは形を変えて引き継がれていくもんじゃないのか」

その言葉に、すみれも紀夫も、ひとり娘を嫁に出すことを認める。その代わり、さくらのおじいさん、おばあさんに当たる五十八(生瀬勝久)とはな(菅野美穂)の想いを語り継ぐ。
継いでいるのは、はな、ゆり、すみれ、さくら・・・花の名前もそうで、「美しく花咲く人生を送ってほしい」という父(紀夫)の願いだ。
結婚の報告を、大急会長(伊武雅刀)にしに来たその日のさくらのシャツはピンク(さくら色よりは若干濃い)だった。

結局、嫁には行ったものの「家と製作所がいっしょやったのはほんまにいやで」という健太郎の想いから(前にも言ってたし相当いやだったのだろう、あの構ってくるおばちゃんたちがいやなんだろうなあ)、坂東家に同居することになった。おそらく村田家と坂東家が歩み寄った結果だろう。健太郎、いわゆる“マスオさん状態”である。

ドラマの初期から登場していた田中五郎(堀内正美・神戸在住)ががぜん存在感を表した129話。
堀内は、知的で育ちの良さを感じさせる役を無理なく演じることのできる数少ない俳優のひとり。「べっぴんさん」でも貴族院議員だった。
朝ドラ『鳩子の海』(74年)でも重要な役を演じたほか、90年代以降のウルトラシリーズの実相寺昭雄監督の回によく出演していることでも有名。ちょっと不思議な世界を撮った作品に出演して鮮烈な印象を残してきた。少年ドラマシリーズ「七瀬ふたたび」(79年)の超能力者・岩渕恒夫役の用心深そうな演技が素敵だった。

東京の生まれだが神戸に移住して長く、「阪神淡路大震災1・17希望の灯り」という支援活動を行っている。
東日本大震災の際にも支援活動をした堀内正美だから、命を想う台詞には強い説得力があった。
今週土曜は3.11。東日本大震災から6年が経つ。

あれは3年前


1973年、武ちゃん(中島広稀)が歌っていたのはちあきなおみの「喝采」。72年に発表されて、その年のレコード大賞受賞。当然紅白歌合戦にも出ている。のちものち、「ウルトラマンダイナ」のつるの剛士もカバーしている。なぜか、「べっぴんさん」、ウルトラマンとうっすらつながっている。
それはともかく、
開発宣伝部の部長になった健太郎
取締役になった武ちゃん。
さくらは妊娠。
さて、これからどうなりますか。3年経ってもまだマスオさん状態なのだろうか。
(木俣冬)