東日本大震災関連倒産 震災後月次推移

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 3月11日で「東日本大震災」から丸6年を迎える。「東日本大震災」関連倒産件数は累計1,785件(3月7日現在)に達した。また、倒産企業の従業員被害者数は2万7,809人にのぼり、1995年の「阪神・淡路大震災」時の6.3倍に膨らんだ。都道府県別では、島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生して全国に及んだ。

「震災」関連倒産は累計1,785件、2016年は月平均8件ペースで推移

 「東日本大震災」関連倒産(以下、「震災」関連倒産)は、2017年3月7日現在で累計1,785件に達した。ちなみに1995年の「阪神・淡路大震災」時では、関連倒産が発生から3年で収束し、累計314件だったのと比べて5.6倍の規模になっている。
 各年別では、2011年が544件、2012年490件(前年比9.9%減)、2013年333件(同32.0%減)、2014年175件(同47.4%減)、2015件141件(同19.4%減)、2016年97件(同31.2%減)と推移してきた。2016年は震災時2011年の5分の1に減少して収束傾向が目立った。ただし、月平均ではいまだ8件ペースで発生し、震災の影響から脱却できない企業がまだ多いことを物語った。

「間接被害型」が9割を占める

 被害パターン別では、取引先・仕入先の被災による販路縮小や受注キャンセルなどが影響した「間接型」が1,625件(構成比91.0%)だったのに対し、事務所や工場などの施設・設備等が直接損壊を受けた「直接型」は160件(同8.9%)にとどまった。

倒産企業の従業員被害者数は2万7,809人、「阪神・淡路大震災」時の6.3倍に

 「震災」関連の倒産企業の従業員被害者数は、2017年3月7日現在で2万7,809人に達した。
 1995年の「阪神・淡路大震災」時は4,403人(3年間で集計終了)で、単純比較で6.3倍に膨らんだ。都道府県別では、東京都が9,045人(構成比32.5%)で全体の約3分の1を占めた。次いで、宮城県2,181人(同7.8%)、北海道1,326人(同4.7%)、大阪府1,264人(同4.5%)、栃木県1,176人、神奈川県1,023人、福岡県1,003人と7都道府県で1,000人を超えた。
 また、震災で甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の被災3県の合計は3,585人(構成比12.8%)にのぼった。なお、倒産企業の従業員数は正社員のみで、パート・アルバイトなどを含んでいないため、倒産企業の実質上の従業員数はさらに膨らんでいるとみられる。

都道府県別の発生率、宮城県が最高の29.7%

 都道府県別では、島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生した。1995年の「阪神・淡路大震災」時では23都府県だったのと比べて2倍に広がった。津波の被害が東北沿岸部から太平洋側の広範囲に及んだため、被害の甚大さも重なって影響が全国規模に拡大した。
 都道府県別の倒産件数のうち「震災」関連倒産の占める構成比(2017年2月までの累計)では、宮城県が29.7%で最も高かった。次いで、岩手県が24.7%、福島県が17.3%、山形県が12.6%、青森県が9.9%と続く。直接被災した東北地区が上位を占め、青森県と秋田県(5.2%)を除く4県が2桁台を示した。
 全国平均の年別構成比では、2011年5.0%、12年4.0%、13年3.0%、14年1.8%、15年1.6%、16年1.1%と低下した。地区別では、東北が2011年に23.4%と約4社に1社を占めたが、12年21.5%、13年21.5%、14年14.1%、15年12.8%、16年9.7%と推移してきた。ただし、累計の構成比は17.1%にのぼり、全国平均(2.8%)を大きく上回り、東北地区では震災の影響が甚大だったことを裏打ちした。

産業別件数、「サービス業他」が全体の4分の1を占める

 産業別では宿泊業、飲食店などを含む「サービス業他」が473件(構成比26.4%)で最多、次いで「製造業」が401件(同22.4%)、「卸売業」が332件(同18.5%)、「建設業」が217件(同12.1%)、「小売業」が166件(同9.2%)と続く。「サービス業他」が多かったのは、被害の規模が大きく、広範囲な業種に影響が及んだことを反映した。
 各年別でみると、震災直後の2011年と2012年は、サプライチェーンの寸断、工場の被災などを背景に「製造業」が最も多かったが、2013年以降は、飲食業や宿泊業などを含む「サービス業他」の全体の比重が高くなり、また、従来の顧客先の喪失や縮小を強いられた「卸売業」も構成比を広げた。

業種別最多は、ホテル・旅館などの「宿泊業」

 また、より細分化した業種別でみると、ホテル・旅館などの「宿泊業」が107件で最も多かった。次いで、「飲食料品卸売業」が99件、「食料品製造業」93件、「総合工事業」と「飲食店」が各90件と続く。
 「宿泊業」は、経営不振企業が多かったところに、東日本大震災で、旅行や行楽の自粛で客数の落ち込みに拍車がかかり経営を支えきれなくなったケースが頻発したことが要因に挙げられる。さらに、震災による施設の被災などを機に事業継続をあきらめるケースもみられた。
  また、「飲食料品卸売業」や「食料品製造業」などでは、原発事故の「風評」被害が倒産の引き金になった事例もあった。「飲食店」は震災直後の「自粛」ムード、「総合工事」は建築資材不足による工事遅延や中止から経営体力を弱める企業が多かった。いずれにしても業績が震災前の水準に回復することができなかった企業の破綻が目立った。

形態別では破産が最多、事業「消滅型」が9割を占める

 倒産形態別では、最も多かったのが破産の1,299件(構成比72.7%)だった。また、民事再生法が134件(同7.5%)、特別清算が30件、会社更生法が10件で、法的倒産が1,473件(同82.5%)と8割を占めた。一方、私的倒産では取引停止処分が233件(同13.0%)、内整理が79件(同4.4%)だった。
 法的倒産の推移では、震災時2011年の消滅型(破産と特別清算)の構成比が86.3%(341件)だったのに対して再建型(会社更生法と民事再生法)の構成比は13.6%(54件)だった。
 消滅型の構成比は、2012年が86.8%、13年が94.1%、14年が93.7%、15年が95.4%、16年が94.7%と拡大傾向をたどったが、再建型は13年以降は1割を割り込み、震災の影響を受けた企業では事業再建が容易ではないことを浮き彫りにした。


 まもなく「東日本大震災」から丸6年を迎える。これまで政府は、震災直後の2011年7月に策定した「東日本大震災からの復興の基本方針」において、復興期間を10年間と定め、復興需要が高まる2015年度までの5年間を「集中復興期間」として復旧・復興に取り組んできた。
 さらに、2016年度から2020年度までの後期5年間を「復興・創生期間」と位置付け、地方創生のモデルとなるような復興を実現することを目指している。
 ただし、復興庁の調べによると、全国の避難者等はいまだ約12万7,000人(2017年1月16日現在)にのぼり、震災の傷あとの深さを物語った。
 こうしたなか「震災」関連倒産は収束傾向をたどっているが、2016年は月平均では8件ペースで発生し、震災の影響から脱却できない企業が依然として多いのが現状だ。倒産に至らなくても事業再開が軌道に乗らず、事業継続を断念したケースも相当数あったとみられる。
 復興の進展に伴い、地域や個人、企業からのニーズは 一層多様化をみせている。これに対応した、よりきめ細かな支援が今まで以上に必要になっているといえよう。

震災関連の集計基準

「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3つのどれかに該当するものを集計している。

  1. 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
  2. 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
  3. 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
  • 集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
  • 「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。

倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)

  • 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
  • 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
  • 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)