イバンカに接近したり、アリババ会長に100万人規模の雇用を約束させるなどして、トランプ懐柔に成果を見せつつある習近平。一方、ダボス会議では突然、これまでの「ナショナリスト路線」から「グローバリスト路線」に発言を転換。多方面にわたる「工作」を行っている。 写真:新華社/アフロ

写真拡大

大統領就任からわずかな期間でトランプ大統領の言動が変わった。当初は「ロシアを味方にして、中国に勝つ」だったはずが、「ロシアにより厳しく、中国に優しく」になっているのだ。問題は、この変化が中国の工作によって起きていることだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

「イバンカを取り込め!」
中国の対トランプ工作が始まった

 大統領就任前、トランプは、はっきりと「反中」だった。昨年12月2日、彼は台湾の蔡英文総統と電話会談をして大騒ぎになった。

 米国は1979年、中国と国交を樹立し、台湾と断交。以後、米大統領は「台湾は中国の一部」とする「一つの中国の原則」を尊重し、台湾総統と話さなかったとされている。ところが、トランプは就任前からこの「伝統」をぶち壊したのだ。そして、「『一つの中国の原則』を認めるかどうかは、ディール次第」と語り、中国を恐怖させた。

 しかしトランプは2月9日、習近平との電話会談で、あっさり「一つの中国の原則」を認めた。翌2月10日、トランプは安倍総理との会談後の記者会見で、米中関係について、「非常にうまくやっていけると思う」と語った。その後、彼から中国に対する挑発的な言動は出ていない。

 問題は、「なぜトランプは変わったのか?」である。

 BBCニュースのキャリー・グレイシー中国編集長は2月27日付で、トランプを軟化させた「中国の工作」について、詳しく書いている。いくつか興味深い点をピックアップしてみよう。

 中国がトランプを変心させるためにまず行ったのは、「家族を懐柔すること」だった。

<中国政府は、トランプ大統領が過去の大統領のようには政権を運営しないということをすぐに理解した。
そして家族の重要性が目に留まった。
トランプ氏自身や政府高官が中国の主要人物と会談をするより以前、そして中国の新年である春節にトランプ氏が新年の挨拶を公開しなかったとして中国のネット界で不満が溢れるなか、駐米中国大使の崔天凱氏は、トランプ大統領の娘イバンカさんに巧みに手を差し伸べた。>(太線筆者、以下同じ)

 どうやって「手を差し伸べた」のか、具体的には書かれていない。しかし、「工作」がうまくいったかどうかは、「結果」でわかる。結果は上々だった。

<ワシントンの中国大使館で行われた春節の祝宴にイバンカさんが出席した姿は広く報道され、イバンカさんは両政府の分断に橋を渡した。>(同上)

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)