Crew blog:緩和ケア看護師のBonnie Wareさんが、人生に残された時間はあと数週間という患者さんたちに、「人生で最も後悔していることは何ですか」という質問をしたところ、次の5つが回答としてよく挙がりました。

他人の期待に応える人生でなく、自分が本当に望む人生を歩む勇気をもつべきだった仕事をこんなに必死にするんじゃなかった自分の気持ちを表現する勇気を持つべきだった友人たちとのつながりを維持すべきだったもっと幸福感を感じられるようにすべきだった

上記の5つの後悔について、私は仕事をしながら考えてみました。

私の毎日もご多分に漏れず緊急のことがたくさんありますが、その多くは、メール、会議、情報共有、電話などの些細な作業です。

それはまるで金利の高いクレジットカードを完済しようとしているかのようで、身を粉にして働いてもほとんど焼け石に水の状態です。1週間を振り返り、自分が何か有意義なことを成し遂げたか思い出そうとしても、何1つ思い浮かびません。いったいどうしてこんなことになるのでしょうか。

Evernote社CEOのフィル・リービンさんがスタンフォード大学で講演した際、まさにこの問題を取り上げて、人生において緊急なことと重要なことの識別の仕方について論じました。

「緊急な作業」とは今すぐ対処が必要な作業のことです。

たとえば、かかってきた電話を取る、締切が迫っている作業をするなど、素早い対応を要する状況にある作業のことです。メールの返信も、それをする必要がある場合は、通常は緊急作業です。

「重要な作業」とは、長期的なミッションや目標に貢献する作業のことです。

書きたい本を執筆する、プロモーションのために作成したいプレゼンを作成する、創業計画中の会社の設立準備をするなどがそれにあたります。

問題は、普段は重要な作業より緊急な作業を優先させてしまうことです。1日24時間という限られた時間の中で、重要な作業のために時間を取り分けるにはどうしたら良いのでしょうか。

判断マトリックスを使って重要なことを見極める


何が重要か見極める1つの方法は、アイゼンハワーの判断マトリックスを活用することです。


緊急非緊急重要度高方針:今すぐ実行する方針:いつやるか決める実行する日時をスケジュールに入れる例:
本日分の記事を書く例:
エクササイズをする
家族や友人に電話する
記事を調べる
長期的ビジネス戦略を立てる重要度低方針:他人に委任する方針:ToDoリストから削除する誰にやってもらうか決める例:
面接をスケジュールする
フライトを予約する
コメントを承認する
特定のメールに返信する
記事を共有する例:
テレビを見る
ソーシャルメディアをチェックする
ジャンクメールを整理する

アイゼンハワーの判断マトリックス。「重要なことが緊急であることはめったに無く、緊急なことが重要であることもめったに無い」とは、このマトリックスを編み出したアメリカ合衆国第34代大統領 ドワイト・D・アイゼンハワーの言。


米陸軍元帥、第二次世界大戦下の欧州連合軍最高司令官、コロンビア大学学長、アメリカ合衆国大統領(2期連続)を歴任したドワイト・アイゼンハワーが編み出したこのシンプルな表は作業を4つのカテゴリーに分類しています。

上段左の箱(重要かつ緊急)には、危機的事項、締切、問題を入れます。

上段右の箱(重要だが緊急でない)には、人間関係、長期的プロジェクトの計画、リクリエーションが入ります。

下段左の箱(重要でないが緊急)には、中断、会議、活動が入ります。

下段右の箱(重要でも緊急でもない)には、時間の浪費になること、娯楽的活動、その他の些末な作業が入ります。

重要でも緊急でもない作業は、簡単に削除できます。頭を悩ます必要もなければ、なるべく時間をかけたくないことだからです。 重要かつ緊急なことには、真っ先に取り組まなければならないことも明白です。

では、残りの2つに関してはどのように優先順位をつけるべきでしょうか。そこが難しい点です。 ほとんどの人は自然と緊急な作業を先にしてしまいます。問題は、常に緊急な作業ばかりしていると、重要な作業はできなくなることです。緊急な作業は常に次から次へと出てきて、どれほど頑張っても、全部こなすには時間が足りません。 「○○は本当に重要なのに、今、それをする時間が無い」とつぶやいたことはありませんか? そうつぶやくたびに、重要な作業と緊急な作業の間でトレードオフをしているのです。

時間は作るものだ。「時間が無い」と言うことは、「時間を作る気が無い」と言っているようなものだ。
──老子
明日に延ばしてもいいのは、やり残して死んでもかまわないことだけだ。
──ピカソ


本当にやるべき「重要な作業」を「緊急な作業」にする方法


重要な作業を緊急にする最も簡単な方法は、締切を設定することです。 緊急な作業は締切があってこそ緊急になり、すぐにその作業をしなければならないということに他なりません。締切が無いと重要なこともまるで重要でなくなることがよくあります。そのうちにやろうというレベルのことに成り下がってしまうのです。

たとえば、月末までに家賃を払わなければならないとしましょう。この場合は月末が締切です。その締切が近づくほど、支払いという作業はどんどん緊急性を増します。

一方で、身体を鍛えるという目標があっても、それはまったく緊急ではありません。月末までにジムに行く必要があるでしょうか。多分違いますよね。 ですから、重要な仕事を成し遂げたいと思うなら最初にすべきことは、締切を設定することです。重要な仕事は細かい作業を山のようにたくさん伴うことが多く、締切を設定するには、細かい作業に分解してその1つ1つに締切を設定する必要があります。 私が好きなアプローチは、David Allen氏が自著『Getting Things Done』に書いている次の問いかけです。

この作業を進めるには、次にどんな具体的な行動を取るべきだろうか?

締切を設定する必要がある作業は、この問いかけの答えとなる作業です。 さて、いよいよ肝心かなめの部分に入ります。というのは、締め切りを設定するだけでは不十分だからです。


厳格な締切が必要な理由


緊急な作業を緊急たらしめているもう1つの性質は、交渉の余地が無い厳格な締切がある点です。 その手の締切を守らないと、深刻な結果を招くことになります。

たとえば、家賃の不払いがこれに当たります。まず大家に呼び出されて怒られるでしょう。社会的なプレッシャーに弱い人なら、これだけで期日にきちんと家賃を払うことになるはずです。そうしないと、最後は法廷に呼ばれて、追い出されることになります。これは、たいていの人にとって十分深刻な話です。 重要な作業の締切を設定する際の問題点は、その締切が自動的には厳しいものにならないことです。月末までにジムに行くこと、と設定して、その締切を守らなかったとしても、基本的に何ら困ることにはなりません。

では、どうしたら締切りにもっと意味を持たせられるのでしょうか。そのコツをいくつかご紹介しましょう。


1. 公言する

締切に厳しさを持たせる方法の1つは、そのことを公言することです。周囲に対して締切に関する報告責任が発生すると、自分をごまかしているだけでは済まなくなります。逆に言えば、締切の日を公言して設定すると、本当にそれを守った方がよくなることです。自分であまりにも野心的に設定してしまった締切の厳守を迫られるときのストレスのようなものは一切ありません。


2. 飴と鞭を設定する

締切の厳しさを増す別の方法としては、締切を守れたときのご褒美と守れなかったときのペナルティを設定することです。先にこうした飴と鞭を設定しておき、それを執行するのは自分以外の人にしましょう。たとえば、自分が大嫌いな政党宛てに2000ドルの小切手を書いて友人に託し、自分が締切を守れなかったときは、友人にその小切手をその政党に送ってもらうように頼んでおきます。


3.他人に説明責任を持たせる

チームのメンバーなどの他人に締切の説明責任を持ってもらうには、あなたにとってその締切がどれほど重要かを相手に認識させることが大切です。あなたは締切破りは許せません。ということは、途中チェックしますし、締切が守られない場合は気まずいことも言うということです。これをしないと、当然のことながら、周囲はその締切がそこまであなたにとって重要だとわからないかもしれず、先延ばしや締切を守らない頻度がどんどん高くなるかもしれません。


4. 自分で着実なリマインダーを設定する

着実なリマインダ―が無いと締切りを忘れてしまいがちです。緊急の作業だと、友人や配偶者がお尻を叩いてくれたりして、自然とリマインダーがくっついていることが多いものです。重要な作業に関しては、自分でリマインダーを設定しなければなりません。デスク周りにメモを貼る、スケジューラーにリマインダーをセットする、バスルームの鏡にメモを貼る、など、必要なことは何でもしてみましょう。 いかがですか? ここにご紹介したことはものすごく大変そうでしょうか? 最初はそうかもしれません。でも、段々と楽になり、ストレスもそれほど感じなくなるはずです。 緊急の作業で丸1日を、丸1週間を、丸1年を、あるいは下手すると一生をバタバタ追われて終えてしまうかもしれません。しかし自分のエネルギーの大半は重要な仕事を達成するために注ぐべきであり、少なくとも人生の終わりに時間が無くてやり残したことを悔やむことが無いようにすべきでしょう。


Urgent vs important: The simplest way to stay productive and do the right work | Crew blog

Jory MacKay(訳:春野ユリ)
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