使いやすいキッチンとは? #根本きこの島ごはん

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人生14度目の引っ越しを済ませた。ということは、これまで14箇所の台所を経た、ということだ。
最初の2回はまだかなり小さい頃だったとはいえ、10箇所もの台所で作業してきたと思うと、なんともヤドカリのような気持ちになってくる。なかには最初から「仮住い」という心持ちで作った台所もあるし、「終の住処」という覚悟で作った台所もある。
今回の家はどうなるかわからないけれど(こればかりは誰にもわからない)、現段階の経験則から言うと、広い台所よりも、こもれるくらいのサイズの方が、わたしにとって居心地がいいことがわかった。そしてできればここで原稿も書きたいし、音楽も聴きたい。
シンクとガス台の一直線の並び、向かい側には収納付きの作業台がある。ストック食品や大鍋などを仕舞う部屋は別に設け、洗いあがった食器は自然光が当たる場所で干すことができる。理想の台所の条件はこんなふう。
今回、引っ越しした台所でいちばん最初に作った料理は焼いた鶏手羽だった。理由は、すぐ近所に地元客に人気の焼き鳥屋さんがあって、夕方になると、なにやらそこから炭火のいい匂いが漂ってくる。まるでタイの路地裏のような懐かしい匂い。その匂いが日々、わたしたちを大いに誘う。ふらふらーっと匂いにつられてお店には2回ほど行ったけど、鶏手羽の下味についている、業務用おろしにんにくの独特の味がどうも馴染めず、結局は「家で焼いて食べよう」ということになったのだ。
でもこの焼き鳥屋さん、北海道出身のご主人がやっているだけあって、やけに「ホッケ」がおいしい。ホッケ事情にはとんと疎いわたしだけど(ようするに居酒屋にあまり行く機会がないということ)、きっと、おいしいホッケだと思う。それから子どもにはお会計のとき、ロイズのホワイトチョコバーをくれる。
さて、台所。じつはまだ、完成はしてない。未完成のその場所で、今日はカリフラワーと冬瓜のココナッツカレーと、沖縄産イノシシとフェンネルの辛いカレーを40人分作った。働く台所は、いつでも稼働を要請させる。

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