皆さま、こんばんは。デジモノステーションの息抜き地点。月に一度のお慰み。プロ野球デジタルニュースです。

ワールドベースボールクラシックの話題で持ち切りのタイミングではありますが、ちょっと時間をさかのぼった2017年2月1日、日本プロ野球では12球団が一斉にキャンプインを果たし、宮崎、沖縄、果ては遠くのアメリカ等で、球春到来を告げておりました。さて、キャンプの時期は、球団的にもシーズンの新たな試みが発表されたり、新たなデジタル機器が試験的に導入されるなど、技術の革新が次々と発表される時期でもあります。今シーズンもより便利で新たな仕掛けが登場するであろうプロ野球、なかでも注目すべきは「チケットの価格変動制」ではないでしょうか。

首位攻防戦ではチケット価格は高騰し、最下位に低迷すると安くなる!?



アメリカではすでに導入されている「チケットの価格変動制」。これまでのチケットはネット裏、内野席、外野席など席種で値段が決まっていましたが、価格変動制はその名の通り、天候や順位、対戦チームなどの条件に応じてチケットの値段が変わるというもの。簡単にいえばチケットが争奪戦となる首位攻防戦ともなれば値段は高騰し、最下位に低迷し犬もそっぽを向く消化試合となれば格安になるというもの。

これを取り入れたのが、さすがのIT先進企業、福岡ソフトバンクホークスと東北楽天イーグルスの2球団。

福岡ソフトバンクホークスはチケット価格を人工知能で算出



このキャンプでも、乗っただけで重心や力のかけ方がわかるという一台80万円の体重計を導入した、相変わらずデジタルな話題に事欠かない福岡ソフトバンクホークスは、2月5日に本拠地ヤフオクドームでの主催全試合の一部の席にチケット変動制を導入することを発表。天候や順位、対戦チーム、相手先発などの条件を人工知能のAIが判断し、座席単位で値段を算出するといいます。AIです。昨年北海道日本ハムを退団した阿井英二郎さんではありませんよ。すごいですね。



なお、福岡ソフトバンクホークスは昨年も変動幅の制限付きで試験的に取り入れていたようですが、今期はその制限も取り払い、本格的な導入に踏み切るそうです。

東北楽天イーグルスでも、試合前日までにチケット価格が変動



もうひとつの導入球団が東北楽天イーグルス。球団創設から13年目となり、すっかり東北のチームとして人気も根付いた同球団。最近ではチケット完売も珍しくなくなったことを受けてか、観客のニーズに応えるために、今シーズンからは主催試合の全チケットが価格変動となる模様です。

今季の楽天のチケットは全試合がカードや席種に応じた「時価」になるとのこと。たとえば本記事公開時点の2017年3月7日現在、本拠地開幕戦となる4月4日ソフトバンク戦のVIPシートは9200円。


▲ 2017年4月4日ソフトバンク戦のチケット価格表(2017年3月7日現在)

一方で平日となる12日の埼玉西武戦では同席が6000円と3200円の差がついていますが、これも試合前日までに価格が変動し、チケットを購入するタイミングで差が出てくるようです。


▲ 2017年4月12日埼玉西武戦のチケット価格表(2017年3月7日現在)

まさに試合はナマモノであることの証明。ここで感慨深いのは、かつて’80年代には関西私鉄沿線にある駅前の喫茶店などで、「どうぞご自由に」とばかりに無造作に置かれていた野球観戦チケットが、長い年月を経て変動価格制でも勝負できるまでの人気を得たということですね。ただ、ファンの視点で本当に適正と思える値段になるのかは、実際に始まってみないとわからないところではあります。

メジャーリーガーが使っている秘密兵器をAmazonでポチれる時代に



続いてはキャンプで目にした新兵器のニュースです。

昨秋の阪神キャンプではバットの角度や軌道、スイングスピードなどが計測できる「スイングトレーサー」が採用されるなど、最近は各球団でボールの回転数やスイングを詳細に解析できるデジタル機器が次々と登場していますが、今春のキャンプでもやっぱり見つけちゃいました。

それが、今季マリナーズからオリックスに加入した新外国人、ステフェン・ロメロ外野手がアメリカで購入し、キャンプに持ち込んだとされる『Blast Motion Blast Baseball Replay Motion Sensor』。

彼はMLBでは愛好者も多いというこの秘密兵器を使用して打撃練習をしているとか。これもスイングの解析をしてくれるツールなのだそうで、スマホを使ってその場で確認をしながら、軌道のチェックなどができるのだそうです。

ちなみに、このシリーズはバスケットやゴルフ、スケボーといったバージョンも出ているようで、日本でもAmazonから輸入品を購入することができるとか。お値段約3万5000円。スポーツ分野における技術の進歩もすごいのですが、メジャーリーガーが使っている秘密兵器が日本の一般庶民でもポチポチと買えてしまうこの違和感。つくづくすごい時代になったものです。

今月も脳天カチ割れるほどデジタルでしたね。それではまた来月のPBDNでお会いしましょう。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2017年4月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。

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