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「抹茶」をコーヒー、チョコレートに次ぐ第3の柱に位置づけ、市場開拓を進めるネスレ日本。まずは日本市場に抹茶を売り込むが、将来的にはグローバル展開を視野に入れる。舶来品だった“お茶”が独特の世界観にまで昇華した日本の抹茶文化だが、ネスレ日本による抹茶の輸出は成功するのだろうか。

○抹茶版“アンバサダー”が登場

2004年にキットカットの宇治抹茶味を発売したネスレ日本にとって、抹茶は目新しい商品ではない。しかし、2017年の事業戦略発表会に登壇した同社の高岡浩三社長兼CEOは抹茶を「第3の柱」と言い切った。2012年から右肩上がりで拡大する抹茶製品市場を開拓し、インバウンド需要も取り込みたい意向だ。

新しく始めたサービスとして目を引くのは、抹茶版“アンバサダー”ともいうべき「ネスレ ウェルネス アンバサダー」だ。飲み物を作るマシンを職場や家庭に置いてもらい、その後はコーヒーの粉や飲み物のカプセルなどを継続的に売っていくというビジネスモデルを抹茶でも展開する。ネスレ日本によると抹茶にはポリフェノールの含有量が多く、その健康効果をアピールすることで抹茶の日常的な飲用を訴えていくという。

○海外に抹茶を流通させるインフラが存在

それでは、将来的に海外展開が成功する可能性はあるのだろうか。まず、ネスレ日本がグローバル企業ネスレの一員であるというのは重要な要素となる。

ネスレは世界で436の工場を持ち、189カ国で製品を販売している。抹茶のビジネスが日本で成功し、その健康効果なども確かめることができれば、ネスレ日本の成功例としてグループ内で注目を集める可能性がある。抹茶を海外展開するには地域に合わせた味のローカライズが必要になりそうだが、ネスレのネットワークを使えば地域ごとの特性も把握しやすそうだ。

もう1つ見逃せないのは、ネスレ日本が抹茶を世界展開するための“インフラ”をすでに所有しているということ。つまり、カプセルをセットして抹茶を作るマシン「ネスカフェ ドルチェ グスト」が、これまでに世界80カ国以上で累計3,000万台の販売実績を築き上げているという事実だ。ちなみに、日本では同マシンを2007年に発売し、これまでに累計200万台を出荷しているという。

このインフラ、つまり抹茶の世界的な流通網をすでに持っているネスレ日本は、まずはカプセルを売り出すだけで海外展開に乗り出せる。単純に茶葉を水で溶いただけではうまく作れない抹茶だが、マシンがあれば泡まで本格的な抹茶を海外に届けられる。

古くて新しい飲み物である抹茶を次のビジネスの柱に育て上げるというネスレ日本。まずは日本で受け入れられるかどうかだが、うまくいけば海外市場開拓に使える武器に育つ。

(藤田真吾)