チャック・ウェンディグ著のスター・ウォーズ正史小説三部作『Aftermath(アフターマス)』。三部作の最高傑作という声も聞こえる、先日発売されたばかりの第三部『Aftermath: Empire's End』から、これまで謎だった映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』と『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の間に起きた出来事を紐解いていきましょう。


小説『Aftermath: Empire's End』のストーリーそのものを解説するものではありませんが、その性質上ネタバレを含みますのでご注意ください。

『Empire's End』の1つ前の話となる第二部『Aftermath:Life Debt』に関する記事「スター・ウォーズの正史小説『Aftermath:Life Debt』で今までの秘密がすべて明らかに」を先に読んでおくと、本記事に登場する人物や出来事がわかりやすくなります。


帝国には計画があった


帝国を自分自身の無限の力の源として活用しようとしていたパルパティーン皇帝。彼はどうやら帝国は自分無しで存在すべきではないとも考えていたようです。「船長は自らの船とともに沈むべき」という考えの逆で、言ってみれば「もし船長が沈むなら、船の乗組員も船長とともに木っ端微塵になれ」という感じ。パルパティーンは『Aftermath』シリーズの敵役、ガリウス・ラックスに「帝国を粉々に」する仕事を任せます。

『ジェダイの帰還』での反乱軍とルーク・スカイウォーカーによる「エンドアの戦い」の行動には大きな意味がありましたが、銀河帝国の分解の早さにはパルパティーン自身の計画も影響を与えていたわけです。

またパルパティーンは、この銀河を去り、他の銀河へと向かうための計画もしていたようですが、この計画が完成したのは皇帝の死後。しかし皇帝のスーパー・スター・デストロイヤーは最終的にその別銀河に赴き、どうやらそこがファースト・オーダーの多くを生み出した場所のようです。この皇帝の計画を知ったうえで『ジェダイの帰還』を見直すと面白いかもしれませんね。


ジャクーはあなたが思うより興味深い場所


170224aftermathee2.jpg

image: The Force Awakens, Lucasfilm/Disney


パルパティーンの秘密計画の1つには『フォースの覚醒』に登場したレイの育った惑星、ジャクーが含まれていました。実は以前のジャクーは水と植物に覆われた惑星だったのです。ある時点で砂漠の惑星へと変わってしまいましたが、星の核には未だ命の「火花」が隠されています。

ジャクーはパルパティーンが「観測所」(Observatory)を作った惑星のうちの1つ。この観測所には皇帝が必要と考えた、シスのアーティファクト、武器、牢獄などがどっさり貯蔵されていました。また、その全てに皇帝の旗艦のレプリカと、皇帝の顔が照射されており、皇帝のように振る舞うようプログラムされたセンチネル・ロボットもいたようです。ジャクーに建造された観測所はパルパティーンによる「私が死んだ時のため」の計画に含まれていたものでした。それぞれの観測所は、それ自体で惑星をまるごと破壊してしまうことも可能でしたが、ジャクーはかろうじてその運命を逃れたのです。

ジャクーはまた、ガリウス・ラックスの故郷でもあります。孤児であったラックスは、ジャクーの宗教団に面倒を見てもらい、「宗教のために隠遁者生活をおくる者」(Anchorite)となるための誓いをたてています。子どもたちは他の隠遁者たちとともに育てられるのですが、彼らの期待は過酷なものでした。

ある時点ではノラ・ウェクスリーがジャクーの労働奉仕キャンプに登場しています。ノラの持つレーションは、『フォースの覚醒』でレイが食べているものと全く同じよう(「風船のように膨らむパン」)。ノラとレイが同じものを食べているというのは興味深くもありますが、このレーションは帝国軍と反乱者が戦っていた時期に使われていたものでありそんなに不思議なことでもありません。

『フォースの覚醒』ではスター・デストロイヤーの残骸なども見ることができ、いまだ残骸漁りが行なわれていたジャクーですが、これも「ジャクーの戦い」の壮絶さを知れば不思議ではありません。『Empire's End』ではその戦いの様子も知ることができるのですが、戦闘中にはウェッジ・アンティリーズがティアフォン基地を拠点とするスターファイター中隊「ティアフォン・イエロー・エース」について言及しています。ヘルメットに描かれた黄色い反乱軍のマークが目印のティアフォン・イエロー・エース(「ヤヴィンの戦い」で戦死したジェック・ポーキンスもその隊員だった)ですが、『フォースの覚醒』でAT-ATの家にレイが持っていたヘルメットも、「ジャクーの戦い」に参加していた彼らのものなんです。


170224aftermathee3.jpg

image: Temmin “Snap” Wexley, Lucasfilm


『フォースの覚醒』に登場しグレッグ・グランバーグが演じたテミン・”スナップ”・ウェクスリーも「ジャクーの戦い」に参加しています。前述のノラ・ウェクスリーの息子であるスナップは、「ジャクーの戦い」でウェッジのファントム中隊の一員として飛び、ジャクーに墜落します。

その後スナップは『フォースの覚醒』でみたような無精髭を生やし、この時点ではほぼ義理の父親みたいな存在となったウェッジ・アンティリーズの指導の元、共に惑星ホズニアン・プライムにある新共和国のフライト・アカデミーへと向かいます。ホズニアン・プライムは『フォースの覚醒』でスターキラー・ベースに破壊されてしまいます。その時にウェッジがホズニアン・プライムにいたかどうかは不明です。まだ生きているといいですが…。


帝国亡き後、犯罪が増加


銀河で二大勢力が互いに戦うという構図は犯罪組織にとっては好ましいことだったよう。あまりにも美味い状況なために、犯罪組織は戦争が終わって欲しくはなかったようです。犯罪シンジケート「ブラック・サン」(*)と、タトゥイーンの外にある犯罪シンジケート「レッド・キー・レイダース」は、新共和国を戦争へと向かうように仕向けるために協力したりも。その方法は、もう帝国は始末が付いたので、新共和国は奴隷商人や密輸業者、武器密輸業者などに目を向けるべきだというもの。新共和国の戦争が長引くことが、犯罪組織にとっては好都合だったのです。

(*)「ブラック・サン」:今や消された拡張世界、ゲームや小説などでマルチメディアに展開した『スター・ウォーズ 帝国の影』ではプリンス・シゾールやグリ率いる犯罪シンジケートとしても登場していたものだが、犯罪シンジケートの設定は正史に組み込まれたよう。

戦争のお陰で宇宙海賊たちは帝国軍の軍用装備品にも手を付けることができるようになりました。『Empire's End』には、『Life Debt』に登場した「無法空間を支配する宇宙海賊」としての自らの権力を強固にしようとするエレオディー・マラカヴァニャ(Eleodie Maracavanya)が再登場。本書では、マラカヴァニャが自分の宇宙船団にジャクーから逃げる帝国の船を攻撃するよう指令、この「後始末」にかかった費用を新共和国に請求すると宣言しています。さまざまな場所を拠点とし、全く異なる勢力が多く登場するスター・ウォーズ・ユニバースにあって、これらの犯罪組織はちょっとした例に過ぎません。


フォース関連のカルト団体も多数


170224aftermathee4.jpg

image: The Force Awakens, Lucasfilm/Disney


1つのインタールードでは、クローン大戦時に分離主義勢力と共和国がぶつかりあった惑星クリストフシス(TVアニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』で登場)へと向かおうとする巡礼団を描いています。クリストフシスには多くのクリスタルが存在し、どうやらフォース感受性のあるカイバー・クリスタルも見つかるようです。多くのクリスタルがデス・スター建造のために使われましたが、「フォースの教会」(the Church of the Force)の巡礼団はそれらのクリスタルをもとにあった場所に戻そうとしています。また、フォースの教会はフォースやジェダイについて記されている可能性のある「ホイルス銀河史」(The Journal of the Whills)を閲覧できる状況にあるよう。その一部は『フォースの覚醒』のノベライズ版にも記されていますが、本書ではもうちょっと詳しく書かれています。

我々の魂の中の真理

それは何も真実ではないということ。

人生への問い

それは、それを知った後どうするか?

重荷は我々に

苦行を与え、切り開く。

フォースが我々すべてを結ぶ

ある視点から。


面白いことにこの最後の部分「あるひとつの視点から」(from a certain point of view)は、実は『ジェダイの帰還』に出てきたオビ=ワンのセリフと同じです。「ベイダーが裏切り、父を殺した」とルークに告げていたオビ=ワン。なぜそう言ったのかと尋ねるルークに対してオビ=ワンはこういいます。



お前の父はフォースの暗黒面に誘惑されたのだ。アナキン・スカイウォーカーであることを辞め、ダース・ベイダーと成った。それが起きたときお前の父であった良き人間は破壊された。見方によれば、私の言ったことは真実なのだよ。(So what I told you was true, from a certain point of view.)

つまり嘘をついたことに対するオビ=ワンの抗弁は「ホイルス銀河史」の内容そのままの受け答えなわけですね。

フォースの教会は、フォースのライトサイドを信奉していますが、カイロ・レンもそのメンバーであるレン騎士団と関連のある、もしくはその前身となる団体も登場します。その1つが『Life Debt』にも登場した「アコライト・オブ・ザ・ビヨンド」(Acolytes of the Beyond)。彼らの一部はアニメ『クローン・ウォーズ』にも登場した惑星デヴァロンで活動していました。フォースの教会と同じく、アコライトもまた誰もがフォースでつながっていると信じていますが、すべての命がフォースの一部であると考えるフォースの教会とは違い、アコライトは誰もがフォースの意思の奴隷となっていると考えていました。つまりフォースのダークサイドを使うものは、フォースという存在の運命と戦うことのできるものだ、と考えていたのです(まあ、かくいう彼らもまた、その思想を人々に押し付けていたわけなんですが)。アコライトは死したシスのビジョンに導かれていると信じていました。デヴァロンのアコライトはシスのライトセーバーも手にしています。

彼らの指導者のひとりはユーペ・タシュー(Yupe Tashu)です。タシューは生前のパルパティーン皇帝に助言を与える役割を持ち、またラックスを助ける人物でした。タシュー本人にはフォースは使えないものの、彼はダークサイドの力にどっぷり浸かっていました。タシューは、フォースのダークサイドが染み込んだマスクが力を与えると信じていました。彼は何らかの思惑があったようで、怒り狂う一人のアコライト信者キザ(Kiza)にマスクとライトセーバーを与えています。それもあってかアコライトは「デヴァロンの戦い」で勝利を収めたよう。マスクへの信仰心はなんだかカイロ・レンやレン騎士団にも繋がる気も、カイロ・レンがダース・ベイダーのマスクに示した執着心の説明にもなります。


ベン・ソロの誕生


「ジャクーの戦い」で帝国が負け、帝国の主となる評議員マス・アメダ(Mas Amedda)は自らを投獄しようというラックスの策略から逃げ延び、新共和国に連絡、帝国を代表して降伏し、戦争が集結します。そしてこの「降伏受領書」にサインがなされたその日にベン・ソロが誕生したのです。

ベン・ソロの誕生の重要性は、銀河中にさまざまな噂を招くほどでした。ルーク・スカイウォーカーはその場に居たとか居なかったとか、難産だったとかそうでなかったとか、生まれたときには髪が生えそろっていたとかいないとか、多くの噂が流れました。その中のひとつは、ベンは生まれた時にすべての歯が生えそろっていたというもの。これは実在の人物であるナポレオン、カエサル(シーザー)、ヘンリー8世などでも噂された不吉な前兆=オーメンです。生まれたときからこんな噂に囲まれて育つのはベンとしても大変だったでしょう。

レイアは彼を身籠っていたときに「彼は人間の形というよりかは、脈打つ、生きた光の帯だった。時には暗くなるその光は、時おり暗黒の脈へと突き出すこともあった」と語っていました。さらに、あからさまな伏線のようにも感じられますが、どうやらルークはレイアに、誰もが皆、光と闇を混えるものだと語ってもいたようです。


新共和国


『ジェダイの帰還』と『フォースの覚醒』の間をつなぐ正史小説『Aftermath』シリーズでは、なぜレイアが新共和国と共にファースト・オーダーと戦うのではなく、レジスタンスを設立せねばならなかった理由を明確にしています。その理由は、基本的には新共和国は鈍足な政治の世界から抜け出せないでいるから。帝国の残党船団がジャクー上空をうろついているにも関わらず、本作の中ではずっと、モン・モスマに反対する人々のせいで帝国に反撃するのがとても難しくなっている様子が描かれています。モン・モスマは軍事行動を認可する最初の投票で負け、それが最後の戦いを行き詰まらせたのでした。もし帝国を全壊させるという皇帝の目標をラックスが引き継いでいなければ、新共和国はここで帝国を潰すという最後の機会を失っていたことでしょう。

実務を政治が上回ってしまう新共和国を描いた別の例も見てみましょう。『Life in Debt』で起きたキャッシークの解放で活躍した人々は表彰されるとともに仕事を失いました。表彰は解放行動が成功し、PRの面でよく見えるため。一方で干されてしまったのは、これが認可された作戦ではなかったからです。その結果、ウェッジ・アンティリーズのような人々が(2つのデス・スター攻撃に参加し生き延びた唯一のパイロットである彼でさえも、と言ったほうがいいかもしれません)、パイロットとしての仕事を与えられなくなってしまいました。

同時に帝国亡き後、大きくなったのは新共和国だけではありませんでした。新分離主義連合(The New Separatist Union)、企業星系連合(the Confederacy of Corporate Systems)、統治緯度(Sovereign Latitudes、この名前は宇宙海賊たちの自治団体)などが、空いた地位を占めようとしていると、モン・モスマは言っています。


ファースト・オーダーの基盤


170224aftermathee5.jpg

image: The Force Awakens, Lucasfilm/Disney


『フォースの覚醒』でドーナル・グリーソン演じるアーミテイジ・ハックス将軍がなぜあんなにも影響力を持っているのかも描かれます。前作でも暗示されていましたが、本作で登場するアーミテージの父親ブレンドル・ハックスは、とても忠実で優秀な子供の兵士たちを作り出す訓練手法の設計者でした。ブレンドルは自らの子供が好きではなかったようで、アーミテージはあまり良い扱いをされていませんが、彼の手法でアーミテージを鍛えるようにラエ・スローン大提督に司令を受けています。ハックスは父親が訓練した第1世代の兵士たちの指揮を任されます。これが『フォースの覚醒』のこのセリフに繋がるわけです。



カイロ・レン:お前の兵士たちはどれだけ優秀かな、将軍?
ハックス将軍:私の手法を疑わせはしない。
カイロ・レン:彼らは大逆には長けているようだが。スノーク最高司令官はクローン兵を使うことを考えるべきかもしれんな。
ハックス将軍:私の兵士たちは並外れた訓練を受けている。生まれたときからプログラムされている。


一番重要なことは、アーミテージ・ハックス将軍とその若き優秀で忠実な兵士たち、アーミテージの父親、そしていくらかの将校たちは皇帝に「忠実」であるとみなされ、パルパティーンの指示で行なわれた計算をもとに別の銀河へと旅立ったということ。これがファースト・オーダーの力の基盤となったのは確かです。


チューバッカの息子、ランピー再び…


170224aftermathee6.jpg

image: © Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved


『スター・ウォーズ』の黒歴史こと、最後まで見るのが辛くなる1977年の『Star Wars Holiday Special』に登場したチューバッカの妻マーラ(Malla)と義理の父親イッチー(Itchy)、そして息子のランピー(上写真)。ランピーは拡張世界の中ではちゃんとしたキャラクターとして成長していき、正式な名前はランパワロー(Lumpawaroo)に、その後ワルー(Waroo)となりました。

本書ではキャッシーク解放後、チューバッカはランパワローと再会を果たします。つまりあの悲惨な黒歴史から、少なくとも一部は正史に組み込まれたということ。それをどう感じればいいのかは皆さんのご自由に。

他にもベン・ソロが生まれる前のハンとレイアの関係や、銀河の邪魔者ジャー・ジャー・ビンクスの運命までが描かれた『Aftermath: Empire's End』、英語の本ですが、もしかしたら誰もが気になる『最後のジェダイ』への伏線も張ってあるかもしれません。スター・ウォーズの世界に興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。

・SW正史小説「Aftermath」の作者が語る「スター・ウォーズ」ユニバース

top image: Cover of Aftermath: Empire’s End, Del Rey
source: Wookieepedia 1, 2

Katharine Trendacosta - Gizmodo io9[原文]
(abcxyz)