こうした拷問は中国全土の収容施設で用いられているとみられる。拷問の対象は主に政治犯、人権・民主活動家、禁止される信仰を放棄しない人(チベット、ウイグル、法輪功、キリスト教信者) など犯罪していない良心の囚人である (Photo by Brendon Thorne/Getty Images)

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北京空港で出国直前の王さん(本人提供)

 

 「この商品を購入したあなた様へ、この手紙を世界人権団体にお渡し頂けませんか。中国共産党政権の迫害を受けているここの数千人は永遠にあなたに感謝いたします…」。2012年10月、アメリカでハロウィングッズに隠された中国強制労働教養所の受刑者からのこのSOSレターが国際社会に衝撃をもたらし、話題になった。昨年12月米国に渡った差出人の中国人男性(50)はこのほど大紀元の取材で当時の境遇を語った。

 男性の名前は孫毅。大学卒業後、1994年に国営大手・中国石油集団のグループ会社に入社。中国共産党政権が1999年から禁止する気功・法輪功をやめないとの理由で2001年9月に懲戒免職となり、以来の16年間、延べ5回で計4年3カ月間拘禁され、逮捕を逃れるため長年全国各地を放浪したという。

 2008年2月〜10年9月に馬三家・強制労働教養所に収監された際に、孫さんは受刑者の作った輸出用の商品に何通もの手紙を隠した。「ここの人々は土日も休めず毎日15時間以上の重労働を強いられ、日常的拷問を受けている。その大半は犯罪を犯していない法輪功愛好者だ」と訴え、国際社会による助けを求めるものだった。

 孫さんが釈放された2年後の2012年、米オレゴン州の女性は以前購入したハロウィングッズからそのうちの一通を発見し、コピーをフェイスブックに公開した。後にCNNが彼にたどり着き、匿名と顔モザイクを施したインタビューを放送した。 

 今回の取材で孫さんはうけた拷問を、絵をまじえて説明した。

 色んな姿勢でベッドに縛りつけられる。一見それほど無理な体勢ではない。だが、十数時間、数日間、十数日間、場合によっては数十日間も同じ姿勢で動けないとどうなるのか。

拷問手法(図・孫毅さん)

 

 孫さんが最長8昼9夜この「大文字縛り」にされ、その間一睡もできなかったという。一瞬たりとも寝てしまうと、体重の重みで手錠が手首に食い込み、激痛で目が覚める。また両脚が象の足のように腫れて膿と血が滲み出る。「四肢が裂かれるような激痛で、その苦しみは言葉で到底表現できない。自殺したくてもできない、まさに生き地獄だ」と孫さんはいう。終わりのない苦痛で発狂する受刑者がよく頭をベッドの鉄柵に打つため、看守が後頭部にクッションがわりのタオルを敷いた。それは「死にたくても死なせない」ということであり親切心からではない。

 
拷問手法(図・孫毅さん)

 医療用のベッドに受刑者を捕縛、し尿はベッドの穴から垂れ流す。「死人床(死人ベッド)」と名付けられている。口腔を開けた状態に保つ治療用の開口器を差し込んだまま、タバコの灰や痰などの汚物を流し込む。約8カ月間ずっと固定された孫さんは解かれた後、手足の筋肉や靭帯などの損傷により自力歩行できず、口も閉じられず、完全回復まで1年間以上要した。

拷問手法(図・孫毅さん)

 

 こうした拷問は中国全土の収容施設で用いられているとみられる。拷問の対象は主に政治犯、人権・民主活動家、禁止される信仰を放棄しない人(チベット、ウイグル、法輪功、キリスト教信者) など犯罪していない良心の囚人である。

 実績に応じて看守には多額の奨励金が支給される。一般の受刑者に命じて拷問させるのも日常茶飯事で、「よくやった」者は減刑などの優遇を受ける。孫さんを暴行し、口に痰を吐き、目や鼻に唐辛子粉を吹き込んだ刑事犯は評価されて早期釈放になったという。

 一方、拷問被害者のほとんどは体に後遺症が残り、記憶障害やうつなどの精神疾患を患ってしまう。孫さんが知る人権弁護士は出所後に精神分裂症を発症したという。

 取材の最後、孫さんは「このような残虐な国家犯罪に沈黙してはいけない、無視は共犯に等しい」と訴え、各国政府に対して、良心の囚人への迫害をやめさせるよう中国共産党政権に圧力をかけることを呼びかけている。

 (翻訳編集・叶静)