片手を失った息子のために…仕事を辞め「小さな義手」を作った父親が素敵

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片手のない息子のために、3Dプリンタを使って専門家も驚くハイテク義手を作ってしまった父親が、海外メディアで話題になっている。

生後10日で左前腕を切断

イギリス・ウェールズ地方のアングルシー島に住むベン・ライアンさんの息子は、生後10日で左前腕部を切断しなければならなかった。生まれた時から左肘に血栓があり、それが悪化して、肘から先が壊疽を起こしてしまったからだ。

その時、医師はベンさんにこう言ったそう。

「1年もすれば普通の義手を付けられます。でも、電動の動く義手を付けられるのは4〜5年先になるでしょう」

INDIEGOGO/Ben Ryan

義手の自作を決意

動く義手をすぐに付けられないのは、重いからというのが主な理由だ。電動のハイテク義手にはモーターが内蔵され、金属が多く使われている。だが、ベンさんはこれに妥協できなかった。

「4〜5年先というのは、僕には受け入れられなかった。僕なら息子のためにもっと良くしてやれると思ったんだ」とベンさんは言う。

息子が生まれて5週間後、彼は自宅のキッチンテーブルで、まだどこにも開発されていない義手のアイディアを練りはじめた。それは、軽いプラスチック製の動く義手だ。

INDIEGOGO/Ben Ryan

仕事を辞めて専念

ベンさんは、電動モーターを使わず、息子の肘関節に残ったわずかな骨の動きを利用した油圧式の義手を考えたという。だが、大学の心理学の講師だったベンさんには、実際にどう作ればいいか分からず、知り合いのつてをたどってバンガー大学の研究者に助けを求めた。

これと同時期に、ベンさんは大学講師を辞め、Ambionicsという会社を設立する。息子のハイテク義手を開発する会社だ。

「僕を突き動かしていたのは、いつでも息子だった」とベンさんは言う。「息子は本を読むのが好きなんだが、片手でページをめくるのに苦労して、すぐに膝から本を落としてしまうんだ。ハイテク義手があればそんなことにはならないのに」

INDIEGOGO/Ben Ryan

義手を必要とする子供たちのために

バンガー大学の研究者と二人三脚で進めた開発は、途中で資金難に陥ったが、クラウドファンディングで資金を募ると出資者が現れ、完成にこぎ着けることができた。完成の発表は3月1日に行なわれた。

出来上がった義手はプラスチック製で、すべてが3Dプリンタで作られている。そのため、これまでのハイテク義手よりも75%のコスト削減になるとのこと。

「この義手が、息子を助けるだけでなく、似たような境遇の子供たちすべての助けになるといい」とベンさんは言う。