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●現場でしつこく「出たい」と言った
毎回異色の企画を連発して注目を集めているテレビ東京の深夜番組。1月からのクールも魅力的な作品が揃うが、『銀と金』(毎週土曜24:20〜)のレギュラー、3月10日放送の『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(毎週金曜24:12〜)第9話ゲスト、2月24日放送&3月4日放送の『山田孝之のカンヌ映画祭』(毎週金曜24:52〜)ゲストと、今期の3番組に出演したのが俳優の村上淳だ。

途切れることなく精力的に活躍する村上だが、実は以前から「テレビ東京のドラマに出たい」と言っていたという。テレビ東京に魅力を感じるのはなぜなのか、また年齢による俳優としての考え方など、話を聞いた。

○画面には、演技だけでなくその人が透けて見えてしまう

――今期話題のテレビ東京ドラマ・番組に3つも出られるということですが、まずはレギュラー出演の『銀と金』の印象を教えてください。こちらは、池松壮亮さん演じる森田鉄雄を支え、リリー・フランキーさん演じる銀二の信頼も厚い頭脳派の元検事・船田正志を演じてらっしゃいますね。

本当に、自分はまだまだだなと思わされた現場でした。僕は今43歳なんですけど、リリーさんをはじめレギュラー出演者たちのように、大袈裟じゃなくいろんなジャンルの中でトップの方々とできて、すごく色々なものをもらいました。まだまだだと思えるってことは、まだ余白もあるということとニアリーイコールなので、頑張ろうという気持ちになれましたね。

――例えばどのような点で「まだまだ」と思われたのでしょうか。

リリーさんの圧倒的な説得力。あれはもう実人生で器が大きくないと、追いつかないですよ。やっぱりスクリーンやテレビで見ると、その人が透けて見えるということはよくありますよね。池松くんもリリーさんもゲストの方も、仕事を取っ払った時に実人生で信頼される方で、それはとても大事なんだなと思えました。もう、「芝居だけできればいいよね」ということじゃないでしょう? と。

池松くんは、もう単純に「この人、好きだな」って思えました。もう片思いでも、いいくらいだと。友達になれた気がしましたし。年齢関係なく、ちゃんとカメラの前で戦いたいなと思えました。俳優として上を目指せる、正しい負けん気の強さがないとダメだなというのも、学べたところですね。

○池松くんが出るから「ずるい」

――それでは、『バイプレイヤーズ』はいかがでしょうか。どんな展開で出られるんですか?

本人役なんですけど、そっくりさんが集まっている村があって。そこにいる村上淳似の、村上淳という役です。ちゃんと、シリアスな流れです(笑)。『バイプレイヤーズ』はもう出たかったですし、遠藤(憲一)さんと、(田口)トモロヲさんとやれることも、(監督の)横浜聡子さんとやれるのも嬉しかったですね。

――もともと、出たいとおっしゃってたんですか?

僕はもう、プロデューサーにしつこく言いました。「僕ってこんなにしつこいんだ」と思ったくらいです。テレ東が続いてるから、現場で言えるんですよ。『銀と金』の撮影に入って、風の噂で『バイプレイヤーズ』の企画を聞いて、「どうしても出たい」と訴えました。

だって、池松くんは第2話に出るというじゃないですか。「悔しい! ずるいぞ!!」と(笑)。本当に、『銀と金』の現場で会うプロデューサーの方々に「お願いします!」「お願いします!」って勢いで頼みました。今回、そういう方は多かったと思いますよ。念願が叶いました。

――現場が続いたからこそだったんですね。『山田孝之のカンヌ映画祭』の印象はいかがでしたか。

実は、撮影したのは『カンヌ』が最初なんですよね。だからふと立ち止まった時に「あれ、これ全部同じクールじゃない!?」と気づいてびっくりしました。

『カンヌ』は一言で言うと、最高です。尖ったもので突き刺すのではなく、まろやかに包み込むような尖り方をしている。突き放しているようで、視聴者を一番包み込んでいるのは『カンヌ』かもしれないですよね。

●テレビ東京は俳優を消費しない
○不定期に狙いたいテレビ東京

――話題の3番組に出られて、実際にテレビ東京さんの印象を教えてください。

一言で、すごいなと思います。中途半端な企画がないですよね。視聴者としてもそう思っていましたけど、関わってみたらなおさら思いました。この3企画、よく通しましたよね。

いろんな制約もあるでしょうけど、必ず放映するのもすごい。当たり前ですけど(笑)。そういった受け皿がないと俳優は仕事がないわけです。今、テレビ東京の関係者の方々に囲まれていますけど、これからもコンスタントなら最高。不定期に出演できたらなお最高です(笑)。聞こえましたか、僕を囲んでいるテレビ東京の関係者の方々(笑)。

――皆さん、証人になってくださると思います。

僕はシンプルに芝居がしたいんですよ。実はテレ東出演を狙ってる役者は多いんじゃないですか? だって、楽しそうですもん。

○俳優としての考え方の変化

――今現在、お仕事について心がけられていることはありますか?

人生設計やヴィジョンは持ってますけど。とにかく僕、人に見られたいんですよね。もちろん芝居をという意味ですよ。それが映画のスクリーンで成立することもあるでしょう。これは池松くんから聞いたんですが「僕らの年代はシネコン世代なのでミニシアターに行くことに抵抗があるという人がすごく多いですよ」と。もちろん池松くん本人は垣根なく見たい作品に足を運んでいるみたいですが。

「見られたい」というのはスクリーンでもテレビでも舞台でもなんでもいいんですけど、やっぱりお客さんの目による研磨が、何よりですから。何も知らない人が「何この人」とか「下手くそ」とか、「この人かっこいいね」と見てくれるようなところに立ちたいんです。だから最近は、もし監督が喜んでくれなくても、お客さんが喜んでくれたらいいやという方に比重がありますね。「お客さんが、一番大事じゃん」と思います。

――2017年は特に、テレビ東京の深夜ドラマ、WOWOWの『北斗-ある殺人者の回心-』といった重めの作品、BSスカパー!ドラマ『バウンサー』といったアクション作品、少女漫画原作の映画『PとJK』など様々なタイプの作品に出られていますが、何かお仕事の基準はあるのでしょうか?

選んではいないんです。スケジュールの交通整理ができる限り、オファーを頂いた順に受けています。20代の頃は、全くスケジュールを縫わず、1作品1作品やっていました。30代になったときに、2作品同時にやろうと思いました。挑戦として、2つのキャラクターを同時にやってみようと。そして40代は、何でもいっとけ! という感じになっています。

50代は、さらにたくさん同時に演じたいですね。それくらいスイッチがないといけないし、もっと言うと、それくらい需要がある俳優でいたい。だったらお客さんに届くように行動しないと、と思っています。

――年齢によって考え方が変わってきたというところがあるんですね。

すごく新しくて実験的なことをやったとしても体が変わらないんだから、そんなに斬新なことになるわけじゃないんです。でも見た人は「ちょっと違うな」とか、再発見してくれることもあるかもしれない。そのフィールドを用意してくれるのは、テレ東深夜さんなので、僕はしばらく出たいなと思っています。村上淳という俳優は、「ここからここまでしかないよ」という幅を取っ払っていきたいですね。

もしかしたら、5〜6年後には幅を作っているかもしれません。でも『銀と金』や『バイプレイヤーズ』をやっている時に、リリーさん、エンケンさん、トモロヲさんと一緒に演技をして、「かなわないな」と思ったら、もうやるしかないでしょう。家でうだうだ考えたりとかじゃなくて外に出て、それがどんな現場であれ、実践してお客さんの賛否を受けようって覚悟は必要ですよね。

――今回の3作品は、それくらい大きなお仕事だったんですね。

いや、大きかったですね。たまたま続いたんですけど、たまたまって本当は望んだものしか来ないじゃないですか。僕も事務所に、しばらく前から「テレ東の深夜に出たい」と伝えていましたし。

ただこれだけ叶っちゃうとしばらくないんじゃないかなと。不安になりますね(笑)。「やりたい」と言ったら生意気なようですけど、出させてもえるんだったら是非今後も出たいです。

(佐々木なつみ)