増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

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1.誠意と根性というカン違い
合同説明会における企業ブースの光景は2つに分かれます。学生であふれかえる有名企業と、ほとんど学生が来ずに閑古鳥が鳴いている「学生に知名度の低い」企業です。しかしこの学生知名度というのはきわめて偏っており、いわゆるコンシューマーカンパニー、テレビCMをやったり、日頃目にする製品やサービスの企業だけに集中する傾向は、以前から変わっていません。

人気企業、有名企業ブースでは、同じ学生で何度も再訪する者もいます。その企業ブースを何度も訪れることで、誠意や根性を訴えたいという話を聞いたこともあります。しかし企業側からすれば迷惑ではあっても、そのような無意味な誠意も根性を評価するはずがありません。

「アピールの誤解 土下座で交際してくれることはありません2017」(増沢隆太)
https://www.insightnow.jp/article/9368

中にはボストン・キャリア・フォーラムのように、海外で留学中の日本人学生や外国人学生に向けた合同説明会に、わざわざここに日本から参加する、留学生でも何でもないただの学生もいます。採用対象でもない日本人学生に遠路来られても、立場上嫌な顔もできず、しぶしぶ対応せざるを得ない企業にしてみれば迷惑この上ない話です。

2.「聞いてどうするの」質問
これだけインターネットが発達した今、情報として得られるものはたいてい何とかネットで得られます。実際に合説での企業ブースのやり取りでは、どうみてもその会社のWebサイトに書かれているような「見りゃわかるだろ」質問や、「御社における有機化学専攻の修士のキャリアパスを教えて下さい」的な、「わかる訳ねーだろ」質問も飛び交います。

私はコミュニケーションも教えているので、トンチンカンな質問ではあっても、それを聞く姿勢自体を否定したくはありません。それでもどうせ質問するなら、自分のためになるとか、アピールにつながるような質問ができる方が良いに決まっています。説明ブースに行っても何も聞かない学生は少なくなく、ただ座っているだけの学生より、自らコミュニケーションを取ろうとする姿勢ははるかにましです。

なぜ的外れな質問となるか、コミュニケーションの目的が絞られていないのだと思います。それは合同説明会を通じて達成すべきコミュニケーションが何であるかという設定です。企業情報や採用情報、応募要領等は普通はネットで簡単に得られるはずなので、せっかく時間とエネルギー(&交通費)を割いて会場まで行く以上は、ネットで得られないものを取る必要があります。

3.「答」ではなく「材料」を得る
その会社が良いか悪いかなど、誰にもわかりません。どれだけ質問しようが、そんな答えは得られる訳がありません。それよりもその会社がどんなビジネスをしているのか、「商社」とか「プラント会社」というような広すぎるくくりではなく、「自ら生産設備を持たずに調達によって顧客ニーズを満たす。設備投資が無い分、取引価格が重要」というような、商売の仕組みを理解する必要があります。

普通は事前にそうした情報を下調べしないと、なかなか学生が持っている知識だけでは限界があります。企業ブースで「貴社はどんな仕事ですか?」と聞くこともできますが、本来なかなか無礼な質問だと思うものの、企業側もわかっているので、特に空いているブースであれば丁寧に教えてくれる可能性があります。

逆に学生であふれかえっているブースではこうしたコミュニケーションもできず、単に「見りゃわかるだろ」情報を聞いて帰るだけになる恐れが高いといえます。広告代理店がどんなビジネスなのかわからなず、「素敵な広告を作りたい」と志望動機を語るようでは超人気企業に採用される可能性は限りなく低いでしょう。そのようなズレを起こさないためにも、ビジネスの仕組みについて、その社員の方から直接説明を受けられるのは非常に意義があります。

「グローバルな仕事環境」とは北米やヨーロッパではなく、東南アジア、それもミャンマーやマレーシアやバングラデシュだったり、過酷な自然に囲まれた未開の土地だったり、勝手なイメージと現実のギャップを埋める「材料」を得られるなら、合同説明会は正に大きなリターンが得られる貴重な機会です。

ぜひ成果が上がるよう活用しましょう。