(写真提供=SPORTS KOREA)中国人観光客が多く訪れる明洞

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韓国と中国の関係が険悪化しつつある。

きっかけは米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を韓国が配備することを決めたことだとされており、3月2日には中国の国家旅遊局が、北京市内の旅行代理店に韓国への団体旅行を中止するよう指示したとの情報が伝わってきた。

この情報は韓国にとってかなりショッキングだろう。というのも、近年、韓国では中国人旅行客の“韓国離れ”が深刻なのだ。

中国人観光客数が日本>韓国に

これまで中国人観光客の誘致で韓国は日本をリードしてきたが、今年に入ってついに逆転された結果になっている。

今年1月、日本を訪れた中国人観光客は約63万人で、昨年同月比32.7%も増加。同じ期間、韓国を訪れた中国人観光客は約58万人で日本に及ばなかった。

韓国メディア『韓国日報』などは、「訪韓中国人観光客の成長の伸び悩みが尋常でない。今年2月が転換点となり、(前年比で)マイナスに転じるのではないかという懸念が噴出している」と報じていたほどだった。

そんななかで今度は、中国政府が団体旅行の販売中止を国内旅行会社に指示したというのだから深刻だ。中国では韓国製品の不買運動も広がっているという。韓国経済が受けるダメージは大きい。

実際に、韓国の国会議員が国会で発表した「THAAD配備による商人の体感景気設問調査」によると、昨年7月以降、売り上げた半分以下になったと答えた商人は41.3%にも及んだ。彼らを筆頭に、昨年よりも売り上げが下がったと感じている人は全体の90%となっている。

中国人観光客の絶対数はそれほど減ってはいないものの、財布のヒモが固くなっているのが現状なのだろう。

少なくない中国人観光客が「二度と韓国に行きたくない」などと失望していたというニュースや分析を見ると、それも頷ける。
(関連記事:「もう二度とごめんだ!!」 中国人観光客が韓国にガッカリする理由とは

『世界日報』などが以前、「中国人観光客減少・政府規制…“四面楚歌”となった免税店業界」と中国人観光客の減少が経済面で打撃を与えることを特集していたが、ますます現実味を帯びてきた格好だ。

中国人観光客に一般の韓国人たちが冷たい理由

ただ、中国人観光客の減少について、一般の韓国国民は冷たい反応を示してきた。

中国人観光客が今後さらに減るかもしれないという記事に対しても、「他の国の観光客が来るように考えればいい。なぜ中国人ばかり呼ぼうとするのか」「中国人観光客が増えたからといって、内需経済が活性化されるのか? まったく実感がない」「韓国国民のことは眼中にないようだ」「中国人を見るとイライラするようになった。自分とはまったく関係ないこと。他の国に行け」などと、非難のコメントばかりが書き込まれていたのだ。

こういったコメントが続出するのは、たびたび話題となる中国人観光客のマナーの悪さがあるからだろう。

最近も、中国人観光客が数多く訪れる済州国際空港の国際線出発ロビーで、彼らが投げ捨てた免税品の梱包袋が100リットルのゴミ袋100個分にも及んだという報道があった。

同じく済州島では 理不尽な暴行事件どろこか、中国人観光客が教会で参拝中の韓国人女性を刃物で刺す“聖堂殺人事件”なる惨劇まで起きてしまっている。韓国人の怒りももっともかもしれない。

最近は中国人のマナーの悪さだけが問題ではなく、韓国側にも責任が多いという見方も出てきているが、誘致する側とされる側の両方に課題があることは間違いない。

東京ドーム360個分の土地を購入した中国人投資家たち

ただ、興味深いのは観光分野とは対照的なことが、ビジネス面で起きていることだ。中国人投資家が韓国の土地を“爆買い”しているというのである。

KB金融経営研究所の報告書「外国人の韓国不動産投資動向」によると、中国人投資家によって2016年、262万平方メートルの土地が買われた。外国人による購入面積はアメリカ人(97万平方メートル)、日本人(11万平方メートル)となっており、中国人が圧倒的な数字だ。

実は中国人による韓国の土地の購入は、近年加速しているという。

中国人が買い占めた土地の面積は2011年当時、計370万平方メートルに過ぎなかったが、2016年になると計1690万平方メートルに。東京ドーム360個分の面積となる。中国人が所有する土地面積は5年間で486%も増加したことになり、他の外国人所有の土地面積の増加率(49%)に比べて圧倒的だ。

日本でも中国人による土地の購入が増えているというが、韓国ではまさに爆買いといった様相だろうか。

観光では“韓国離れ”が進む一方で、中国人による土地の“爆買い”購入が伸びている現状のなか、いよいよ険悪さが増してきた韓中関係。中国への依存度が年々増している韓国だけに、これ以上の摩擦は避けたいところだろうが…。

(文=慎 武宏)