海外メディアの報道によると、米アマゾン・ドットコムは今年中にも、通話機能を備えた音声アシスタント機器を発売する可能性があるという。

数カ月後にも発表との観測

 これは、スピーカー型機器「Amazon Echo」と同様、AI(人工知能)を使った同社の音声アシスタントサービス「Alexa」を利用できる機器で、複数の機種が用意される可能性があるという。

 音声命令で電話の発信、着信が可能のほか、Alexa対応の別の機器とも通話が可能で、家庭向けインターホンのようにも利用できると複数の事情に詳しい関係者らは話している。

 この話題を最初に伝えたリコード(Recode)の記事によると、この機器は今年2月時点で、すでに開発過程における試験段階に入っている。そして、アマゾンは数カ月後にもこの製品を発表する可能性があると、情報筋は話しているという。

 今年2月、米ウォールストリート・ジャーナルは、アマゾンと米グーグルがそれぞれに、自社の家庭用音声アシスタント機器に電話機能を追加することを検討していると伝えていた。

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 ただ、今回のリコードが入手した情報によると、アマゾンは前述のAmazon Echoといった既存機器に機能を追加するのではなく、新たな製品として、通話機能付きアシスタント機器を発売したい考えで、同社はすでに検討段階を終えており、今後計画を予定どおりに進めるもようだという。

人気のサービスや機能は全体の3%

 ウォールストリート・ジャーナルは上述の記事で、家庭向けアシスタント機器をすでに発売しているアマゾンとグーグルが、自社の機器に固定電話(いわゆるイエデン)のような機能を追加し、利用者が友人や店舗などに手軽に電話をかけられるようにすることは、自然な流れだと伝えていた。

 だが、今回のリコードの記事によると、こうしたアシスタント機器は、顧客の利用頻度といった点で、課題を抱えているという。

 これらの機器では、音楽を流したり、ニュースや天気予報を聞いたり、電子書籍を朗読させたり、アマゾンでショッピングしたり、といったことができ、すでにAlexaに対応した外部企業のサービスも多数用意されている。

 そしてアマゾンは先ごろ、Alexaで利用できるサービスや機能の種類が今年2月時点で1万種類を超えたと発表した。今回のリコードの記事もそうだが、大方の米メディアは、アマゾンのEchoとその小型版である「Echo Dot」などのAlexa対応製品について、商業的に成功したと評価している。

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 だが、音声アプリケーションの利用解析調査などを手がける米ボイスラボ(VoiceLabs)によると、顧客に頻繁に使われるサービスや機能は全体の3%にとどまっており、大半は一度利用されたあと、繰り返し使われることがないという。

 こうした中、アマゾンはアシスタント機器を毎日のように使ってもらうため、顧客により多くの利用動機を与える必要があるとリコードの記事は伝えている。

「コミュニケーション機能が重要」

 アナリストの中には、コミュニケーション機能は音声アシスタント機器の、決定的に重要なアプリケーションになると見る向きもあり、電話やインターホンの機能はその第一歩になると、一部のアナリストは予想しているという。

 アマゾンがAlexaとともに、Echoを市場投入したのは2014年11月。しかし、同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)はそれよりずっと前からインターネットベースの電話技術に関心を寄せていたと、あるアマゾンの元従業員は話している。

 その後、Echoシリーズは商業的な成功を収めたが、このことが、ベゾスCEOの同技術への興味を再燃させたのではないかと、その人物は話しているという。

筆者:小久保 重信