日本共産党都議団副団長で東京都議会議員の曽根はじめ氏

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 環境基準値を79倍上回るベンゼンや12倍のシアンなどが検出された東京・豊洲新市場。なぜ築地市場の移転先として、土壌汚染がひどい東京ガスの工場跡地が選ばれたのか。その背景について、当初から豊洲への移転に反対してきた日本共産党都議団副団長で東京都議会議員の曽根はじめ氏に話を聞いた。

――豊洲新市場から、環境基準を超えるベンゼンやシアンが検出されましたが、共産党都議団は当初から移転には反対されていましたね。

曽根はじめ氏(以下、曽根) 豊洲移転に最初からずっと反対してきたのは、うちと地方政党の東京・生活者ネットワークだけでした。2001年に石原慎太郎都知事(当時)が豊洲への移転を候補地として挙げました。しかし、東京ガスの工場跡地は地下に相当汚染がある。だから、築地市場の移転先にはふさわしくないといわれていたのです。ところが浜渦武生さんが副知事となり、毎日のように交渉を続けて、03年頃に正式に移転が合意されました。

――なぜ豊洲が選ばれたのですか。

曽根 当初は築地を建て替えようという案もあったのですが、それが頓挫してしまったのです。それで移転先を探すことになり、最初は晴海を検討したのですが、手狭であるということで却下されました。そして晴海に代わる場所として豊洲が浮上したわけです。当時は築地の近隣で築地市場を上回る敷地面積があるような空き地は豊洲しかなかったからです。それでも汚染がひどいということは、当時からいわれていました。

――環境基準には「土壌汚染対策法」の「地下水の水質基準」が使われていると思いますが、そもそも豊洲は土壌汚染対策法の対象地域ではないはずです。なぜ都はわざわざやらなくてもよい土壌検査や水質検査をしたのですか。

曽根 東京ガスが売却を渋るほど、地下の汚染がひどい土地であることがわかっていました。しかし築地の市場を売却して急いで豊洲に移りたいということから、汚染対策は東京都が責任を持ってやる、東京ガスは汚染対策の費用を出さなくてもよいというかたちで妥協して、結構高い値段で土地を購入したわけです。しかし、逆に築地の業者たちからは反対の声が強かった。最初は築地最大の組合である東卸(東京魚市場卸協同組合)の理事長は反対の立場の人でした。だから業者に対しては地下の汚染も完全に対策しますと言って、移転を決めたのです。

●偽りの安全宣言

――そもそも、地下の汚染が問題になったのは、いつ頃からなのでしょうか。

曽根 議会で取り上げたのは07年頃からです。当時、都は「すでに地下の汚染は大丈夫だ」と安全宣言のようなことを言っていました。ところが、その直後の07年4月に都知事選挙となり、汚染問題が大きな争点となった。石原さんは結果的に当選したのですが、地下の汚染を改めて調べなければならなくなってしまったのです。そして専門家会議が招集されて、調査が行われたのが07年8月頃だったと思います。

――実際に汚染調査をしたところ、どんな状況だったのですか。

曽根 実際に調査をしてみると、かなりひどい状況になっていました。すでにこのときは東京ガスが十分な汚染対策をやったということで、引き渡しを受けていたはずです。ところが東京ガスが土を入れ替えた場所から、汚染された土壌が発見されたのです。つまり再汚染されていることがわかったのです。

――東京ガスはその時、汚染対策をしたのですか。

曽根 東京ガスは01年頃に汚染対策をするために、土壌を入れ替えました。それから5、6年たって、そうした再汚染が起こっている。そこから豊洲は汚染が地下の深いところにあって、地下水と一緒に上がってくる。土を上のほうだけ入れ替えても、再汚染される危険があるということを認めざるを得なくなったのです。

 そこから改めて10メートルのメッシュで2000数百本、約10メートルぐらいの深さまでボーリングを打って詳細調査をしました。そのとき、水産仲卸売場のところから環境基準に照らして4万3000倍のベンゼンに汚染された土が発見されたというわけです。はっきりいってほとんどタール状ですよ。79倍でもかなりの臭いがすると思いますが、4万3000倍ともなると、ものすごいガソリンのような臭いがすると専門家は言っていました。そういうものがたまり、ピンポイントで存在しているようなのです。

――東京都はどのような対応をしたのですか。

曽根 ボーリングの3割ぐらいから汚染された土が発見されました。東京都はそのとき、発見された汚染土はすべて除去した、という説明でした。しかし汚染土はいろいろな深さから見つかっていたので、「どこにピンポイントで埋まっているかわからない」と我々は主張したのです。東京都は「汚染土が見つかった所はさらに深く掘って、ほかに汚染土がないか確認した」と説明しましたが、ボーリングで発見されていないところから見つかる可能性だってあるわけです。

●再び上がってきた地下水

――専門家会議はどのような対応をとったのですか。

曽根 盛り土をする、という対策を打ち出してきたのです。

――盛り土をしたところで、東京ガスが同じようなことをしているわけですから、効果はないという事は問題にならなかったのですか。

曽根 私たちは問題にしたのですが、都は「見つかった場所は全部対処した」と説明するだけでした。それから専門家会議が提案したのは、「表層の辺りに汚染が集中しているので、表層から下2メートルは一律に土をはぎ取り浄化し、さらに上に2.5メートルの土を盛って埋め、合計4.5メートルの盛り土をする」というものでした。

 これをやれば、万が一地下に汚染した土があっても、地表に上がってくることはない。しかも盛り土の下で50センチぐらい小石を敷き詰めて空間をつくり、地下水が上がってきた時に、そこで水を貯える。それを井戸に移して浄化して排水する仕組みにしたのです。「盛り土をすれば地下水が地表に上がってこないようになる」と結論づけて、汚染対策工事を始めたわけです。

――なぜ、今のような状況になっているのでしょうか。

曽根 実はその後も地下水が上がってきてしまって、現在のような状況になってしまっているのです。我々は「地下の汚染が深刻だから、うまくいかないだろう」と思っていました。40ヘクタールにわたって地下水を全部地下で抑えるというのは、難しい。実際日本中探しても、成功した例はありません。
(構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト)