真剣な表情でリハに臨むベッキー

 ベッキーが3月6日のきょう、33回目の誕生日を迎えた。節目ということではないが、昨年と比べれば見る景色もかなり違うことであろう。徐々にではあるが仕事も増えている。だからと言って、まだ手放しで喜べる状況でもない。世間の目はまだまだ厳しい。しかし、彼女はそれを全て受け入れ、前に進んでいる。今回、ラジオの生放送に密着したが、本番でみせる笑顔とは対照的に、リハやオフの時にみせる硬い表情からは生真面目な性格が見え隠れした。

 本媒体は先日、ラジオ番組『ミッドナイト・ダイバーシティー 〜正気のSaturday Night〜』(JFN系列FMラジオ、毎週土曜日24時〜)の生放送に密着した。放送開始前、関係者へ丁寧に挨拶する彼女。そこには評判通りの腰の低さと親しみやすい笑顔があった。

 レギュラー番組としては復帰第1弾の仕事であり、自身初のラジオ生放送でのメインパーソナリティ(週替わり、ベッキーは第1週を担当)。昨年10月に番組はスタートし、今回で5回目の放送となる。普段のラジオで声を聴く限り、初のラジオもだいぶ慣れてきていると感じていたが、現場でみせる彼女の表情は緊張感が漂っていた。

 この日の本番でも、テレビ等でみられるあのベッキースマイルや、絶妙なトーク力を発揮して、いつも通りの様子だったが、やはりCM中になると表情は固くなる。目線を下に落として台本チェックや携帯電話でしきりに情報収集をおこなっていた。腕を机にぺたりと付けて指をクロスしながら手を握る姿を多くみかけた。以前、ある心理学者が、手を握る行為には安心感を求める意思が隠れている、と話していたのを思い出した。

 一方、ゲストを前にすると安堵の表情を浮かべた。硬い表情となっていたCM中も談笑、笑顔が絶えなかった。相手に気を使っている様子もなく、むしろリラックスしているように感じた。後に、彼女に直接聞いたのだが、一人だと「全て自分でやらないといけないから不安になる」といい「相手がいてくれたほうが安心するし、心強い」と語っていた。

 そして、歌だ。今回は、活動休止期中に聴いていたというNakamuraEmiがゲストに登場した。ラジオ収録で初めての生演奏を聴いたというベッキーは興奮した面持ち。NakamuraEmiの音楽や歌声そのものが人を惹きつける魅力があるのだが、彼女の歌声を聴いているベッキーは笑顔だったり、少しうつむき加減に感傷に触れてみたりと様々な表情をのぞかせた。NakamuraEmiが登場する前にも、流れている曲にあわせて口ずさむなど本当に歌が好きなことを感じさせた。

 この日は、福岡―神戸―東京を新幹線で移動。移動中は仮眠を取っているのかと思ったが「忙しいほど寝ないで音楽を聴いている」といい、音楽を聴いての移動だった。そうした慌ただしさも、硬い表情にさせた要因の一つだったわけだが、その反面、人や音楽は彼女にとって大事なものなのであろうということを今回の密着で感じた。

 過去に「ベッキー♯♪」名義で7枚のシングルを出している。歌うことが好きで歌手活動を始めた当時は「夢のよう」と語っていた。もう一度、歌いたいという気持ちはきっとあるはずだ。しかし、「今は目の前にある仕事を精一杯にやらせて頂くだけです」と謙虚。「歌手・ベッキー」はいずれ時がその扉を開いてくれるだろう。

 もう一つ、親しみやすさと謙虚ささが印象的だった。関係者に丁寧にあいさつするベッキーはやはり一瞬は現場が“ピリッ”となるのだが、その後はなぜか和やかな空気になっていた。そこに心の温和さをみるのである。一般人のゲストも気兼ねなく楽しそうにトークを弾ませている。相手を構えさせない空気感がある。

 そう、腰の低さといえばNakamuraEmiもそうである。ちょうど1年前にメジャーデビューした彼女。その歌声や歌の世界観が評判を呼び、いまではテレビやラジオでよくみかける。有名になった彼女だが今も変わらず腰が低い。この日も、右手に左手を重ね、頭を下げて挨拶していた。腰の低さはむしろさらに磨きがかかっている。当然、その姿勢は今作のアルバムにも反映されている。

 NakamuraEmiも苦労人である。アルバイトをしながら歌い続けてきた。彼女は常々「本当に皆さんのお蔭なんです。有難うございます」と感謝の言葉を口にしている。腰の低さは過去の苦労がそうさせているのであろう。それは歌にも表れている。そういう点においてはどん底を経験した今のベッキーが歌い、歌詞を書くとしたらより深みがあるものになるはずだ。恋の慕情には涙がつきもの。歌に助けを求めている人はきっといるだろう。(取材=木村陽仁、撮影=取材班)