第59味 中国
全人代に向けて改革への取り組み姿勢を示す中国。「李克強指数」から読み取る経済事情とは?

2016年後半から 景気は底堅く推移中。 中国経済は底打ちか !?

今年1月 20 日、中国国家統計局より同国のGDP(国内総生産)が発表され、2016年の実質GDP成長率は前年比で6・7%増でした。前年(2015年)の同6・9%増からは若干低下したものの、とりあえず政府の目標だった6・5〜7%増は達成しています。

ほかの主要経済指標についても、中国経済の底打ち回復を示すものが昨年の後半から目立つようになり、景気は底堅く推移していたといえます。

とはいえ、中国情勢については根強い警戒感が残っているのも事実です。経済指標への信頼度も決して高くはなく、それゆえ「李克強(りこくきょう)指数」というものに注目が集まります。

この指数は中国国内の‥監参瀛輸送量、銀行融資額、E杜肋暖駑未粒匿び率の加重平均です。

中国の李克強首相が、遼寧(りょうねい)省の書記時代に「GDPはアテにならないので、3つの動きに注目している」と語ったことが、ネーミングの由来とされています。

さて、下のグラフを見ると、昨年後半から指数が急回復していることがわかります。確かに中国景気は、持ち直していると考えてよさそうです。

ただし、注意したいのはこの指数が少し古い指標という点です。なぜなら、李克強氏が遼寧省の書記だったのは10年近くも前であること、当時の中国経済が製造業や国営企業が中心だったことを考慮する必要があります。

たとえば、2015年の中国におけるGDPの寄与度を見ると、サービス業が 48 %で製造業の 41 %を上回っています。逆の見方をすれば、今になって李克強指数が伸びているということは、国営企業への融資が増えている、もしくは過剰生産能力の解消があまり進んでいないのではないか、当局の景気刺激策で中国経済が支えられているのではないか、と考えることもできるわけです。

米国ではトランプ新政権が誕生しましたが、保護主義色の強い政策に対する警戒感が強まっています。これは中国経済が従来型(製造業・国営企業中心)から脱しきれないままだと、米国の政策の影響を受けやすくなってしまうことになるからです。

3月には全人代(全国人民代表大会)が開催され、そこでは2017年のGDP成長率の目標や、経済政策方針が示されますが、中国政府は一層の改革に向けた取り組みをアピールする必要に迫られそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田雅之

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券隨一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。