TRI自動運転実験車(トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタ自動車の子会社で、米国において人工知能等の研究開発を行うToyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート、TRI)は3日(現地時間)、カリフォルニア州ソノマで同社が開催したイベント「プリウス・チャレンジ」にて、新たな自動運転実験車を展示・公表した。

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 今回の実験車は、2013年の米国家電見本市「CES」で公表した自動運転実験車を改良したもので、ベース車両であるレクサスLS600hLのドライブ・バイ・ワイヤ技術のインターフェースを実装。センサーの付け替えなど柔軟に改良を加えることが可能な実験車両とした。今後は、自動運転の様々な可能性を模索するべく、TRIでの実証研究に使用する予定だ。

 車両は、高い演算能力を備えており、マシンビジョン(ソフトウェアも含めた機械による周辺認識システム)や機械学習能力も強化。当面は高精度の地図情報が存在しないエリアでも自動運転を使用することも想定されるため、ライダー(光検出・測距)、レーダー、カメラなどのセンサー能力も拡充し、高精度地図に過度に依存しないシステムも構築する。

 TRIのギル・プラットCEOは、実験車について「TRIが手がけた初の自動運転実験車のプラットフォームとして、これまでの自動運転研究の成果を織り込んだ」と語り、「ドライバーの運転習慣を学ぶだけでなく、データ収集やコネクティッド技術の進展に応じて他の車両から共有される情報を活用するなどして、徐々に賢くなっていく」と述べた。

 今後TRIでは、実験車の走行試験から得られる技術データを蓄積し、トヨタが開発している「ショーファー」(完全自動運転)と「ガーディアン」(高度運転支援)の研究開発に役立てていく方針。