ただし混乱すると自滅します。

AIが次から次へとゲームで人間のチャンピオンを打ち負かしています。そんなAI対人類の争いの最新バトルはなんと『大乱闘スマッシュブラザーズ』。MITのVlad Firoiuさん率いるチームが制作したAI「スマッシュボット(Smashbot)」が世界ランキング70位から16位までの様々なプロ・プレイヤーたちを打ち破っています。

スマッシュボットの最初のお披露目になった試合をquartzがレポートしています。1月のGenesis 4スマッシュブラザーズトーナメントのメイン会場の脇でスマッシュボットが戦ったのは、キャプテン・ファルコンのキャラで5年間プロのプレイヤーとして活躍しているGravy。キャプテン・ファルコンの使い手としては世界トッププレイヤーの一人だと考えられているそうです。

そんなGravyを、同じキャプテン・ファルコンを使ってスマッシュボットは打ち負かしたそうなんです。こちらがこの対戦のビデオです。AIがプレイしているのはPhillipという名前がつけられたキャラ。



Gravyがプレイを止めた段階で、AIは8勝5敗という戦歴でした。Gravyはquartzの取材に対し「AIは確実に神レベル。これに勝てるプレイヤーがいるか分からない」と答えています。Gravyとのバトルの後にGenesis 4のトーナメント本選にも参加し、その他のトーナメントにも参加しプロのプレイヤーたちと戦っているスマッシュボットですが、今のところ勝利した数の方が負けた数よりも多いそう。

制作者のVlad Firoiuさんは、「最初に作った時はゲーム内のコンピューター・プレイヤーよりも弱かった。何度もAI同士で戦わせることで学習させ、1週間くらい忘れたころにチェックしてみたらもう自分でも勝てないくらい強くなっていた」と語っています。

おお...そんな短期間の学習でプロレベルまで到達してしまったんですね。ちょっと離れてたら強くなってたってのがリアルです。AI制作についての論文はこちら、ar Xivで読むことができます(英文:未レビュー)。

AIは自らのバトルを通じての学習からだけでなく、人間プレイヤーによく使われる「ダッシュダンス(ステージ上を前後にダッシュして次の手を相手に予期させにくくする)」といったテクニックも習得しているとか。しかし人間プレイヤーなら相手が弱っている状態でステージから落ちるのを待つような状況でも、AIは何度も叩き落とそうとするそうです。なるほど、「キラーマシン」なわけですね。New Scienceのレポートでは「人間の反応速度はだいたい200ミリ秒なのに対してAIは約30ミリ秒」と述べられています。この反応速度の速さに人間はまいってしまうわけですね。

しかしステージの端で相手プレイヤーがしゃがむと、AIは何をして良いか分からなくなり自殺してしまうそうです。

なんだか学習速度といい、人間の戦略を編み出している点といい、反応速度の速さといい、自殺コマンドの存在といい、不気味なSF映画の話みたいですよね...


・人間 vs 将棋ソフトの頂上決戦、「電王戦」は今年で見納め


image: vladfi1 - YouTube
source: quartz, vladfi1 - YouTube, New Science
reference: smash.gg, SmashWiki, arxiv

(塚本 紺)