政府が今国会に提出する方針の健康増進法改正案に、医療機関の敷地内全面禁煙が盛り込まれる見込みであることに対して、緩和ケア病棟を例外とするよう一部の緩和ケア医が求めている――。そうした報道が先日、なされました。

 緩和ケア医側は、喫煙者が入院を断られたり、退院を迫られたりすることを懸念しているといいます。緩和ケア病棟の現状は、どのようなものでしょうか。

改正の影響は「中規模以下」に限定される

 永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛医師によると、そもそも日本病院機能評価機構から機能評価を受けている病院や、がん治療の中核を担うがん診療連携拠点病院は敷地内禁煙が認定の条件であり、法改正の影響は中規模以下の病院に限られるといいます。

 しかし、今回の法改正によって、どうしても喫煙したい末期がん患者の場合は「在宅での緩和ケアを選択せざるをえなくなる可能性があります」。

 一方では、医療機関の現場においても「受動喫煙」の問題は大きく、仮に末期がん患者の希望であっても、喫煙を認めることは難しい現状があるといいます。今回の報道のような緩和ケア医の要望も、「あくまで一部の人の意見であって、施設内禁煙はやむをえないと考えている緩和ケア医が少なくありません」。

 末期がん患者の“最期の楽しみ”を尊重すべきか、受動喫煙防止の流れは不可避なのか――。健康増進法改正をめぐる議論はしばらく続きそうです。

 ちなみに、末期がん患者が最期の時を過ごす、緩和ケア病棟のみに設けられた“特例”としては、衛生面を考慮した上で、ペット同伴で面会可能な専用通路を設けているケースや、病室での飲酒を許可しているケースも。また緩和ケア病棟の患者に限って24時間面会可能なところもあるようです。

(オトナンサー編集部)