ヤマト運輸は、約7万6000 人の社員を対象に未払いの残業代がないかどうか調べ、未払いの分があれば全て支払うことに決めたという。未払い分は総額で数百億円に上る可能性がある。3月4日、朝日新聞などが報じた。

これまでヤマト運輸については、ネット通販の荷物が増え、ドライバーの長時間労働が常態化していると報じられていた。そうした中での残業代支給の報道に、「本当なら偉い」「ヤマトの本気度が伝わってくる」と称賛の声が上がっている。

しかし、未払いの残業代を支払うなんて当然のことをしただけではないのかというツイート投稿され、話題を集めている。

「ごくふつうにもどっただけなのに、それをえらい、立派だと甘やかしてる」


あるツイッターユーザーが、3月4日、人気コミック『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の台詞部分を書き換えた画像を投稿し、ヤマトを称賛する空気に一石を投じた。

元の画像は、同作の主人公・両津勘吉が、更生した不良について「(更生した)こいつのどこがえらいんだ」「えらいやつってのは始めからワルなんかにならねえの」と同僚の中川巡査に語る、といった内容だ。

それをこのユーザーは、

「ヤマトのどこがえらいんだ。いったい!」
「えらいやつってのは、始めから未払なんかにやらねぇの!」(表記は原文ママ)

と改変。確かに本当に立派な会社は最初から未払いなどしない。労基法を守るのは当然である。またその後の両津と大原部長とのやり取りも、

「違法に人件費を抑えて成した安い配送料で客を取られた他の会社の方が悲惨でしょう!?」
「今までも正しく残業代を払うなどしてがんばってきた会社の方が立派でしょうが」
「どうしてそんな単純な事がわからないのですか!」

と書き換え、ヤマト運輸を褒める人々に疑問を投げかけた。このツイートは多くの人の共感を集め、3月6日時点で2万回以上もRTされている。

「『未払い残業代』については、当社からの発表に基づいたものではありません」

ところが、複数のメディアが残業代の支払いを報じたのと同じ3月4日、ヤマトホールディングスが企業サイトで「当社の未払い残業代の精算に関する報道について」という文書を発表した

「一部の報道機関において、当社の未払い残業代の精算に関する報道がありましたが、記事に掲載されている『未払い残業代』については、当社からの発表に基づいたものではありません」

その上で、詳細は現在調査中だとし、「公表すべき事柄が生じた場合は適時、情報公開いたします」と説明している。

未払いの残業代はどうなってしまうのだろうか。ヤマト運輸の担当者に確認したところ、現在は「未払いの残業代があるかどうかそれぞれの社員について調査をしている段階」だという。

「未払いの残業代があれば、もちろんお支払いしますが、一部の報道にあるように、残業代の支払いを決定するまでには至っておりません」

なんとも歯切れの悪い回答だ。未払い残業代の有無を調査しており、未払い分があれば支払うのであれば、報道の通りでもよさそうなもの。いずれにせよ調査は進んでいるということなので、今後の同社の動向に注視していきたい。