米カリフォルニア州コーチェラの農場で働く移民ら(2017年2月24日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】米カリフォルニア(California)州に住むエミリオ・ロペス・バウティスタさん(66)は過去30年間、毎朝夜明け前に起きて農場で働いてきた──。地道に稼いだお金で家を買い、トラブルに巻き込まれないよう生きてきたバウティスタさんだが、今は身の危険を感じており、もはや先が見えないと語る。

 彼は、30年前に妻と6人の子どもたちと一緒にメキシコから国境を越えて来た不法移民だ。そのため、自分あるいは親類の誰かがドナルド・トランプ(Donald Trump)政権による移民政策の犠牲者になるのではないかと常に恐れているのだという。

「朝5時に家を出て農場へ向かうとき、運転しているとき、仕事中、そして家にいるときも怖い」と、彼は言う。

 彼が住むカリフォルニア州南部のコーチェラ・バレー(Coachella Valley)は肥沃(ひよく)な農業地帯で、農場で働く労働者として大勢の不法移民が雇われている。トランプ政権が2月21日に不法移民の取り締まり強化と国外退去処分に関する政策を明らかにして以来、地域には不穏な空気が山火事のように広がっていった。

 バウティスタさん一家は現在、国外退去処分になった場合に備えて節約し、孫たちの前では平静を保つようにしているという。「私たちには農場で働く以外の道はない。メキシコに戻ったとしても、あそこには何の可能性もない」と彼は話し、そして「今の私たちにはここが家だ」と付け加えた。

 トランプ大統領の政策は移民取締当局の権限を大幅に拡大するものだ。特に現場の取締官らは不法移民を見つけた場合、その人物の犯罪歴の有無にかかわらず、逮捕して国外退去させることが可能になった。

「国の安全保障に多大な脅威をもたらす」人々から米国を守るためには、新たな政策が必要だとトランプ米大統領は主張する。しかし、移民による犯罪率は米国生まれの国民よりもはるかに低いことは数字で示されている。

■「ジェットコースターに乗っている気分」

 移民の権利擁護を訴える活動家たちは、トランプ大統領の政策について、米国の不法移民1100万人(大半がメキシコ生まれ)を「魔女狩り」にするものだと非難し、反発のために団結している。

「私たちはこの新政権と一緒にジェットコースターに乗っている気分だ」と、南カリフォルニア有数の移民権利擁護団体「TODECリーガルセンター(TODEC Legal Center)」の地域プログラムディレクター、ルス・ガレゴス(Luz Gallegos)氏は言う。「不確定要素が多過ぎる。人々は私たちに慰めとなるような言葉を求めるが、私たちには何も言うことができない。私たち活動家にとっても状況が目まぐるしく変化している。かける言葉がない」と同様に苦しい立場にあることを説明した。

 2月24日、TODECはコーチェラの新事務所で説明会を開き、20人ほどが参加した。コーチェラ警察署のミスティ・レイノルズ(Misty Reynolds)副署長も出席して、地元警察は移民法の執行ではなく、移民を含めた市民の保護のために存在していると語った。

 AFPの取材にレイノルズ氏は、「移民の人々も地域社会の一員。これからも必要であれば私たちを呼ぶべきだということを改めて周知しておきたい」と話し、「彼らは今後も私たちを頼りにしていいこと、そして私たちが彼らのためにここにいること、それを知っておいてもらいたい」と続けた。

 中南米からの移民たちは信仰心があつい。彼らは祈り、トランプ大統領が啓示を受けて移民に優しい政策を取るようになってほしいと希望を託している。

 ガレゴス氏によれば、祈りをささげるグループは地域全土に広がり、毎晩60人ほどが集まっているという。「人々はずっと祈り続けている。私たちは奇跡を願っている。それができるのは神だけだ」
【翻訳編集】AFPBB News