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京都大学iPS細胞研究所(京大CiRA)は3月2日、iPS細胞から培養によって大量に高品質で血小板を製造するために必要なトロンボポイエチン(TPO)という増殖因子と同じ作用を持つ低分子を開発することに成功したと発表した。

同成果は、京大CiRA臨床応用研究部門 江藤浩之教授、日産化学工業らの研究グループによるもので、2月28日付けの米国科学誌「Blood Advances」に掲載された。

TPOは、巨核球などの増殖や分化を刺激して血小板産生を促すタンパク質。遺伝子組換え技術によって人工的に作製されたリコンビナントTPOを用いて、血小板減少症の患者に向けた治療効果を観察する臨床試験が過去に実施されているが、リコンビナントTPOを投与された複数の被験者において、TPOに対する抗体が体内で産生されて逆に血小板減少が悪化したために、リコンビナントTPOの実用化が頓挫した歴史があるという。このため現在では、TPOの受容体であるMPLに作用する抗体医薬や化合物の開発が行われるようになっている。

同研究グループは今回、ヒト骨髓の細胞からCD34を発現している細胞(造血幹細胞を含む細胞集団)から巨核球への分化を優先的に促進する化合物としてTA-316を見出した。同化合物は実際に、過去に同研究グループが開発した巨核球株の増殖および血小板産生を促すことがわかっており、その能力はリコンビナントTPOと同等あるいはそれ以上。現在血小板減少症の薬として臨床現場で使われているエルトロンボパグよりも高い効果が見られたという。

同化合物について同研究グループは、iPS細胞より作製した巨核球株から輸血に必要な大量の血小板をより効率よく製造できるようになることが考えられると説明している。

(周藤瞳美)