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IBMは3月6日(米国時間)、商用利用可能な汎用量子コンピューティング・システム「IBM Q」の構築に向けた新たな取り組みについて発表した。

同システムは、量子コンピューティングの適用分野を拡大する目的で構築されたもので、主要な指標は、「量子体積」で表される量子コンピュータの処理能力で、これには量子ビットの数、量子演算の品質、量子ビットの接続性、並列処理などが含まれるという。また、量子体積を増強させるための最初のステップとして、IBMは商用の最大50量子ビットのIBM Qシステムを今後数年間で構築し、従来型システムを超える能力を実証することを目指すとしている。さらに、主要パートナーと協力し、量子コンピューティングによるシステムの高速化を活かせるアプリケーションの開発も計画しているという。

このほか同社では、5qubitの量子コンピュータ「IBM Quantum Experience」の新たなAPIを開発。同APIにより、開発者やプログラマーは、量子物理学の深い知識がなくても、5qubitのクラウドベース量子コンピュータと従来型コンピュータをつなぐインタフェースを構築することができるようになるとするほか、IBM Quantum Experienceのシミュレータもアップグレードしたとのことで、これにより最大20qubitで構成される回路をモデル化できるようになるとする。

なお、同社では2017年上半期に、IBM Quantum Experienceの完全なSDK(ソフトウェア開発キット)のリリースを計画しており、ユーザーが簡単な量子アプリケーションやソフトウェア・プログラムを作成できるようにする予定だとしている。また、量子コンピューティングの将来の応用例として、以下のようなものを挙げている。

・新しい薬や材料の発見:新薬や新しい材料の発見につながる分子または化学相互作用の複雑性を解き明かす
・サプライ・チェーンや物流:繁忙期における配達業務の最適化など、非常に効率的な物流やサプライ・チェーンを実現するグローバル・システムにまたがる最適パスの発見
・金融サービス:金融データをモデル化する新しい方法の発見と、より良い投資を実現する主要なグローバル・リスクの特定
・人工知能:画像や動画のようにデータ・セットが大きすぎる場合、機械学習などの人工知能の機能を強化し対応
・クラウド・セキュリティ:プライベート・データの安全性を高めるために量子物理学の法則を活用し、より安全なクラウド・コンピューティングを実現

(小林行雄)