外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は「ドル/円相場が重要イベントをこなして111円〜115円のボックス相場を上放れるとともに、上昇トレンドが再開する可能性がある」と語っている。

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 外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は「ドル/円相場が重要イベントをこなして111円〜115円のボックス相場を上放れるとともに、上昇トレンドが再開する可能性がある」「懸念されていた欧州の選挙は、ユーロにとって決定的な悪材料にならないことがわかってきており、3月15日から始まる欧州の選挙では結果を確認しながら、徐々にユーロが底堅くなっていくのではないか」と語っている。

――ドル/円の見通しは?

 昨年11月の米大統領選挙以降のドル/円相場を振り返ってみると、選挙終了を合図に101円台から切り返して12月には118円台まで上昇。12月の米利上げをきっかけに、1ドル=113円への調整局面に入った。そして、1月20日のトランプ大統領就任式以降は、111円-115円のボックス圏での動きが1ヶ月以上続いている。

 このように、大きなイベントがドル・円相場のトレンド転換点となるケースは少なくないが、2月28日夜(米国・現地時間)に行われたトランプ大統領の上下両院合同本会議での演説内容は、足元のボックス相場を抜け出すきっかけには至らなかった。3月3日(同)のイエレンFRB議長による講演も同様であった。

 とはいえ、今後も、10日に2月雇用統計、15日にFOMC、16日までに予算教書と、米国で大きなイベントが続くため、これらの結果次第では、ドル・円相場のトレンド転換が促される可能性があると見ている。またその場合は、上昇トレンド再開をメインシナリオとして予想している。

 雇用統計がよほど弱くない限り、利上げはもはや規定路線のため、ドル・円相場への影響は限られるとの見方もあるが、米2年債利回りが約7年半ぶりの水準に上昇している点から見れば、ドル・円相場の利上げ織り込み不足は明らかだろう。雇用統計が予想以上の好結果となれば、出遅れ解消の動きを強めてドル高が進む可能性もありそうだ。予算教書についても、米大統領による議会への「予算案の承認勧告」という性質が強いことに鑑みれば、トランポノミクスへの期待によるドル高を誘発しやすいイベントと言える。

 ただ、リスクシナリオとしてトランプ政権の内部崩壊の可能性には留意が必要だろう。ペンス副大統領に私用メール問題が持ち上がったほか、セッションズ司法長官にはロシアとの接触に関する虚偽証言の疑惑がかけられている。内部崩壊はやや大げさかもしれないが、政権運営に対する不透明感が強まることがあればドルが失速するリスクも高まるだろう。

 このように、当面のドル・円相場は、どちらかといえば上昇する可能性が高いと見ており、115円台のレンジ上限突破を見込んでいる。その後も、リスクが顕在化しなければ、機関投資家の新規投資が活発化しやすい4月以降には118円を目指す展開になると予想している。

――豪ドル/円は?

 豪州中銀の金融政策スタンスは中立となり、当面の利下げが遠のいたとみられることもあって、豪ドル発の材料に乏しい。豪ドルは元々、リスクオンの局面で買われ、リスクオフで売られるという傾向が強い通貨だが、今後しばらくは、そうした傾向がさらに強まりそうだ。現在は、米国株式市場こそ景気拡大を期待して好調を持続しているが、欧州を中心に不透明感がくすぶっている。リスクオンともオフとも判断しにくい環境が、豪ドルの方向感を失わせている。

 今後の方向を考えるには、3月15日のオランダ下院選挙から始まる欧州の選挙結果に注目したい。現在のところ、ユーロの崩壊を予感させるような選挙結果にはならないだろうという見方が強くなっている。選挙結果については、昨年の英国民投票と米大統領選で事前予想がアテにならないことを痛感させられただけに、結果を待つ必要があるだろうが、ポピュリズム政権が誕生することはないとの結果を確認しつつ徐々にリスクオンに転じてくるのではないだろうか。