京都大学は同大のウェブサイトで2017年3月3日、大学院医学研究科の椛島(かばしま)健治教授(皮膚科学)らの国際研究チームが開発中のアトピー性皮膚炎の治療薬について、臨床症状やかゆみに対する有効性が確認されたことを発表した。研究成果は同日付で米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)」電子版に掲載された。

投与で寝つきも早く、安眠時間増加

アトピー性皮膚炎によるかゆみは、タンパク質の一種「インターロイキン(IL)31」が、神経細胞のIL31の受容体と結合することで起こると報告されており、開発中の治療薬はその結合を妨げることを標的にした抗体製剤「nemolizumab(ネモリズマブ)」。このほど、安全性や有効性、最適な投与量などを調べる「第 II 相国際共同治験」を行った結果、臨床症状やかゆみに対する有効性が確認された。

共同治験では、軟膏などの外用剤で十分な治療効果が得られない、中等症から重症の国内外のアトピー性皮膚炎患者264人を対象に有効性や安全性を検証。臨床症状やかゆみに対する有効性が確認され重篤な副作用もみられなかった。

対象の患者を約50人ずつ、投与分量に応じた4グループとプラセボの1グループの計5グループに分け12週間にわたり、分量に応じ4週毎と8週毎、プラセボは4週毎に皮下注射で投与。その結果、6〜7割の患者でかゆみが50%以上軽減された。

また、患者の睡眠についても検証を実施したところ、薬剤投与の1週間後には寝付くまでの時間がプラセボより15分ほど早くなり、安眠時間も20分ほど増加。安眠時間は投与3週間後には、プラセボより40〜50分長くなったことが確認された。

椛島教授は「今後、IL31の制御がアトピー性皮膚炎の新たな治療手段やQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)向上の一助となる可能性が期待される」と話している。

治験で使用された「ネモリズマブ」は製薬大手、中外製薬による創製。同社では2年後をめどに実用化を目指している。