M&A加速!RIZAPは第2のソフトバンクになれるか

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■他に類を見ないマーケティング力とは

「結果にコミットする」というインパクトのあるフレーズと、それを分かりやすく表現したCMで一躍注目を浴びた、完全個室のプライベートジム「RIZAP」。その運営会社の親会社であるRIZAPグループ(旧健康コーポレーションから2016年7月に商号変更)は、RIZAP事業だけでなく、積極的なM&Aを通じてグループ全体を急成長させ存在感を増しています。

RIZAPグループは、RIZAPだけが注目されがちですが、子会社44社(買収が発表された株式会社ぱど含む)より構成されています。「自己投資産業 No.1」をグループビジョンとして掲げ、美容・健康関連事業、アパレル関連事業、住関連ライフスタイル事業、エンターテイメント事業を展開しています。多くの連結子会社がM&Aにて買収した企業で、内、上場企業は、イデアインターナショナル(東証ジャスダック)、SDエンターテイメント(東証ジャスダック)、夢展望(東証マザーズ)、パスポート(東証ジャスダック)、マルコ(東証2部)、平成29年2月20日にグループ入りするジーンズメイト(東証1部)と合計6社になります。

2017年2月13日には、フリーペーパー媒体発行部No.1の株式会社ぱどの子会社化を発表しました。ぱどを子会社化した目的を見ていくと、RIZAPグループの強みがどこにあるのかみえてきます。株式会社ぱどとの戦略的事業資本提携方針のお知らせの中で、以下のように説明しています。

<株式会社 日本文芸社による出版事業、北斗印刷株式会社による印刷事業、および、株式会社ぱどによる地域メディア事業などのRIZAPグループ内のメディア関連の事業・機能を集約し、他に類を見ないマーケティング力を有する「RIZAPメディア事業グループ」としての事業を一体的に推進し、「より幸せに輝いて生きたい」という人々に対して最適な情報を提供し、信頼されるメディアグループの構築を目指してまいります。>

ここで注目すべきは、RIZAPグループの企業としての強みとして、「他に類を見ないマーケティング力」と定義していることです。このマーケティング力を活かすことにより、買収した企業を成長させていくというのが、RIZAPグループの基本戦略であると考えられます。

「他に類をみないマーケティング力」が垣間見られるものとして、RIZAPグループの広告宣伝費があると思います。2016年3月期の広告宣伝費は、売上高約554億円に対して約92億円となっています。この金額は、ファミリーマート(89億円)、キューピー(87億円)などに匹敵するもので、企業規模を考えると、いかにRIZAPグループが、多く広告宣伝費をかけているかが分かります。この広告宣伝費の一部が今回買収した株式会社ぱどなどに活用されることを考えると、広告メディアを子会社化したことは、非常に納得がいきます。

■「アパレル関連事業」へのM&Aが加速

もう一つ、RIZAPグループのM&Aをみていく上で重要なキーワードがあります。それは、「自己投資産業で世界NO.1になる」というものです。これを実現するため、セグメントを「美容・健康関連事業グループ」「アパレル関連事業グループ」「住関連ライフスタイル事業グループ」「エンターテイメント事業グループ」と4つのカテゴリに分類してM&Aを加速させています。特に最近目立つのが「アパレル関連事業グループ」へのM&Aの加速です。

今年に入りTOBにより子会社化するジーンズメイトをはじめ、夢展望やMISUZU、アンティローザなどこの数年で6社ものアパレル企業を買収しています。また、アパレル関連を強化するための人事も行っています。昨年12月には、ファーストリテイリングの元執行役員CIOで20年間ファーストリテイリングをシステム面で支えてきた、岡田章二氏の招聘を発表しました。

しかしながら、今後アパレルを加速度的に展開していく上で不安な点があるのも事実です。先ほど記載したように、RIZAPグループの強みは、「他に類を見ないマーケティング力」であり、広告宣伝費を使い、認知度を一気に高め事業を推進するというモデルです。広告宣伝費を十分にかけるには、原価率が低い高粗利商品であることが必須条件になります。現に、健康食品分野もRIZAPのような高付加価値プライベートジムも、粗利率の高いビジネスです。

一方で、アパレル事業は、今までRIZAPグループが展開してきている事業ほど高粗利商品ではありません。その点から見ても、自社にメディアを保有することで、今まで培ったマーケティング力を活かし、広告宣伝費を抑えながら事業成長をさせる必要があったのだと思われます。そのような観点から見ても、今回のぱどの買収によってメディアを内製化、強化できたことは、RIZAPグループにとっては非常に意味があったと考えられます。

最後にRIZAPグループがこの先どこに向かっているのかを見ていきたいと思います。

中期経営計画「COMMIT2020」の中で、2021年3月期に連結売上高3000億円、連結営業利益350億円を達成させると宣言しています。2016年12月のIR説明会の中では、2017年3月期の連結売上高1000億円、連結営業利益100億円の目標が達成見込みであると、発表しております。これが実現すれば、対前年比売上高で180.3%、営業利益で200.3%となる見通しです。

「COMMIT2020」を実現していくために、今後も積極的なM&Aをしていくと発表しています。

「結果にコミットする」RIZAPグループが「COMMIT2020」もしっかりとコミットできるのか、そして、「自己投資産業で世界No.1ブランドをつくる」ということが実現できるのか。今後のRIZAPグループのM&Aから目が離せません。

(インクグロウ取締役、中小企業診断士 照井 久雄)