日本会議公式ウェブサイトより

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 ますます疑惑が深まっている学校法人森友学園の国有地格安払い下げ問題。さすがにまずいと思ったのか、籠池泰典理事長と直接、何度も会っているにもかかわらず「面識はない」と言い張った安倍首相を筆頭に、維新や自民党の政治家、さらに同学園の運営する軍国教育の塚本幼稚園を絶賛してきた極右文化人たちも、話のすり替えや言い逃れに必死になり始めた。

 そんななか、あの団体も同様の「籠池切り」に入っているらしい。そう、この間、一貫して安倍首相を支え、政権の別働隊として戦前日本の復活に邁進してきた極右組織「日本会議」だ。

 テレビなどではあまりクローズアップされていないが、実は森友学園の籠池理事長はこの「日本会議」の大阪支部の運営委員という職に就いている。

 ところが、先月末、「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)が籠池氏を日本会議大阪「代表」などと報じるや、日本会議はホームページで即反応。「同氏は本会の『運営委員』として名前は連ねておりますが、『代表』ではありません」との抗議文を両誌の編集部へ送付したことを明かした上で、「このたびの土地取得に関して全く関与していない」と釈明した。

 さらに驚いたのは、3月3日の毎日新聞朝刊の記事だった。この日の同紙は森友学園の保守人脈を特集していたのだが、そのなかで「籠池氏を知る日本会議関係者」がこんなコメントをしていたのだ。

「森友学園の考えは神道でも保守でもなく、ネトウヨ(ネット右翼)に近い。あれが日本会議の活動と思われるのは心外だ」

 このコメントは13版まで掲載された後、なぜか14版やネットにアップされた記事では削除されてしまったが、それはともかく、まさか日本会議が、森友学園を「ネトウヨ」呼ばわりとは......これこそが"目くそ、鼻くそを笑う"というやつではないか。

 まず、指摘しておくが、籠池氏は日本会議大阪の代表ではないとしても、同団体にいる約50人の運営委員のひとりで、幹部的な存在であることに変わりはない。

 しかも、「同じと思われるのは心外」どころか、日本会議は森友学園とまったく同じことをやっている。それは、思想教育と批判が集中している例の子供たちへの「教育勅語」唱和強制だ。

 たとえば、2011年、建国記念日を祝う日本会議鹿児島の集会で小中校生が教育勅語を奉読しているし、2014年、日本会議沖縄県本部などによる実行委員会が主催した「祖国復帰42周年記念大会」でも、保育園の園児たちが教育勅語を唱和している。

 つまり、園児たちがわけもわからず「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(危急の事態が生じたら、公のために奉仕し、永遠に続く皇室の運命を助けよ)」などという時代錯誤な言葉を唱和させられているあの光景は、日本会議でも繰り広げられていたものなのだ。

 しかし、それも当然だろう。森友学園の教育方針はほとんど日本会議のそれと同一だからだ。森友学園のHPには「天皇国日本を再認識」「皇室を尊ぶ」。「愛国心の醸成」「日本人精神の育成」「道徳心を育て」などと言った言葉が羅列されているが、これらの多くは日本会議の活動方針の中にも書かれているものだ。また、籠池夫妻がインタビューや行事あいさつで語っている歴史修正主義や軍国主義丸出しのセリフもほとんどは、日本会議のイデオローグたちがふだん、語っているようなことばかりだ。

 森友学園は日本会議の運動にも協力してきた。塚本幼稚園では保護者に対して憲法改正を求める署名用紙を配布していたことも明らかになっているが、この運動の大元は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」。そう、15年の武道館決起集会では安倍首相もビデオメッセージを送った日本会議の別働隊だ。

 よくもまあ、これで「森友学園はネトウヨ」「同じに思われては心外」などといえたものではないか。両者の思想はほとんど同一、それどころか、時系列で追っていくと、むしろ、森友学園や籠池理事長をネトウヨ化させたのは日本会議なのではないか、という疑念さえ生じてくる。

 複数のメディアが報じているが、森友学園の運営する塚本幼稚園がこうした軍歌を歌わせたり、教育勅語を暗唱させるような極右愛国教育を始めたのは、そんなに昔のことではない。先代、つまり籠池理事長の義父が経営していた時代にはそういう教育は一切行っていなかったし、1985年、籠池氏が理事長を継いだ後もしばらくは行っていなかった。

 各メディアの報道を総合すると、塚本幼稚園が園児に軍歌を歌わせ始めたのは2002年、教育勅語を暗唱させるようになったのは2005年くらいのことだ。

 実は、この少し前、2002年頃に日本会議と深い関係にある「谷口雅春先生を学ぶ会」が発足している。菅野完氏の『日本会議の研究』(扶桑社)によれば、この「谷口雅春先生を学ぶ会」は生長の家の路線変更で教団を離れた元信者たちが展開し始めたファナティックな原理主義運動の中心団体で、稲田朋美防衛相や衛藤晟一総理大臣補佐官など、現在の安倍首相周辺の政治家をはじめ、百地章氏、高橋史朗氏など、安倍首相の極右ブレーンが参加していた。

 そして、「週刊朝日」(朝日新聞出版)2017年3月10日号によると、2004年、この「谷口雅春先生を学ぶ会」の機関誌「月刊 谷口雅春先生を学ぶ」5月号に、森友学園・籠池理事長の妻で塚本幼稚園副園長の諄子氏が登場しているのだ。諄子氏は同誌で、病気をきっかけに「生長の家」の創始者・谷口の著書『生命の實相』に触れ、積極的に「生長の家」の活動に参加するようになったことを告白。こう紹介されていたという。

〈籠池さんのご主人靖(泰)憲さんは日本会議大阪の代表・運営委員(※)や多くの会の役員として、淳(諄)子さんは同女性部会理事として活躍し、ご夫妻ともに、公の場においてかけがえのない存在となっているのである〉

 その後、籠池夫妻は同会と決裂したようだが、籠池夫人がある時期から「生長の家」の信者で、路線対立がきっかけで夫とともに原理運動である「谷口雅春先生を学ぶ会」や日本会議に参加。そして、極右路線に影響されていたことは確実だろう。

 しかも、彼らが安倍首相を個人崇拝するようになったのも、日本会議がきっかけとなっている可能性が高い。森友学園が軍歌や教育勅語を園児に強要し始めたのは、北朝鮮拉致問題をきっかけに当時、小泉政権で官房副長官を務めていた安倍氏が頭角を現し、急速に日本会議への影響力を強めていった時期でもある。

 安倍は首相に就任した後、日本会議の特別顧問に就任し、日本会議自体も安倍政権の別働隊のようになっていく。その過程で、籠池氏は安倍の歴史修正主義や戦前復活思想に共鳴し、園児に「安倍首相ガンバレ」と宣誓させるくらいに心酔していったのだろう。

 いずれにしても、森友学園のトンデモ思想教育は日本会議、そして安倍首相の思想の延長に出てきたものだ。もし、「森友学園はネトウヨ」というなら、日本会議も安倍首相もネトウヨということである。
(編集部)