オフシアター・コンペティション部門グランプリに輝いた『トータスの旅』の監督をつとめた永山正史監督

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 北海道夕張市で開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」のクロージングセレモニーが5日に北海道夕張市の合宿の宿ひまわりで行われ、俳優の木村知貴、川瀬陽太らが出演する『トータスの旅』がオフシアター・コンペティション部門グランプリに輝いた。

 若手映画人の登竜門として、多くの才能を発掘してきた同部門。今年は応募数532作品(国内396作、海外136作)から、7本のノミネート作品を発表。内藤誠監督を審査員長に、プチョン映画祭実行委員チェ・ヨンベ、KINOTAYO現代日本映画祭のディミトリ・イアンニ、光武蔵人監督、女優のほたるの5人が審査を実施。厳正なる審査の結果、永山正史監督の『トータスの旅』がグランプリに選ばれた。同作は、かつて結婚式を挙げたという島で再び結婚式を挙げたいと語る奔放すぎる兄(川瀬陽太)、そして息子と共に旅をすることになった男(木村知貴)たちの珍道中を描き出したオフビートなロードムービー。本作主演の木村が、第10回 田辺・弁慶映画祭男優賞、第18回 TAMA NEW WAVEベスト男優賞をそれぞれ獲得している。

 1983年生まれ、埼玉在住の永山監督は、フリーランスでCM、VPなどのディレクター、カメラマンとして従事する33歳。トロフィーを受け取った永山監督は「今回の映画を作って、映画作りって迷惑な行為だなと感じました。家族にも迷惑をかけたし、方々に迷惑をかけた。非常に迷惑な行為です。でも、ゆうばりには左も右もおかしな人ばかり集まっていて。楽しい時間を過ごしました。その上、賞までいただいてありがとうございます」と喜びのコメントを寄せた。

 そんな中、審査員を務めた女優のほたる総評として「役者をやって審査員として参加するという貴重な経験をさせていただきました。ただ、今回の7本すべてではないのですが、女性の描き方がヒドすぎるんじゃないかと思う作品がありました。男性の欲望や性欲を受け止めるのが母親しかいないのはどうなのか。皆さん、監督としてはすばらしい才能を持っていると思うので、次回作を構想する際には女性の描き方を考えていただきたい」と苦言を呈するひと幕も。今後の作品選定に関して課題が突きつけられた。

 一方、インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門の審査員を務めた女優・武田梨奈は、「普段、わたしは客席に座って審査を待つ側なので手が震えました。たくさんの作品を観させてもらって楽しかった反面、審査はつらかったです。わたしは今回の20作品のノミネート作に出演したわけではないですが、勝手に携わった気になっています。この20本がどこに旅立つのかワクワクしていますし、応援しています」とクリエーターたちにエールを送った。

 今年の映画祭は、8プログラムを残した5日のクロージングセレモニー実施時点で1万1,718人。会場がひとつ減った影響で、昨年より来場者総数はやや少なくなりそうとのことだったが、動員としてはまずまず。来年も開催することを誓い、映画祭は幕を下ろした。(取材・文:壬生智裕)

■「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」コンペティション部門の受賞結果は以下の通り
<オフシアター・コンペティション部門>
グランプリ:『トータスの旅』(永山正史監督)
審査員特別賞:『ベートーベン・メドレー』(イム・チョルミン監督)
北海道知事賞:『はめられてRoad to Love』(横山翔一監督)
シネガーアワード:『ストレンジデイズ』(越坂康史監督)
スペシャルメンション『墜ちる』(村山和也監督)

<インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門>
グランプリ:『M.boy』(キム・ヒョジョン監督)
審査員特別賞:『歯』(パスカル・チボー監督)
優秀芸術賞『あたしだけをみて』(見里朝希監督)
優秀芸術賞『タコ船長とまちわびた宝』(飯田千里監督)
優秀芸術賞『Mizbruk』(ダニエル・ドランロー監督)