ナ・ホンジン監督(右)と國村隼

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 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が3月5日に閉幕を迎え、クロージング作品の韓国映画「哭声 コクソン」のナ・ホンジン監督、日本から同作に参加している國村隼が舞台挨拶に登壇した。

 「チェイサー」、「哀しき獣」のナ監督の最新作。平和な村に突然、よそ者の男(國村)がやって来たことをきっかけに、村人が家族を惨殺する事件が続発する。刑事のジョングは事件を追うが、殺人犯たちが共通して持っていた湿疹が、自分の娘にもあることに気づく。

 國村は、ナ監督からのオファーについて「本を読んで、この世界観、この役を他の人に取られたくないと思った」と語る。監督の過去作品は全て見ていたそうで「面白くならないわけがないと思った」とも。途中、ふんどし一丁で肉を食らうという“セクシーショット”もあるが「台本ではスッポンポンだった(笑)」と明かし「お客さんに失礼だなと躊躇があった」と告白。ホンジン監督は、國村の発言を受けて、台本での全裸からふんどし姿へと変更したことについて「見苦しいかと思いまして……(笑)」とストレートに語り、笑いを誘っていた。

 國村の起用について「編集していない映像なのに、既に編集が入ったかのような多様な姿を見せてくれる俳優だから。この男に役は、観客がどう解釈次第で変わる重要な役なので」と國村の持つ多面性が必要だったと語る。

 國村は、“悪魔”とも言われるこの男について「そもそもなぜ日本人という設定なのか? 僕も最初、引っかかっていた」と語るが、監督は「聖書にヒントを得て“外部の人”を描きたかった」と説明。エルサレムのユダヤ人から見たイエスの存在がモチーフであると明かす。そして「韓国人と同じ外見を持ちつつ、“異質感”を感じさせる必要があった」と日本人という設定にした理由を語った。

 國村は、自身が演じたこの男の手にイエスと同じ“聖痕”があると明かす。さらにトランプ政権の誕生などに付随して見られる、外部からの存在に問題の原因を求める昨今の排他的な空気を予期していたような監督の慧眼に驚きつつ「本当に怖いのは、(周囲の人間に対し)疑心暗鬼になる人の心」としみじみと語っていた。

 「哭声 コクソン」は3月11日公開。