生まれつきの「交渉人」 大統領の愛娘イヴァンカとは─

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「事実上のファーストレディ」とも評されるトランプの長女イヴァンカ。ただ美しくてスタイリッシュなだけではない、彼女の底知れぬ実力とは?

そびえ立つ超高層ビル、金ピカの内装、ドナルド・トランプのマッチョな態度……。”男性的”なブランドという印象のトランプ・オーガニゼーションを変えたのが、ドナルドの娘イヴァンカだ。彼女は持ち前のデザインセンス、スタイル、美貌、立ち居振る舞いによって、トランプ・ブランドに華やかさとエレガンスをもたらしている。

イヴァンカはトランプ・タワーの25階に、兄ドナルドと弟エリックと隣り合わせのオフィスを持つ。トランプ・オーガニゼーションでの3人の役割はやや流動的だが、徐々にそれぞれの分野を確立させてきた。ドナルドは主に商業用リース業を手がけ、エリックはゴルフ場と建設。イヴァンカは買収と内装だ。

子供たちの1階上にオフィスを構えるトランプは、娘についてこう言う。

「イヴァンカは生まれついての交渉人だ」

過去にイヴァンカと交渉したことのある人物は、彼女についてこう証言する。

「ドナルドは自分の勘に頼る昔流のやり方をするけれど、イヴァンカは真逆で、きちんと時間をかけて下準備をしてきます。彼女は何かを相手に要求する時、必ずあらかじめ裏づけ調査をしているのです」

弟のエリックも、イヴァンカはタフな交渉人だと認める。

「彼女を決して見くびってはいけないよ。鉄の鎧に身を包んで、誰とでもやり合う覚悟があるからね」

”パリス・ヒルトン”にならなかった理由

ニューヨーク生まれのイヴァンカは、兄弟たちと同様、寄宿学校に通った。高校を出ると、ジョージタウン大学に進学。そこで2年間学んだのち、父親の母校、ペンシルベニア大学ウォートン校に転入した。

将来どんな道に進みたいのか、彼女には当時からはっきりしていたが、父親にはそうでもなかったようだ。トランプはこう話す。

「イヴァンカはファッション業界に行くんじゃないかとずっと思っていた。いずれは『ヴォーグ』の編集長とかね。でも不動産が大好きで、それを選んでくれたのはとてもうれしいよ」

実際、彼女は大学卒業後に「ヴォーグ」のアナ・ウィンター編集長から仕事をオファーされたが、断っている。

多くの人が忘れがちだが、イヴァンカは、同世代のパリス・ヒルトンのように無能なソーシャライト(社交界の名士)になっていてもおかしくはなかった。確かにイヴァンカは恵まれた環境で育っている。だが、決して甘やかされてきたわけではない。

イヴァンカの母親であり、ドナルドと1992年に離婚したイヴァナは、共産主義国のチェコスロバキアで生まれた。イヴァナは祖国での暮らしを忘れることはなく、よく子供たちを連れて訪れていた。

「子供たちには規律をしっかり学ばせ、厳しい愛をもって接したわ。新しい自転車が欲しいなら、努力して手に入れるように教えたの」とイヴァナは語る。

「父からたくさんのものを与えられて育って、とても幸運だった。でも、同族企業の場合は、必ずしもそれがプラスに働くとはかぎらない」とイヴァンカは語る。時には家族同士でケンカすることもあるが、「少なくとも互いに正直でいられる」のが家族の強みだという。

トランプとイヴァナは何かと非難されることも多いが、子育てには成功していると言えるだろう。子供たちは3人とも仕事に熱心だし、ゴシップ誌で取り上げられたとしても、たいていは無害な内容でしかない。

大学卒業から1年間、イヴァンカは不動産開発業者フォレスト・シティ・エンタープライズに入社し、業界の有力者であるブルース・ラトナーのもとで働いた。トランプはその頃のことをこう振り返る。